Hello,World


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 プレイしてみた「Hello,World」の感想&供与者(Aoxさん)への独断と偏見に基づくレポート。面倒なので大きくネタバレしています。尚、18禁です。

 評価(5段階中):4.0
 シナリオ完了順:愛原奈都美→笹ヶ瀬薫→北城千絵梨→久我山深佳→友永遥香→久我山若佳菜

 主人公友永和樹は、人間の技術を超えた人工知能「無機脳」を搭載したロボット。「彼」は「HIKARI」の指令により、「グローバルイルミネーション」の為、人間の感情を調べるように指令を受けた。こうして「彼」は皇路学園に入学し、高校生として人間の感情を調査する事になるが.........
 Nitro+の第四作目。既存の「ハードボイルド」「殺さなきゃ殺される」テイスト全開の絵柄が一気になりを潜め、ほんわかとした絵に変わっています。でも外見だけというのは後で判明しますが(笑)
 尚、今回はCD4枚組みで、一般にDisc2を「第一章」、3を「第二章」、4を「第三章」と称するようです。ここでもそれに準じていく事にします。

 ちなみに、VirtualPC6.01で稼働させています。MacOS9で稼働させないとちと辛いかも......動画やアニメーション、声などは極力切っています。今回は結構あれこれ動くんですけど、ちとVPCでは辛いですので.......


○総評
 え〜、Nitroものとしては今までで一番きつい点数にしていますが。
 一つの模索をしていった作品に感じます。色々と今までに無い毛色を見せていまして、更に初めて一人称視点だけで描かれた作品です。また、ヒロイン毎にNormalとTrueのルートを用意しています(一部例外あり)。
 戦闘や緊急時の「強さ」は相変わらずで良かったですし、また話の強烈さやよく考えられた設定とそれを活かしたシナリオ作りはさすがです。昨今の「物語」を作るメーカーでここまでアイデアを詰め込み、そしてキッチリ屋台骨を作っていくのはそうそう無いでしょう。システムもより良くなっており、選択肢に戻るが追加され、更にスキップ時に描画をあえて省いて高速で先に進めてくれるのはポイント高いです。
 では、何がまずかったか?
 個人的にはまず時間がかかりすぎた事。そして、それに見合う各個ヒロインのシナリオを提供し切れなかった事です。特に話を共通化しすぎて第二章、第三章でヒロインの存在感が薄い、もっと正しい言い方をすれば「一部のヒロインに寄りつつ、他のヒロインも皆平等にしてしまったが故に、特定ヒロインのルート上でありながら、その人物との繋がりに希薄さを感じる」様はちとまずいかと。ま、あわない部分もあったかもしれませんが.......巨視的にシナリオを見ると、その中心の部分で話の強烈さはあるので話その物のインパクトは強いですが、ヒロインの存在意義に疑問を投げ掛けてしまいかねない部分はどう取るべきか?
 一応、話の根幹にある部分=屋台骨はしっかりしていて、その部分が非常にハイレベルでインパクトあるものを提供しているのは確かですが、ヒロインがそれに対して単なる「従」に過ぎず、それゆえに薄れていった感は否定できないです。
 結構手を加える事になるでしょうが、二ルート用意して個性ある話がnormalだけでは、片手落ちですよね....... Normal並に手をかけたTrueがあれば、文句無く4.4とかそれ以上まで行けた可能性はあるのですが......
 これ、かなりもったいないと思います。
 ま、しかし面白いのは確かですけどね(^^; 時間さえあれば楽しめると思いますが.........

  以下ネタばれ  

○難点
 取りあえずシナリオ等の評価の前に数点。

○シナリオ以外の評価

○シナリオ感想総評
 シナリオに関しては前述の通りの評価ですが........まさに「駆け抜けていく一ヶ月(実際にはそれ未満)」と言う、そして「ヒロインたちの成長物語」でしたか。密度は濃く、カレンダー見て「まだこれだけしか」と思う部分も(笑) ただ、ちゃんと考えていくと、エンディングテーマのが分かるようですね。
 つまり、「煌星」は和樹であり、和樹のいた時間はまさに「永遠の つかの間の」様な時間の中の話という。

