SNOW
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プレイしてみたStudio Mebiusの「SNOW」の感想&供与者(Aoxさん)への独断と偏見に基づくレポート。面倒なので大きくネタバレしています。尚、18禁です。
評価(5段階中):3.8
ルート:一本道?(雪月澄乃→Legend→日和川旭→北里しぐれ→若生桜花)
龍神伝説のある龍神の里に、十年ぶりに、従姉のいる旅館のアルバイトに来た主人公。万年雪で年中雪の残るこの地で、来て早々に突然事故に遭う。奇跡的な回復を見せた彼は、当初の予定通りアルバイトを始めるが.......
数百年の間伝わる、悲恋の龍神伝説を話の核に据えて展開される、Studio Mebiusの作品。
ちなみに、VirtualPC6.03で稼働させています。DVD-ROM版で画面の効果を切ると管理人の環境では比較的問題はありませんでした(エンディングなど画面の負荷が多くなるとやや音飛びするシーンあり)
○総評
これは結構分かれる作品に感じましたか。
正直言えば、この作品の半分は魅力が今一つと言う内容で、しかし残った半分がこれがなかなか良くできていると言う所感があります。澄乃のシナリオが半端でその後のLegendで大分話の意味が補えるようになり、それからが面白くなると言う作品でしたかね.......もっとも、個人的には旭のシナリオは何となく半端であり、実質後半となるしぐれ〜桜花と言うシナリオで手ごたえを感じると言う。
話そのものの核には龍神の悲恋の伝説があり、結局それが分からないとさっぱり面白くなく、そしてその中核に絡んでこないと全く面白くない、と言う。そういう意味では「面白さ」が出てくるまで時間が掛かる作品に感じましたかね。実際、伝説が本格的に関わってくるようになるしぐれシナリオ以降はかなり面白さがあり、結構気に入っています。前半は今一つですが(^^;
その中核に絡む部分のシナリオは大分面白かったかと。各人の葛藤などは良くできていたかと思います。キャラクターも立っていましたし、特に芽衣子との会話は笑わせてもらいました。そういう会話の楽しみ方が結構あるかなぁ、と思います。
で、結構気になったのが所々「Kanon?」と思うような部分があったんですが、これは管理人だけでしょうかね? 猫がどっかで見た事があるような(^^; 音楽も少し似ている感じがしましたけど.......
絵はしっかり出来ていると思います。音楽もあまり問題はないかと思います。VPCでもあまりストレスがなかったので、その点はあり難かったですかねぇ.......
ま、とにかく前半のだるさと言うか、そういう部分で失点しまくっていますので取りあえずこのスコア、となっています。
取りあえず、そこまで耐えられる方は問題ないかと........(^^; 1時間だけやって判断する人には向かないと思います。
以下ネタばれ
○難点
取りあえずシナリオ等の評価の前に数点。
- 誤字・脱字、ファクトチェック
誤字脱字などはあまり問題がなかったかな? 特に気にせずに読めましたが.......
ただ、「万年雪」の土地の特徴はもう少し本気で考えたほうが良いかも.....植物、日本で見られるようなものはほとんどはえませんよ? コケとかその手の類いになるかと......木も生長が辛いか。
- 矛盾点・整合性
基本的な部分ではあまり問題はないように感じましたが。
ただ、結構気になったんですが、桜花シナリオで結局しぐれや芽衣子はどうなったんだろう、とか色々と。中枢となる伝説と天罰とのかねあいが結構明確になっていない、とか。そんな感じで、もう少し説明が遭っても良いような、と言う部分はいくつかありましたかね.......
