来談者中心療法は、人間の自己成長力を信
『感じる』と『考える』とは、感性と理性、
感情と思考、非言語と言語など様々な視点で
捉えることができる。しかし、ここでは心理
学の意識の3つのレベルのうちのひとつ、知
覚的意識の有無による無意識と意識という視
点から捉えてみたい。
『感じる』とは無意識の自動化された並列
処理的なプロセスである。一方、『考える』
とは意識による逐次処理的なプロセスである。
さらに、神経生理学者のリベットの実験から、
意識によるプロセスには0.5秒の遅れが存
在することがわかっている。従って、『感じ
る』のはリアルタイムに大量の情報処理が必
要な場面に有効であるものの、意識からのモ
ニタリングによる柔軟な変更が不可能である。
逆に、『考える』のは柔軟な変更が可能であ
るものの、リアルタイムな場面に向かない。
カウンセリングのような対面コミュニケー
ションでは、非言語情報から無意識に処理さ
れた大量の情報を『考える』のではなく『感
じる』ことが必要である。しかし、『感じる』
だけでは意図しない感情などに惑わされるこ
とになる。従って、このような感情などを客
観視するために『考える』ことも必要である。
この実現するためには、理論で学習した『
考える』内容を、無意識の自動化したプロセ
スとして『感じる』ために、実習で体に覚え
こませることが重要であり、これにより余裕
ができた部分を、意図しない感情などを客観
視して『考える』ことに向けるべきである。