鎮花祭(はなしずめのまつり)
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プレイしてみた「鎮花祭」の感想&供与者(Aoxさん)への独断と偏見に基づくレポート。面倒なので大きくネタバレしています。尚、18禁です。
評価(5段階中):3.6
シナリオ完了順:神無月めぐみ→秋端優依→犬上くるみ→内田美奈子→ルリア・ウィンストン→倉橋ひなた→加門緋美子→鹿島真緒→御影更紗
「MISTY」の作品。桜の木の下で待つ少女との逢瀬と、「形代をあげるよ」の言葉。謎の夢の意味は? 過去の風習が強く残る葛城市を舞台に、春に行われる「鎮花祭」を中心に主人公とヒロイン達が、ストーリーを展開する、と言う話。
基本的に「数日間」のストーリー展開がなされます。
○総評
結構評価的には難しいですが...........一部の強烈なキャラクターと行動などが印象に残ったりして、色々と笑ったりしたんですが、対して「今一つ」という所もあり、「PARTS」でやったようなな「上と下のギャップが激しくて、平均とったらこういう点になりました」と言う感じの評価です......振幅の幅は「PARTS」よりは無いのですが。
ヒロインをクリアーするごとに後の選択肢が増えるシステムを採用しています。ここまで本格的なのをやるのは初めてですが、それほど悪いものとは思いませんでした。中身をみると、余りヘビーなものではなく結構ひょいひょいと進みますし、また日数も短いので一人一人のシナリオのテンポは概ね良いと言えます。ただし、選択肢が良くわからない点とキャラクターが多いので、全部終わるのに相当に一苦労する作品です。また、一人当たりの密度はやや薄めとも感じました。実は最初の印象は薄っぺらくて結構悪かったのですが........同じくキャラクターの多い「To Herat」に通じるものがあると言えるでしょう。ま、徐々に補われたりして最終的にはある程度のものになる、と言うのは良い点だとは思いますが。ただ、いくつかの欠点を補うかのごとく異様に強烈なキャラクターが存在し、その存在で結構、と言うのはありました。ただ、文章の表現力がまだ足りない部分があり、そういったところで「ん〜」と言うのも目立った様に思えます。
ま、良い点と悪い点が結構混在しているという........そういう意味でこの点数、です。
○難点
取りあえずシナリオ等の評価の前に数点。
- 文章力
ん〜........今一つ、と言うか。時々もうちょっと欲しいなぁ、と言うのが実際というか。一画面辺りに表示される文章が多いので、結構疲れるのもありましたけど、もう少し、と感じるものがあります。
時々「なかなか伝わってこないなぁ」と言う部分がありましたから。
- 誤字・脱字、文字等
ん〜〜〜〜〜と言うのがちょくちょく。特に神話の要素が大きいですから、「読み」に関してはもう少し頻繁にだしてもらわないと読めません。また、読みを出しても頻繁だったり、なかなか出てこなかったり、と言うのはちょっと困ります。
- 登場キャラクターの多さ
全体的に出演者が多いですね.......シナリオ限定で色々とでる、と言うのは分かるんですが、通常でも関与するのが多かったりして、実は結構覚えきれなくて苦労しました。もう少しタイトに絞っても良かったかも。他にもヒロインが多過ぎて、密度が薄くなっている感が結構ありましたので.......いや、ヒロインでも忘れかかる様な話はちょっと........
尚、これは減点対象にはしませんが......
VirtualPCだと、「回復不能のプロセッサエラーが発生しました」とか、色々と障害が起こることがあります。どうも音楽が始まるタイミングと関係しているようです。これを回避するには、Controlキーを押して音がなり始めるまで文章を飛ばす、と言う手法で回避できます。
これに気付くまで、数十回はエラーを起こして断念しかかりました。
○シナリオ以外の評価
- システム
基本的には問題ないですが、未読処理とか付けてくれるともうちょっとありがたいかなぁ、と。
クリアー毎に分岐が増えていくシステム(そのもの)は概ね合格点と言えます。ただ、これに絡んでシナリオが........と言うのは後述します。
- 音楽
及第点ですかね。概ね雰囲気に合った曲が使われていたと思います。
個人的には、夢の逢瀬のシーンなどで使われるのとか好きです。
- 調査等
神事など色々と関与するわけですが、良く調べられていたと思います。あんまりオカルトに飛ぶと意味不明で困るのですが(^^;; ただ、色々と調べられていたのは確かでして、この点は良く出来ているでしょう。鎮花祭も調べたところ実在しますし........
