Lien 〜おわらないきみのうた〜
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プレイしてみた「Lien 〜おわらないきみのうた〜」の感想&供与者へのレポート。
前半はネタバレ無しの「紹介」、後半はネタバレ編とします。
評価(5段階中):4.1
シナリオ完了順:近衛 柚→笹木 みなも→楠 若葉→鷹取 晶
去年出た「Purple」という会社から出たビジュアルノベル。18禁。友人「かるま」氏よりボムらました(爆)
○導入部分とストーリー紹介
青陵高校2年生の主人公「北倉士郎」は下校中に交通事故に。ふと気付くと幽霊として復活! 家(しかも寺)に帰ってみれば49日目だった。どうしようもない主人公は、両親の奨めで学校にまで復帰するが..........
ノリとしては「学園ラブコメ」物。しかも、かなりノリとしては軽いものがありますので、その手の話が好きならば問題はないでしょう。時々妙にヘビーですが.........
ちなみに、各所にマニアックなネタが用意されていますので、知らないと笑えないネタが多数あります。
○登場人物紹介(全シナリオ共通のみ)
- 北倉 士郎
寺の息子。強い「力(霊力?)」を持つ。交通事故で死亡して、49日に幽霊となって戻ってきた不幸なやつ。かなり妄想に走る傾向あり。自称「ポエム無頼派」。やっているのはただの妄想の暴走。クラスの中ではほとんど「漫才」をこなすキャラクターとして扱われています。時々、妙な飛び方をするやつだが、考えるときにはしっかりと考える。他人への気遣いが何気に細やか。
そうそう。「サザンロック」を「デス」に変えてしまうジャイアンボイスの持ち主でもあります(笑)
- 鷹取 晶
おそらくメインヒロイン。主人公の幼なじみ。生前からの腐れ縁状態だが、主人公に気はある。霊感があり主人公を見ることも出来るし触ることも出来る。剣道部主将で後輩からの信望も厚い。学校中での人気者だが、結構短気。趣味は人形集め。料理作りが得意。結構な大食漢。うさ耳リボンをしているが、隠れた秘密があるらしい(笑)
- 楠 若葉/青葉
こっちもメインヒロイン? 主人公の同級生。霊感が無く主人公の声しか聞こえない。いわゆる「文学少女」でおとなしいキャラクター。クラスでの「幽霊のお世話係」になってしまい、色々と難儀することに。主人公に対してはいつも怯えたような態度を取るが......... ちなみに、「もんもん星人」(笑)
青葉は若葉の「守護霊」として、シナリオ時に出てきます。正体は昔病死した若葉の双子の妹。
シナリオは二人が関与して動きます。
- 笹木 みなも
ヒロインの一人。後輩にして心霊科学部部長にして唯一の部員(笑) かなりドジで間が抜けているキャラクター。純情なねこ(笑) 主人公を「成仏できない霊」と言うことで執拗に成仏させようと追い回してきます。心霊事件をきっかけに色々と話が進みます。趣味はレディコミ収集........(^^;
- 近衛 柚
ヒロインの一人。学校の「いわく付き」の桜の木にいる地縛霊。かなり昔よりいるが、主人公とみなもの騒動により目を覚ます。「自殺した悲劇のヒロイン」として学生間に話が残る人物だが、その実態は「失恋の末のヤケ食い」が原因という......... かなり天然入っているキャラクター。糸目で音痴(笑) 「ちう」ってのがよく見かけるか?(謎) 妙な面白さをもったキャラクター
以下脇役
- 北倉 玄照
主人公の父親。ロンゲの破戒僧。主人公は「(このキャラがいると)三日で満腹、四日で胃もたれ、五日で胃潰瘍」とか言いますが、主人公の「先走り妄想モード」は明らかにこのキャラクターの影響(笑) ネーミングセンスは最悪。ギター弾きで霊力を込めて音で霊を攻撃できる。境内でライブなどを開くとか。かなりぶっ飛んでいるが、霊が絡むとポイントを外さない。やっぱり坊さんだ、と「時々」思わせる人物。また、時々見せる父親らしさが良い味を出します。
......にしても若い(笑)
- 恭子さん
主人公の母親代わり。とは言っても正体は狐(笑) 父親との激しいバトルの末に結ばれたらしい。玄照とは相思相愛の様子。
料理が上手で優しく、穏やかな性格。だが、こっちもやや思考が突っ走る傾向あり。面白いキャラクター(^^; 尚、何気に鋭い一言を放ってくれます。
- 藤枝 操
主人公の担任の国語科教師。心霊科学部の顧問。通称「スリーピングビューティー」。美人であるがやる気があるように見えない。結構ふざけた性格だが、教師としてのポイントは抑えている......と思う。霊感0だが「女のカン」は鋭い(笑)
- 竹之下武宏
主人公の幼なじみ。通称「タケタケ」らしいのだが、一回しか使われない。どっかに思考が闇の方向へ飛んでいて、あらぬ誤解を生ませる事も。ぶっ飛んでいるが、時々妙に真面目に話す事も。その正体は..........