気になると言えば気になりますが。
○シナリオ以外の評価
- システム
あまり問題はなし。基本的には及第点と思われます。基本的に軽量であまり不愉快はありませんでした。背景と身長差の表現を補う時でも重くも無く、また表現方法としては悪くなかったと思います。舞う雪も良かったです......もっとも、負荷軽減の為に切りましたけど(^^;
ただし、セーブ・ロード画面に関しては画像のロードが少し遅いような気がしますかね。何となくいらいらすると言うか。セーブ箇所が多いのはあり難いけど、もう少し工夫しても良かったのかもしれません。
後はCGと回想が一緒になっているのはなかなか良かったかも。
- 音楽
及第点。
何となくKanonで聞いたフレーズと重なるような曲が気になりましたが(^^; 全体的には良好なものであると思われます。特に気に入っているのは「空の揺りかご」。子守歌と言う事ですが、桜花シナリオでかなり良い感じで使われており、個人的には結構気に入った曲だったりします。
- 絵
問題はないのかと。
個人的には良くできているかなぁ、と思いました。もっとも、猫が.......シャモンが某ロシアの肉まんじゅうキャラクターに似ているのは非常に気のせいなのでしょうか?
○シナリオ感想総評
とにかくこれはいくつも言いたい事が.......取りあえず全部終わってから振り返ると、この作品の面白さは「伝説とどう絡んでいくか」と言う部分にあり、それぞれにトラウマやら天罰やらを残している訳で、その問題の中枢を扱わないと面白くない、と感じました。
っで、これを前提に見ていくと.......
まず、澄乃シナリオは面白くない! Legendと併せないと意味が不明の上に、併せても今一つ「?」と言う。これで結構やる気がそがれましたかね.......どうしようかと。ま、Legendをやってもう少しやろうかと思いましたけど。で、旭シナリオが完全に「おまけ」というか、どうにも伝説の本質と絡んでこないんですよね.......キャラクターはそれなりなんですが、何となく中枢から外れてしまったかと言う感じが。
だから、澄乃と旭のシナリオのペースでやられたら完全に3.0以下と言う......それぐらいの評価だったりする。
で、しぐれのシナリオからが本当に面白くなると言うか。Legendで見せてから今を果てしない後悔と共に生きる彼女がそれとどう付き合っていくのか? それと主人公がどう絡んでいくのか? そういう意味ではなかなか魅力的な話だったかと思います。ま、整合性的な部分が大分なぞが残るんですがね、これも。ですが、しぐれのキャラクターの感じと、塗り替えられる過去の笑えるような話が非常に魅力的であると言う。
そして、桜花のシナリオがまた面白かったと言うか良くできていると言うか。
個人的には桜花のシナリオは本当の意味での澄乃のシナリオでもある、と言う事なのかなぁ、と思いましたが。どたばたの極地みたいな部分もありましたが、なかなか愛情のこまやかさなど、見ていて良い感じの話であるかなぁと思いましたかね。成し遂げられなかった、白桜と菊花がいればこうだったのだろうか、と思わせるものがある。実際に主人公と澄乃、そして桜花との関係が非常に暖かくて良い。Legendが前提におかれていて、それを知っているからこそ余計に、と言う部分なんでしょうけど。
ま、そういう事で前半は評価できず、後半に高評価を与えていると言う感じです。
まぁ、そういう意味でこの作品、話の置き方をもう少し考えたほうが良かったのかもしれません。
Legendの部分をもう少し早めに出していけていたらまた違ったのかなぁ、とも思いますがね......
後は「天罰」の部分が結局曖昧になってきましたか。
結局、天の怒りだったのか? あるいは帰ってこない娘への思いが雪を降らせたのか? 桜花のシナリオでは雪が止んで春が来る......あれ? 天罰はゆるされたの? みたいな感じでなんとも。後は龍神の里の「悲恋が多い」のは伝説や天罰と絡んでいるのか? ものすごく気になるんですけど、あれは.......
○主要キャラクターの人物評
- 出雲彼方
主人公。フリーター。若生白桜の生まれ変わり。
結構しっかり者だったような気がしますが.......体力もあって適応能力も高いとなかなか。と言うよりも、周囲のごたごたに巻き込まれる性格だったような気がしますが。
個人的には、桜花シナリオでの「父親」ぶりが非常に良かったかと思います。後はしぐれシナリオでの、過去の話での「活躍」っぷり。腹抱えて笑わせてもらいました(^^; 無論、芽衣子との会話も......