ただ、物部と祭事は関与しますが、舞台が葛城市ってのはちょっと「?」ってのはありますかね。いや、物部氏より前には葛城氏が神事を行っていましたし、舞台が「葛城市」ですから。
多分、舞台は奈良県です、これ(^^;
○シナリオ感想、評
神事や伝承をベースに、と言うことですが.........色々と良く調べられており、それを作品に反映していたのは良かったと思います。ただ、肝腎のシナリオでは、ヒロイン毎の濃度の濃淡がちょっと大きすぎまして........一つはキャラクターの多さにも起因していると思いますが、良いのは良いのですが、もうちょっと「どうにかならない?」と言うのもありました。他にも、「設定」の部分での共通化とシナリオ毎に異ってくる部分が微妙に曖昧だったりして「???」という所。また、分岐が多くて「どれを選べと?」と言うシーンがちょっと多過ぎて結構苦労もしましたかね。時間がとにかくかかる作品です。
あと、結構気になるんですが、特にバッドエンドルート確定で平気で矛盾点を露呈させるのは、作品としてはどうかなぁ、と言う気がします。例えば、布留理緒に憑かれた鹿島真緒がでたりしますけど、「一回も会ったことが無い」のに平気で「あれは真緒ちゃんじゃない、布留理緒だ」ってのは相当に変では? こう言った点での完成度が非常に低いと言え、これの一因とも言える「ルートが終わるごとに、新規ルートができる」と言う様なシステムを未消化に終わらせている感がありました。後は、「結局あれは何だったんでしょう?」と言う部分。いや、「話で出てきた設定が無駄に死んでいる」のはかなり目に付きました。もうちょっと上手く生かすなりすればなぁ、と.......
ま、ちょっと「幅広くやりすぎて収集つかなくなった」様な感じがするのは減点と言えるでしょうか。
キャラクターは概ね確立されていますが、シナリオの濃淡が激しいのを反映して、印象に残ったり残らなかったりと言うのが残念でしょうか。ただ、一部が異様に突出したキャラクターが存在し、色々と悪い部分を補完していった様にも見えます。ま、文字通りの「個性的なキャラクター」を作りだしているのは十分に評価できると言えます。実際、何度か爆笑させてもらいました(^^; また、別シナリオでの設定を生かした部分がちゃんとあるのも良かったと思います........生かせてない部分もあるのですが(^^;
後は力が入っていた部分に「食事」がありましたかね。いや、これは素晴らしい。今までやったゲームの中で、これほどまでに食に力を注いだ作品はない! と力説できます。ここら辺の描写は抜群でして(笑) ある意味作品中で最も力が入っていた部分かもしれません。
ま、良い部分と悪い部分のギャップがちょっとなぁ、と言うのが残念なところでしょうか。
もうちょっとヒロインを絞って分岐やストーリーを密度を高くまとめることが出来れば、と思えます。
○各シナリオ毎の評価や人物評(クリアー順)
- 神無月めぐみ
一応メインヒロイン........か?(^^;
一番最初にどうやらクリアーさせられるらしいシナリオ。キャラクターを存分に発揮しており、そう言った部分では良かったと思います。夢での逢瀬の辺りなどとシナリオとの繋げ方は良い味を出していると思いました。
人物的には良いですね、味があって。硫酸銅溶液飲ませるとか色々と「実績」持ちである点を結構発揮しているというか(笑) 各シナリオで相応に活躍していまして、なかなか面白かったと言えます。
- 秋端優依(ゆえ)
主人公の姉。主人公を起こすのに関節技をかけ、酔っては関節技をかけまくるキャラ(笑)
シナリオ的にはなんとも言いにくいですが、キャラクター的には強烈に印象を残す一人です。と言うか、あの天然ボケぶりと加門家にいる人々の恐慌ぶりのギャップが強烈に面白く、所々笑わせてもらいました。特に緋美子をパニックに陥れられる唯一のキャラクターと言うのがなかなか楽しいです(笑)
実際には、かなりしっかりした人物なのでしょうね.......
- 犬上くるみ
中学部にいる、狗神を操る、と言うキャラクターですが.......ちょっと薄かったですかね、シナリオ的にもキャラクター的にも。
実は今一つインパクトが薄いです。もうちょっと活躍の場が........と言う気が(^^;
- 内田美奈子
全シナリオで不幸な役回りを演じるキャラクター。いやはや、お疲れさまです。
くるみのシナリオで派生してくるルートなのですが、シナリオがシナリオのせいか、今一つ印象に残りません。活躍.......できないよなぁ、あぁ言う話の展開じゃ........
- ルリア・ウィンストン
イギリスからの留学生にして、正体は1/8血族と言うキャラクターでしたか。
シナリオ的に見ると、個人的には彼女の曽祖母である加門氷雨が面白かったかも知れません。っつぅか、むちゃくちゃなキャラクターだなぁ、と言うか(^^;; 何気に本人の勢いを食っていたような気もします(^^;;
キャラクター的には、各シナリオでちょこちょこ出てきていますが、色々とあっさりした印象のキャラクターと言えます。
- 倉橋ひなた
中学部の「ピュリッツァー賞候補」を目指す後輩、ですか。主人公とめぐみに懐いていますけど........