- 同級生達
特別に(笑) 妙なノリ・思考を持った連中。精神年齢がかなり危ぶまれるような気がしないわけでもない(笑) 主人公を平然と受け入れる彼らはある意味大物であるかもしれない。毒舌な連中(笑)
○評価
- シナリオ
ノリがノリなので「あぁ、そう言うことか」で割り切る必要が結構ありますが、割り切れれば面白い、と言ったところでしょうか。ただし、主人公が霊故の「制限」が部分部分矛盾していたりして「???」という部分がありますが。また、進行上での矛盾点が数点ありました。気になります。
会話のノリはなかなか良いです。「わざと誤変換」させて(「お食事」を「汚色事」とか言って周りを巻き込んでみたり)楽しませたり、マニアックなネタで笑わせたりさせてくれます。が、分からないと面白くなかったり(^^; 結構「究極超人R」「アルプス伝説」とかありましたねぇ....... 会話以外でも色々と文章を面白くやっていまして、かなり気楽に楽しめました。
ヒロイン毎で見ると、キャラクターによってやや密度にばらつきがあるように思います。流れでは所々「穴」があったりと、部分部分だるい所が見受けられました。ゲームの制限時間を一律にしている故に、「何もない日」が続いて同じ会話繰り返しているのはちょっと......... これは減点対象です(ここら辺でKanonやOneなどが良く出来ていることが分かります)。ただし、大筋では良いとは思います。なかなか他のヒロインが話に関与したりとか、面白いものが多かったです。
余り強い「破壊力」は無いのですが、全体的な完成度は及第点だと思います。残るものはありましたしね。
- システム
問題ないです。ほぼ完成されているでしょう。
表情を表す左下のウィンドウや、所々出てくるミニウィンドウが効果的だったと思います。ま、キャラクターの表情を直で変えても、という気がしないわけでもないですけど、悪くはないです。
- 音
音声があるんですが、HDの容量と興味の無さからインストールしていませんのでそっちの評価はしません。供与者によると「バランスが悪い」らしいのですが。
音楽は問題なく聴けました。雰囲気に合わせてちゃんと使っています。そつなく、と言うことですね。
○感想と総評
ま、やっていて結構笑っていましたねぇ.......限定ネタが多いのですが(^^; ただ、部分部分の「あれ?」ってのがやはり気になるというか何というか........それが問題ですかね。
余り大きな「破壊力」は実はないのですが、良い台詞や、シーン、と言うものがあるので評価はしています。各キャラクター(主人公、ヒロイン以外)の心情とかの表し方も良かったと思います。結構好きです。
尚、好みとしては........どれだろう(^^;; 個人的には晶がいちばんよかったですかねぇ.......まぁ、メインですから(^^;; 密度的にも面白かったです。
・供与者への謝辞
そう言うわけで楽しめた。ありがとうございましたm(_ _)m>「かるま」氏
以下ネタバレ関係
●ネタバレ入りの個人的感想、与太。