- 若生白桜
Legendでメインとなる神主。天罰の元凶その1
しっかり者なんだかおちゃめなんだかよく分からんのですが......自覚が足りなかったと言うか。う〜む、と思うものもありましたけどね......そういう意味では彼方とは少し違ったキャラクターと言う気もしますけど。結局、彼は自殺をしてまで何を得たのか? 色々と難しいものはありますがね......
本当に元凶ですね.......
- 雪月澄乃
菊花の生まれ変わり。雪月雑貨店で小夜里の娘。動作はとろく、天然。あんまん好き。かなり純真......と言うより、疑う事を知らないキャラクター。
個人的に、彼女自信のシナリオは見るものが無く(^^; 桜花のシナリオで気に入ったキャラクターですかね.......母親っぷりが非常に良かったです。ま、柔らかいキャラクター、と言うか。結構しっかり者だったりしますけど........何と言うか、旅館経営前と後でキャラクターの評価が変わり、更に桜花の登場で変わったキャラクターです。
結構たくましいと言うか......
からかい尽くすには非常に楽しいキャラクターと言う気もしますけど(笑)
- 菊花
Legendで龍神の妹の方。元凶その2
まんま澄乃と言う気がしますけど(^^; 母性愛が強い、と言うのもそのままですが、やはり元凶を作った張本人ですね.......彼女自身がもう少ししっかりしていればまた悲劇も無かったろうに、とLegendで真っ先に思ったんですが。ただ、記憶を無くしていく様は非常に哀れであったかと。
ただ、死んで龍神から生まれ変わって人間、ってのもありなんでしょうかね?
- 若生桜花
白桜と菊花の娘。幽霊。彼女の話が話の根幹で、ある意味屋台骨となるシナリオ(^^;
ま、わんぱくと言うか色々と凄い話でしたけど。幽霊その物とは思わなかったですが、人間じゃないだろうなぁ、悲劇だろうなぁ、とは思いましたかね.......案の定、と言うシナリオになりましたが。
ただ、彼方と澄乃の間の子供、と言うのは良くできていましたか。彼女なりの魅力も結構あり、また積み重なった部分での最後が非常に良くできていると言うか.......「空の揺りかご」に非常にうまく合わさっているキャラクターだったと思います。と言うか、最後のシーンと曲、結構あれ卑怯だ(^^;
しかし、彼女のシナリオで天に帰った後に何故雪が止んだのでしょうかね?
天罰の終わりがはっきりしなかったのが残念でしたが......
- 日和川旭
掛け軸のうさぎの妖怪。
伝説と絡めると一連の「悲劇を見ていった」キャラクターですが.......取りあえず、彼女自身のシナリオでない限りは人の身体で登場しなくなると言うのがなんとも。特にしぐれ、桜花シナリオでの書き置きは非常に罪悪感が湧くのですが、これは気のせいでしょうか?
彼女自身のシナリオを見ると、押しかけっぷりが凄いですが、徐々に感覚が奪われていく様は悲惨でしたかね......何となく、彼女自身への天罰?、と言う気がしない訳でもありませんでしたが。何が天罰だったかは分かりませんけど。
そして、Legendとあまり重ならないので、やはり薄くなってしまったのが残念でしたか。
ま、うさぎの形態だと桜花のシナリオで活躍してくれますがね。でも、やっぱり端役........一応攻略ルート貰っていますけど、端役と言う感じが抜けず、それが彼女の悲劇だったかもしれません。
......天罰?