シナリオ的には完全に「緋美子のおもちゃ」になっていた感じもしますが(笑) 妙なキャラクター、と言う印象があります。個人的に笑ったのは、オーラス........って、更紗の「出番がないじゃない!」だったりするのですが(笑)
- 加門緋美子
加門家の宗主、ですね。斎宮で色々と忙しい人物ですが。
シナリオもキャラクターも全てが突出して面白い人物でしたかね。全登場人物のうち、一番面白く、そして印象に残るキャラクターでした。所々の宗主としてのまじめさと、趣味全開のおふざけの差は非常に楽しいというか。性格がしっかりと完成されているので、他シナリオでも笑えるんですよね........ 少しずつ趣味がわかってくる様は、非常に面白いものと言えます。
ま.......テレビ見てはまったり、嫌がらせのごとき妙なコーディネートしたり、コスプレ趣味かきぐるみ趣味か不明ですが、なんか色々ともっていたり......と、大食いでもありますか(笑) 後は壁にへばりついてデバガメしていますね(笑) 後は、神にかかと落としを食らわせ、クロスカウンターをも決める、と。
この作品では、一番気に入ったシナリオであり、キャラクターだったりします。
- 鹿島真緒
妄想暴走娘(笑)
脱魂型巫女の才能を持つ、ということですが........利用されたり、相手に影響を与えまくったりと非常に「いい迷惑」を炸裂させるキャラクターですかね。色々と、笑わせてくれますが.......豪快な鼻血とか、妄想炸裂は強烈な意外性を持たせてくれたと思います。
いくつかのシナリオで活躍(?)していますね。
設定が有効に使われたキャラクターかと思います。
- 御影更紗
「形代をあげるよ」の本人。メインヒロイン........か? めぐみとどちらがメインか不明ですが。
本題の鍵を握る謎のキャラクターですが.........なかなか謎めいていて面白かったと思います。が、本格的には1シナリオだけしか活躍しませんから、全体的には少し印象が薄くなってしまうでしょうか。これが他と比較して残念だったかも知れません。
内容的には良かったと思います。とにかく、夢の内容やオープニングなど、全てがきっちりと絡まってくるので内容的には自然と充実したと言えるでしょうか。
結構気に入っていますね.........
○脇役達への賛歌
今回は多かったですね。
- 御子神綾人
主人公の幼なじみですか。まじめに神職に邁進していますけど.........悪役やったり、まじめに気苦労したりとお疲れさま、でした。
- 布留理緒
いくつかのシナリオで出てきますね.........って、めぐみのシナリオ以降消えちゃいましたか(^^;; もうちょっと色々とでてくれると、と言う気がしたのが残念。
- 石上網彦
拝み屋にしてライター........って、神職だと思ったら坊さんだったんですかね? いや、真言唱えていましたけど(^^;; いくつかのシナリオで結構良い仕事していたと思います。
- 櫻井さん
優依と同じ研究室にいる学生さん。ちょい役(笑)
#しかも電話だけだ(^^;
- 斎藤
英語科教師。人気者(笑)
悪役やったり、追いつめられたりとお疲れさまというか何というか(^^;
- 加門氷雨
110歳を越えながらあの容貌に性格......血は争えないというか何というか(笑)
個人的には、ルリアよりも目立っていた気がします(^^;
- 篠崎克也
上級生。思わせぶりの部分が大分ありましたかね。基本的には一シナリオだけしか関与しませんでしたか。もうちょっと活躍してくれると、と......(^^;
- 鈴鹿俊祐
緋美子のシナリオででてきましたか。悪役。
しっかりと役割を果たしていて、良かったと思いますが........ただ、加門家の宗主なのに「鈴鹿」と言う名字は一体.......?
- 妃乃
きっちり役をやっていましたね。
強欲ぶりを発揮していましたけど(笑)
- 佐織
巫女さん。飯、美味いんでしょうねぇ........(笑)
- 大物主神
各シナリオで何となく性格が変わっていましたが(^^;; まぁ、めぐみシナリオではそれなりの理由があるので良いといえば良いですけど。結構調子のいい神様ですな(^^;; 何気に好きなのは、緋美子のシナリオ。クロスカウンターやらかかと落としやら.......(^^;
しかし、活玉依毘売に勝てないのは弱点か?
- 活玉依毘売(いくたまよりひめ)
数回ご登場、と言うところでしょうか。一応、もとは人間ですよね........彼女は(^^;
結構、めぐみと性格が似ているような気がしますが、気のせい?
以上、ですね。
ま、結構不満と笑いとがある作品でしたが、もう少し、と言うのが強いです。特に、密度とトータル的な完成度、まとめ方については不満があります。もうちょっと、「他も見て」まとめてくれれば........結構改善された部分もあるような気がするのが惜しいです。
ただ、結構笑えたり良いと思うシナリオがあったのは事実ですので、そう言った点では評価しています。後は食事の関係とか(笑) 印象に残ったシーンがちゃんとあるのは評価できるでしょう。
・供与者への謝辞
どうもありがとうございましたm(_ _)m>Aoxさん
(最終更新 2001/08/12)
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