秋桜の空に
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プレイしてみた「秋桜の空に」の感想&供与者(かるま氏)への独断と偏見に基づくレポート。面倒なので大きくネタバレしています。尚、18禁です。
評価(5段階中):4.0
シナリオ完了順:桜橋涼香→楠若菜→尼子崎初子→佐久間晴姫→小泉ひより+おまけ
妙な行動力と発言で辺りを笑わせ、困惑させる事が得意な主人公「新沢靖臣」。秋の学園祭や体育祭の近づく中、学園生活の中で彼と関わる少女たち。楽しい生活の中、主人公にかけられた呪いは、少しずつ、しかし確実に彼から........
Marronの第一作目。結構前の作品のようですが?
今回はVirtualPC6.02で稼働させています。MacOS9、Xのどちらでも問題はないですが、Xではロード時間など、レスポンスが少し悪い事があるようです。
○総評
Marronのデビュー作と言う事だそうで、2001年の作品との事ですが。
え〜、なんつぅか「ONE」に近い印象を受けたような(^^; 他の人のレビューは全く目を通していないのでよく分からないんですが、主人公の「あり方」がかなりこれに近い気がしました。
これが第一印象。ま、ONEよりも後の作品と言う事で影響もあったのかもしれませんが。多分、他でも書かれているのではないかと推測しますが........
ただ、どちらかと言うと会話・行動の異様さはこちらがより強烈。笑わせるシーンも多く、大分ウケました(^^; 暴走っぷりもなかなか強烈。更にメインとなる(少なくとも立ち絵のある)キャラクターの個性も大分強く、なかなか面白かったです。他のシナリオでも「そのキャラクターはそのキャラクター」と言う印象をしっかり持たせてくれました。設定などをキッチリ作っている証拠だと思います。
会話なども基本的にしっかりできていて、心情の表しかたもよかったかと思います。
ただ、ひとまず涼香ルートを見ないとさっぱり分からない部分がある事と、やや展開に強引さがある部分があること、そしていくつかの誤字やらのミスなどがちょっと気になりましたかね。
結構よくできていましたので、ちょっと残念でした。
後は、管理人に「ONEと似ている」と言う印象を持たせてしまったのももったいないです。減点対象になってしまいましたかね。
以下ネタばれ
○難点
取りあえずシナリオ等の評価の前に数点。
- 誤字・脱字など
結構ミスがありましたか......「以外」と「意外」とか代表的。後はセリフに対するキャラクターの名前が間違っているケースがありましたね。
- アップデータ
最初のバギーなのは.......ちゃんと品質チェックして出しましょう、せめて(^^;
○シナリオ以外の評価
- システム
普通。
セーブ、ロードなどは普通。履歴が見られるのは便利でしたかね.......ただ、ロード直後何もしていないのにスキップ状態になることがあるのはどうしてでしょ? VPC上での問題?
- 音楽
まぁまぁ、でしたかね.......
各キャラクターごとの音楽は雰囲気を出していたと思います。イメージとの一致はよかったと思います。大体の雰囲気にあった物になっていましたかね......ただ、ちょっと印象に残らないと言うのがありましたか。
歌とか特に(^^;
- 絵
まぁ、普通なんでしょうが.......でも、時々「同一人物?」と思うのが(^^;
いや、立ち絵と一枚絵での差で時々「?」と思うケースが.........