- 北里しぐれ
龍神の里に生きるなぞの雪女.......正体は龍神。伝説の悲劇以降を贖罪の為に生き抜く。
彼女自身のシナリオ以外はほとんど出番がありませんでしたが。結構気に入ったシナリオでしたかね.......ま、トラウマが強烈過ぎて色々とある、と言うのを前提にして、それをどうやって解きほぐしていくのか? それが大分気になったシナリオですが、その点は結構よく描かれていたと思います。白桜、菊花、桜花の墓で祈り続けていく背景と、その悲壮感と葛藤、苦悩、そして主人公の関与はよく描かれていたかと。
ま、本心よりも立場を優先していく性格、と言う事なんでしょうけどね......ストレス溜まるキャラクターではないかと。
彼女の心の闇を解いていく様は良くできていましたが、しかし一番面白かったのは「夢」の伝説の部分。「変な兄者」扱いされる彼方の話が非常に面白いと言うか、腹抱えて笑わせてもらいました(^^; あっさりあさひを掛け軸に戻してしまうし......花火のオチは最初の時点で分かってしまいましたけどね。
で、目覚めた時には夢落ち。
あの話、結局なかった事になったのか.......そして、しぐれ自身はあのラストの後、どう生きたのか? 人として?
#そういえばバッドエンドが後味が目茶苦茶悪い話だった........
そして、桜花シナリオで彼女はどうなったのかが極めて気になるんですけど......何らかの形で関与したらそれなりにとも思ったりしたんですがね。まぁ、自身のシナリオ以外はあまり活躍できませんでしたね.......
- 橘芽衣子(若生鳳仙)
本編のジョーカー。正体は若生白桜の妹。
まさか不老の人間とは思いませんでしたが.......(^^; 非常にミステリアスな役割をしていましたけど......まぁ、語っても信じてもらえないだろうしなぁ。勘の良い部分もありますし、苦労人でもありますし。もっとも、どうやって数百年間を生き抜き、そして桜花などのシナリオ後どうなったのかが気になるキャラクターでしたけど。
結構気に入ったキャラクターですね.......人気あるだろうとは思うんですが。
まぁしかし彼女の傑作は主人公をからかい尽くすところでしょうか? 結婚記念の干し首やバレンタインデーのゴキブリチョコには腹抱えて笑わせてもらいましたが。シリアスから笑いまで幅広くこなしていたと思います。
- 佐伯つぐみ
老舗温泉旅館「龍神天守閣」の6代目若女将。
料理の腕前が一流。実態は暴走列車......(^^; 日給200円の鬼。酒癖悪し。行動が突飛.......っつぅか、恨まれないんだろうか、この人?(^^; 笑顔で目が笑っていないシーンが結構あるのがある意味笑えますけど。食えないキャラクター、と言う感じがします。
しかし一方でかなり気を遣ってくれる上に、鋭く、色々と主人公のサポートをしてくれると言うのが良かったですか。ある意味笑えたキャラクターだったと思います。
- 雪月小夜里
澄乃の母親。雑貨店経営。未亡人。
え〜......この話で出てくる中で唯一の「常識人」ではなかったかと思いますが。この人が出てくると、色々と安心感がある、と言う意味では結構気に入ったキャラクターですかね.......しっかり者で愛情深い、と言うのがよく分かると言うか。
もっとも、時々「ちゃっかりこの人......」と思わせるものがありますけど。
しかしつぐみとの関係はなかなか面白いかなぁ、と思いましたけど。あの掛け合い漫才(バイト二日目ぐらいでのやり取り)は何と言うか......笑えました。
- 橘誠史郎
医者。(名目上)芽衣子の父親。
え〜、この人もかなり食わせ者と言うか。医者としては真面目......でもないか。祭りに手術予定の患者に麻酔かけてそのまま祭りに行く人間だから(^^; つぐみとの夫婦っぷりも結構面白そうに思えますがねぇ........その描写がないのは残念でしたが。
端役ながらしかし.....芽衣子とどういう生活をしているのかも結構気になるな。どっちが振り回していたんですかねぇ?
以上、ですね。
取りあえず、「右と左で真ん中がなくて、足したら真ん中ぐらいだった」と言う作品だったと思います。まぁ、全部最初のような調子だったら非常に苦痛でしたが、後半が良くできていた、特に話の根幹となる部分としっかり絡んでいたのは良かったと思います。
ま、楽しめたのは確かですね.......
・供与者への謝辞
どうもありがとうございましたm(_ _)m>Aoxさん
(最終更新 2004/08/12)
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