 取りあえず、第一章の「ぬるさ」と第二章、第三章の強烈なギャップは見物ですねぇ(^^;
 多分、既存の作風を中心に考えていた人は第一章のぬるさに期待外れに感じ、二章からのNitro節炸裂具合に「やっぱりか!」と思うでしょう。誰が第一章を見てその先に「生死を掛けた激しい銃撃戦」が待ちかまえていると思うのか!?(笑)
 設定なども良くできていましたし、その活かし方、展開などは評価できます。非常に見ごたえ・歯ごたえのあるイベントがあったのは素晴らしいの一言です。
 また、初めて完全な一人称で話が進められましたが、個人的には悪くなかったですかね。また、無機頭脳の成長の過程やその説明、そして主人公の変化の表現は良くできていると思います。まぁ、ちと最後まで「ロボット臭さ」が抜け切れませんでしたが、それも味でしょう。
 個人的には、和樹が残した手記、と言うのは結構興味がありましたが。まぁ、何となく分かるものはありますけど。
 他のキャラクターの個性も遺憾なく発揮できたと思います。キッチリとキャラクターが立っているから楽しい、と言えますし。それぞれの人間関係についても主力組は良くできていたと思います。

 ただ、第二章および第三章のTrueルートにおける話の共通化が本作での失敗かなぁ、と。
 基本的には「一つの大きな骨格となるイベント・話」が大きく存在し、その周辺にヒロイン毎のシナリオがある、と言う感じでしたが。中心の屋台骨部分は太く、非常に手ごたえがある上に良くできています。が、その周辺のヒロイン達のシナリオがまた何というか........
 一応、やれば分かる通りメインヒロインの愛原奈都美を中心に世界が回っています。そして、彼女の関係が屋台骨に深く関与しており、それが他のヒロインでも等しく発生している為、彼女らの存在が薄くなったというべきでしょうか。と言うより、下手すると奈都美すら存在が薄くなっていくという。逆に別の、麻生純子などが強烈な程の個性を持って話に参加していくというのがまた.......第二章と第三章、個人的に「メインヒロイン」が麻生純子としてもおかしくないんじゃないかと思ったぐらいですから.......
#何となくでNitro+の人気投票を見たら、案の定トップだし(^^;
#えぇ、よく分かりますとも。
 まぁ、やっぱりヒロイン毎のルート上で「その人物ならでは」の話が第二章から減ってしまい、共通して「薄くなって」いってしまったのが痛いですかねぇ。例外は各人のNormalルートですが、Trueもそれくらい力入れた方が良かった気もします。たとえ攻略対象のヒロインを減らしてでも力を入れて欲しかったですかね、個人的に。
 だって、一回奈都美ルートのTrueを見たら、Trueに関しては各人スキップでオーラス以外が全部飛ばせてしまいますから。第二章、第三章でヒロインが話の中心で「活躍」出来ていたか? 特にルートの対象となったヒロインはどうだったか?
 それが薄いならあまり「ルート」は作って欲しくないですね.......特に時間を食う作品でしたし。

 後は共通化の弊害として。
 いきなり「ろくに知らないヤツ」がおもむろに出て話の根幹に関わるのはもうちょいどうにかして欲しいかと。上にも書きましたが、霧江がいきなり奈都美を拉致して大活躍。はて、この人誰? って感じはどうかと。後はVIFCの流行の様はかなり大規模に扱う割に、後半で極めて重要な「お願い君」信者の増加があまり触れられておらず、ニュースで一回程度、後はみここが出る程度で「へ?」と思う物があったのも正直なところ。
 もうちょっと何らかの形でサポートしても良かったのでは、と言うのが正直なところです。特に霧江がなぜ「お願い君」信者になったのか、結局よく分かりませんでしたし。千絵梨ルート上ならなおのことですが........

 まぁ、そういう意味でシナリオの根幹部分は良いと思いますが、骨が太く手ごたえがあり出汁もよく出るけど、肉が「美味いけど」厚さが薄かった気がします。
 根幹部分が持っていたからまだ良かったと思いますけどね........まぁ、この手の話でヒロインが薄いのもまたどうかとも思いますので。もうちょっと工夫が欲しかったです。

 そういう意味では、今までの作品を越えたか、と言うと越えられなかったというべきでしょうか。

 そうそう、ところでタイトル「Hello, World」。
 作中に出てきたのは起動時の一回、そして奈都美のNormalの計二回出てきました。これ、どっちが「メイン」だったんでしょうかね?


○各シナリオ毎の評価と、主要キャラクターの人物評


○脇役達への賛歌
 多すぎるんで、取りあえず記憶に出てきた連中のみ(^^;

 以上、ですね。
 ま、大分実験的な作品に感じましたが。思ったより魅力は出せていたと思います。そして、骨太すぎてヒロインの余地が少なかったのが残念でしたが..........取りあえず、新しい取り組み、と言う点で意欲的だったのは評価しています。ま、ちと大ボリュームですけど(^^;
 後は、もうちょい「肉を厚く」して欲しいなぁ、と。それだけです。


 ・供与者への謝辞
 面白かったです。
 どうもありがとうございましたm(_ _)m>Aoxさん


(最終更新 2003/03/23)

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