- おまけ
妙にマニアックと言うか、よく分からんものがあったような........(^^;
にしても、武彦の「イメージです」っつぅのは一体??(^^;
○シナリオ感想総評
ま、最初に言えるのは.......かなりよくできていたのは会話(のはちゃめちゃさ含む)と心情の描写、そしてキャラクターの「出来」ですかね。
会話は笑えるものから真剣なものまでありますけど。それぞれの行動が心情の反映となる、と言うのを表現するのは結構難しいものですが、しかしこれに関してはよくできていたと思います。例えば涼香の嫉妬深さや、他人への牽制とか。若菜と初子とのやり取りもそれをよく表しているシーンが多かったと思います。
キャラクターもまぁ個性的と言うか。
ひとまず、初子、忠介、靖臣、若菜で1セットが成立しているのはよく分かりますし。涼香の過保護っぷりと嫉妬深さもまた強烈。晴姫の暴走(?)も凄いですし。ひよりの「くしゅー」連発も先が読めるほど。口癖や行動、その他くせ、個人への対応の確立具合もよくできていました。ここら辺は大分キッチリ作ったのだと思います。だから選択肢では「ひとまず他のも試してみるか」と思わせるのは成功でしょう。
とにかく「あぁ、コイツだからなぁ」と思わせる事がキッチリ出来ていました。ここら辺は非常に感心しています。
しかし、上に書いた通り「ONE」と似た印象がありました。
他人を避けてきた主人公が、人との交流から生まれた幸せからとそこからの転落......そのキーポイントが「呪い」で「記憶」と。まぁ、一致しちゃうよなぁ、と。まぁ、おそらくスタッフや熱心なファンはこう言う表現をされたら嫌だと思いますけど、これは避けられないかなぁ、と思いますが。
ここら辺はちょっと......仕様がないかなぁ、と思います。
少なくとも、こういう印象を持たせてしまうとやはり点数的に引っ掛かってしまいますかね.......後は、涼香ルートを通らないとよく分からない点が思いきり出来てしまう事。核心部分での話ですし、所々涼香が話の中で「過去」について出た時のこだわり具合がよく現れているわけで、それだけに涼香ルートだけしか分からない部分があって、それを平気で他のシナリオで出してくるのはちょっとどうかなぁ、と。難しいとは思いますが、ちょっと引っ掛かる。更に言えば晴姫や初子ルートではヒロインの突然の豹変ぶりというか、なんか「追いつかん」という程の展開がちょっと.......
ちょっと詰めが甘い部分があるかなぁ、と。
ま、音楽やら上のような点をふまえて4.0と言う得点です。
ちょっともったいないかなぁ、と思いますかね。
そうそう、ぬれ場は全部スキップしています。
まぁ、話に深くかかわっていないでしょうからよいでしょう。
○各ヒロイン毎のシナリオと人物評
- 桜橋涼香
主人公の幼なじみで姉代わり。「すずねえ」と主人公に呼ばれ、そして主人公に対して極めて過保護。ついでに嫉妬深い。スポーツ優秀、学業優秀、器量よし。才色兼備であるものの、3人以上の「衆人環視」であがってしまうほどの極度のあがり症。そして、この話の元凶。
え〜......シナリオはなかなか。
この人のキャラクターというか、そう言うのがよく出ていましたかね.......ま、笑えると言うか、主人公への愛情と言うか過保護っぷりの豪快さは他のシナリオでも発揮されていますが、しかしまぁ、と言うか(^^; そして極度のあがり症と甘い物への執着は彼女はシナリオの中でよく表現されていたと言えるでしょう。
例えば文化祭の委員会での暴走っぷりとか、準備中に乱入しておかし強奪とか。えぇ、笑いましたとも(^^;
そして、核心部分もよくできていましたかね......記憶を失っていく主人公への態度と、自分の過去の過ちの重さが大分というか。だから、主人公が連れ去られる時の絵がかなり「重み」を増してくると。
ちゃんとそれまでの心情が現れているからこそ、と言うシーンだったと思います。
ただ、クライマックスはちと説明が難しいような.......(^^;
キャラクターですが。
まぁ、とにかく「過保護」ですかね。何から何まで強烈なインパクト。そして、他のヒロインが入り始めると出てくる「嫉妬」。もう目茶苦茶というか、笑えると言うか。
ま、とにかく主人公との信頼関係の強さと言うものはよく表現できていたと思います。結局、彼女の過ちから始まった出来事への責任感と言うものもあったのでしょうが.......ここら辺の表しかたは言葉であれ態度であれ、よくできていたと思います。
個人的には結構気に入った娘さんです。
- 楠若菜
口癖より「カナ坊」。病弱だが一生懸命。「ブルジョア」で基本的に常識的だが、どっか天然。「キリン」。そして栗への執念は異常の極みがある。
個人的には彼女のシナリオが一番出来がよかったかなぁ、と思っています。