過去に「かるま」氏より供与された「PARTS」は瞬間最大破壊力が個人的に強力で忘れられないものでしたが、他がダメダメでした(^^;; で、「もうちょいマシなやつ」と言うことで来たのがこれでしたが........全体的な完成度は良かったと思います。
ま、もうちょっと破壊力のある物が数的にあっても良いかなぁ、という部分はあるんですけどね(^^;; 結構良かっただけにパワー不足的なものが少しありました。
でも、気に入っています。
○各ヒロイン毎のシナリオ評価(クリアー順)
- 近衛 柚
いやぁ.......一番短いシナリオですが、結構好きなキャラクターです。天然ですけど、時々真面目になるときとのギャップとかなかなか良いですね.........全CGを集めたければ二回プレイしないといけませんが、両者とも見る価値はあるでしょうね。
台詞というか会話はなんか楽しいですねぇ、この人(^^;; 天然なんで微妙にずれたりするんですけど(笑) 「うーうー、うーうーうー」とか好きです(笑)
しかし.......結構短いシナリオですけど、印象に残るシーンは結構ありますね。早香との話は特に印象的です。何となく「思い」を印象的に残すキャラクターの様に感じました。こっくりさん騒動とか、糸目を開ける様なときが印象的な事が多いように思います。優しさというか思いが出ているなぁ、というか。
ラストへの道。
いいですねぇ.........ラストシーン。こう言うのは結構好きです。穏やかで.......って、どっかの心中シーンにも見えなくもないんですが(爆)
オーラスは一体何年後だったのでしょうか?
- 笹木みなも
前半と後半で少しシナリオの温度差にギャップがあるかなぁ、と言う気がしますが。
良かったのは早香の話。いやぁ、楽しく印象的でしたねぇ.........一番ウケたのは「狐の人形と坊主と幽霊が」居間にいるという主人公の台詞(笑) 確かにおかしすぎる(^^;; 早香などが絡んで微妙なバランスの取り方をしていて、ここら辺は全部の話の中でもかなり気に入っている部分になります。早香の最後の台詞とか印象深いです。
で、後半は........実は印象が薄い(^^; う〜ん.......前半並の良さでやってくれれば相当に印象的だったのでしょうけど、実は後半は印象に余り残っていないんです。
そう言うわけで、ラストへのプロセス。実は印象が薄い。
う〜ん.......オーラスで感慨が最も薄かったキャラクターかも..........
- 楠 若葉/青葉
難儀な娘さんだ.........(^^;;
「北倉君、北倉君、北倉君、そこにいますか?」ってこっくりさん扱いだよなぁ(^^;; すぐ気絶するわ泣くわで難儀しますが。
シナリオ的には好きですね........晶との確執が微妙に見え隠れしますけど、この確執がちらっと見えたときに「あぁ、この子が事故の原因なのね」などとみなもの時に気づいてしまいましたが(爆) ま、それはともかく.......こっくりさん騒動以降がやはり良いですかねぇ.......ボケ、ツッコミやり始めたりと妙な一面が見えますが(^^; 話としては、青葉の登場以降がやはり良いです。青葉の姉への思い、ってのが非常に良く描かれていたと思います。それに関与する主人公も良い味を出していますね..........
で、ラストまで.......まぁ、こう言うのも良いのかなぁ、と思いました。ちょっと性急すぎる感もありますけどね。でも切実さは良く出ていたと思います。
そして、オーラス.........あぁ、「なるほどな」と。最初に感じたのはそれでした。その先がどうなったのか、が妙に気になる物はありますけどね(^^;;
一番「成長」を見せたキャラクターかと思います。
- 鷹取 晶
ベッタベタな話でしたけど、面白かったです。
まぁ、何ですか。幼なじみ故の話に、夫婦漫才状態が絶妙な物があって良い感じです。印象に残るのはいくつかの会話、うさ耳追及、「夢焼き肉」に若葉との確執。後は「過去最高」シリーズとか(^^;; らびちゃんの辺りも良いですねぇ...... とにかく会話が息が合っていて楽しいです。まぁ、全体的に良かったと思います。だから気に入っていますが。
しかし.......肉まん良く食うわ(爆) って、「焼き肉の償い」はどうなったんでしょう(爆)
ラストまで.......いやぁ、濃いですねぇ。一番密度があったと思います。最終日は「人間関係がこうだから」出来る、というのも良いですか。もっとも、「らびちゃん」の正体が大分パラドックスを生みそうですが(^^;; ただ、「泣かない」の約束がここで判明するわけですね....... まぁ、終わり方と言い、こう言うのも味があってよいですね。
で、オーラス.......人間と妖狐とのって思ってしまったんですが.......(^^;; まぁ、それはともかく彼女はそれからどういう話をしたのでしょうか?
しかし、こう見るとヒロイン全員「強い」です。非常に強い。うらやましいぐらい強いですねぇ..........でも、ここまで「思い」を残すことが出来ると言うのは幸せなことかも知れません。出来れば、ですけどね。
まぁ、もっともみなもと若葉のシナリオのオーラス部分。彼女らは30前後、と思うと微妙に複雑なものがありますが(^^;;
尚、共通して良かったのは、外野との掛け合い。
友人・同級生達、後輩達に親父と恭子さん。良く出来ていますねぇ.........親子間の会話は良かったです。ギャグ的な物も結構笑えましたが、宣告された日の夜。台詞は共通していますけど、良いですね........いや、分かるような気がします。印象的なシーンでした。
○脇役達への賛歌
妙な連中が多かったというか........(^^;
- 北倉 玄照
また強烈なキャラクターというか(^^;; 父親らしからぬ部分とか、僧侶らしからぬ部分がありますけど...........ただ、きっちりと肝心なときに僧侶として、父親としてのキャラクターが発揮されていますね。締まる時は締まっていて好感度高いです。とは言っても父親としては嫌かも(^^;;
とにかくも色々と好きなキャラクターです。
- 恭子さん
なんか面白い人ですけど.......いいですねぇ(^^;; 何気に一番鋭かった人(?)のような気もしますけど。主人公への愛情が非常に深いことが分かるキャラクター、といえますか。
しかし.......面白い人(?)だ(^^;;
- 竹下武宏/かがり
何気に鋭いやつ、とか妙に暴走モード入る笑えるやつ、とか思っていたんですけど.........そう言うことだったんですねぇ。
まぁ、ダークさっぷりには面白いものがありました。結構主人公達を気に入っていたんでしょうね......... 晶シナリオでの先刻シーンはなかなか笑わせてもらいました。
しかし.......困ったやつ(^^;
- 藤枝 操
恐るべし、スリーピングビューティー(笑)
しかし、良い味を持っていたキャラクターでした。もう少し出番があっても、という気もしましたけどね。
- 同級生達・下級生達(含剣道部員)
なんでこうも乗りの良い連中ばかりというか(^^;; みんな好き放題言っていましたねぇ.........
同級生連中は面白いですね。武宏あたりが絡むと目茶苦茶というか.........「モジャ先輩」とか(笑) 自分で突っ込めない主人公に代わり殴る女生徒なんて普通はいません(^^;
良い味出していました。
以上、ですね。
作品としては「会話のノリ」が良かったと思います。もうちょっと「流れ」には工夫が必要かなぁ、とは思いましたけどね。いや、35日で全部きっかり終わらせるようになっていましたから。そこら辺の制約を工夫すればよかったのに、と思いました。結構残るものはあるのですが、ストーリー上からかやや破壊力不足があったのも否めません。ただ、楽しめたのは事実です。
色々と笑わせてもらいました(^^;;
しかし......本当、ここまで思いを残せれば大したものです。
主人公、幸せ者かも........って、転生してもやっぱりあぁ何でしょうねぇ、若葉のシナリオ見るかぎり(笑)
大した幽霊でした。
(最終更新 2001/01/26)
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