ま、病弱故のハンデと、その境遇に対する自分の接し方と言うものを確立し、そしてあがいて文化祭や体育祭でそれを、とやっていますが。とにかく彼女自身の優しさや強さ、そして「生きる事への懸命さ」と言うものはよくできていたと思います。「友人の中にいて、当たり前の学生生活を送る事」へのひたむきな態度は本当によくできていたお思いますが。
とにかく、主人公への恋心と主人公が若菜に見せる配慮ってのがシナリオの核にあり、それをちゃんと示せたと言う事もあって深みを持たせられたのではないかと思いますが。「思いを伝える」のがよかったキャラクターではないかと。
そしてクライマックスとエンディングは、やはりその延長上と言うか。彼女の優しさと強さ、愛情という部分でキッチリ出来ていると言う。もちろん、それを支えるだけの主人公の役割があったわけで.......記憶を取り戻すまでの過程もある話でしたから余計に、でしょうが。だから笑顔が印象的というか、ほっとするものがあるキャラクターだったと思います。
キャラクターですが。
え〜......なんつぅか、天然だけど鋭く、そして所々で主人公達のボケの被害に遭い、そしてボケの対象となると言うのがなんとも(^^; 笑えると言うか。ま、背景を考えるとおそらく彼女の望んだものだったとも思いますがね。
ま、とにかく彼女の一生懸命さはよく出ていたと思いますが。そして、周辺もそれをよく承知しているからこそ、彼女を仲間として扱っていたと言うか。そう言うのが見えている感じがして良かったと思います。
気に入ったキャラクターです。
- 尼子崎初子
神社の娘。胸の大きさを気にし、それについて触れると起こる。梅好き。奇抜な発言と行動は強烈で、主人公を上回る「問題児」であるものの、嫌みが無いので嫌われない。彼女と忠介、主人公が集まると周りは恐れるが.......(笑)
シナリオとしてはなんつぅか。
え〜、ちと彼女の意思表明への過程がちと忙しすぎたかなぁ.......と思いますが。あの豹変ぶりと言うか、異様な尽くしぶりと裏表というか、打算的な部分がまた彼女らしいと言うか(^^;
ま、とりあえず彼女のおった宿命と言うか、由緒ある神社に生まれたためにあがく、と言う事が行動に直結する事が判明するわけですけどね......ただ、とにかく豹変ぶりの激しさにちと違和感がありすぎて、なかなか身に入らないと言うのが.......もっとも、想いが純粋なのは分かるわけで、だからこその逃亡劇だったのではないかと思いますが。
にしても、何つぅか........
メインでは弱かったかも(^^;
ま、この娘さんは脇の方が面白いと言うか。
とにかく、忠介が関与した時の暴走っぷりが良いですね。誰も歯止めがきかない(笑) でも仲間意識が強く、特に若菜への友情はかなりよいものがあると言うか。よく描かれていたかと思いますがね。だから二人ならんでの会話には暖かみがあると言うか。そして各所の冷静なツッコミに、暴走の幇助がなんというか......
脇だとこの娘さんのインパクトは大分高いです(^^;
- 佐久間晴姫
「はるぴー」。主人公が「兄」と慕っていた人物の実妹。女子水泳部所属のエース。よく使う言葉は「絶対」と「殺す」(笑) 体力学上有利な体形。直情型でまさに瞬間湯沸かし器だが、結構尽くすタイプ。料理の腕は絶品。犬が苦手。
基本的に彼女は自身のシナリオでの登場しかなく、他シナリオではほとんど出番がないですが。
ま、結構気に入ったシナリオと言うか。笑ったシナリオでしたかね.......とにかく最初に訳を見せない彼女の主人公への反発と、それをあまり気にせず接すると言うか、火に油を注ぐ主人公とのやり取りは爆笑させてもらいました。と言うより、まさに「デリカシーがない」会話と言うか......(^^; で、文化祭や体育祭も笑えましたが.......と言うか、あのメイド服を用意した忠介は何物なんだと思わせるものがありますけど。
ひとまず、わだかまりが解けた後の彼女の変化もまた凄いですが。結構また面白かったですかね.......暴走気味で(^^; ただ、彼女自身の優しさと言うか。気を許した後の信頼感の持ちかたというか。そして、兄の影を主人公と追っかけていく様はよくできていたと思います。大分べたべたでしたけど(^^;
そして、クライマックス〜エンディングがまた彼女にとっては強烈な不幸から始まると言うか。
記憶を途中で失い、警察に行き、事情を知らない彼女の懸命な願いが本当に。大分記憶を失った主人公の細部が描かれていますけどね。ちゃんとそれまでを見ていたら、その落胆ぶりの強烈さはなるほどと言うか。ちゃんと理解できると言う。
まぁ......よく考えると、主人公も罪作りですね。
兄の影だけでなく、主人公の影も彼女に追わせる事となったわけですが。でも、エンディングでちゃんと、と言うか。まぁ、それまでがちゃんと描かれているからこそ、のハッピーエンドだったと思います。
にしても、あの髪形は水泳では邪魔になる気がするんだが.......(^^;
- 小泉ひより
教育実習生。壮絶なおっちょこちょい。小泉鞠音の姉。高校時代にいじめられっ子。「くしゅー」(笑)
彼女のシナリオ、結構面白かったと言うか。
姉倉子鹿が前半で非常に大きな役割をしているシナリオでしたが、この子とひより、主人公との関わりが面白かったです。まぁ、結局は「成長」する話だったとも言えるのでしょうけどね......まぁそう言う意味では子鹿の存在が大分大きいと言うか。結構個人的にはここら辺は良くできていたなぁ、と。
そして、その後もまた、ですが。
徐々にひよりの成長が見える、と言うのは良かったのではないかと。主人公の本質をおそらく外部の人間として見抜いたのは彼女だけではないかと思います。まぁ、それも彼女自身が苦労した故と言う事なのかもしれませんけどね。そこら辺の表現は良くできていたと思います。ただ、その割にあのおっちょこちょいというか、どじっぷりの改善がないのがまだなんつぅか(^^;
らしいと言うか。ただ、個人的には妹である鞠音とのやり取りがほぼ僅かで終わってしまったのが残念でしたかね......もう少し、この姉妹について掘り下げてあると良かったかと思います。
で、クライマックス〜エンディングがまたなんつぅか。
他のキャラクターに比べると少し薄かったかな? ま、ちと先読みが出来てしまったのもあるかと思いますがね(^^;
それにしても、おっちょこちょいなキャラクターですが。
文化祭での「活躍」ぶりが良いですね......クラス中がよく分かっていると言うか(笑) そう言う意味で味があると言うか。この人物のルートでないと、本当に「大ドジ」なだけと言う構成になるのがなんですが、でも味があって良かったかと。
笑わせてもらいました。
○脇役達への賛歌
主な人物のみ。
- 真田武彦
佐久間晴姫の実兄。主人公に大きな影響を与えた人物だが故人。
各所に名前だけ出てくるキャラクターですが.......キーパーソン、と言うかなんというか。しかし、少し消化不良だったかなぁ、と思うものも無きにしもあらず。まぁ、主人公と晴姫、そして部分部分涼香への無言の圧力となるような人物でしたが。
結局、この人物が自殺したのは何だったのか? そこら辺がもう少しあれこれ絡んでくればなぁ、と思うものはありましたか。
ちょっと、薄い部分がありましたかね.......
- 江ノ尾忠介
主人公の親友にして同級生。学級の級長。常にモノクルと白衣を着ているマッドサイエンティスト。
いやぁ、良いキャラクターでした。あの底の知れない暴走ぶりと、それを認知している周辺の表現が良くできていたというか。ついでに、また主人公の事をよく理解しているキャラクターであったと言うか。結構どんちゃんの中心にいて、問題を起こすものの、しかしなんだかんだ言っても主人公を助けてくれたりとか。
味があって良かったですね.......と言うより、底が知れない(^^;
また、ただ主人公の「呪い」が進行すると徐々に役割が無くなっていくのがちょっと残念だったかなぁ、と。コイツならどうしたのか、と言うのは結構興味があったんですがね。
- 姉倉子鹿
不良共に絡まれていた所を主人公に助けられた小学生。口癖は「〜風味」。いじめられっ子。
ひよりルートでのみ登場ですが、面白かったと言うか。良いキャラクターでしたかね........少なくとも、そのルートにおける必須の存在となるキャラクターでしたが、良くできていたと言うか。結構核心を突くキャラクターであったと言うか.......にしても、ちと年不相応な部分があるような(^^;
ま、味があって良いと言うか。気付けば話の中にがっちり組み込まれていて、非常に良い雰囲気を作ってくれていました。
結構気に入ったキャラクターです。
- カナ坊のおかん
微妙になんですが(笑)
結構重要と言うか、話のつなぎ目に登場してきましたけどね.......不思議な人だ.......(^^;
- 和尚
主人公のクラスの担任。
面白いと言うかなんというか。微妙に物騒と言うか、底が知れないと言うか(笑) 子鹿が邪魔と言う主人公へとひたすらな「アドバイス」がなんか......
微妙に黒い......(^^;
以上、ですね。
ひとまず会話の妙や表現の豊かさは良かったかと思います。キャラクターの出し方などは良かったと言えるでしょう。ただ、一つそのイメージが重なってしまったのは残念かなぁ、と思いますが。楽しめたのは確かです。
・供与者への謝辞
どうもありがとうm(_ _)m>「かるま」氏
(最終更新 2003/08/24)
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