プレイしてみた「To Heart」の感想&供与者への独断と偏見に基づくレポート(有名どころだそうで、ネタバレ入り)。
評価(5段階中):3.6
シナリオ完了順:宮内レミィ→来栖川芹香→松原葵→姫川琴音→マルチ→保科智子→長岡志保→神岸あかり→雛山理緒
大分有名らしいビジュアルノベル。LEAFの1997年の作品で18禁。「Leaf Visual Novel Series Vol.3」だそうですが............. 高校生活の恋愛を描いた作品、となりますか。何となく「お昼のドラマ」の高校生恋愛物語版という印象がありました(^^;;
いや、オープニングテーマがあって、話があって、各シナリオに突入して、エンディングテーマにスタッフロール.........印象としてそういうものがありました。大分そういう「TVドラマ」を意識したような作りになっているように感じました。
まぁ、面白かったです。
で、評価ですが........
どうしても今までやった三つの作品(「One」「Phantom」「PARTS」)との比較になってしまいますが..........
○難点
・密度がなんとなく希薄。
この場合の「密度」は、各キャラクターの「シナリオ」ではなく、「全体としていた場合」です。
いわゆる「中だるみ」感というか、退屈する部分が大分ありました。原因はいくらか挙げられるでしょうけど...........この手の話で「true end」を見たい場合には「添い遂げる覚悟で」挑まないといけませんが、この作品の場合には最も多い選択肢となる「放課後での行動」が完全に「コマンド総当たりアドベンチャー」なんですよねぇ........これが大きいのではないかと思います。少なくとも、今までの作品ではこの要素がかなり少ないので..........
また、3月に始まって新学期を迎えて修学旅行までにほぼ全てが終わりますけど、3月から関与するキャラクターと、4月から出てくるキャラクターがあって、後者のキャラクターの攻略を行う場合にその密度の差もちょっと「無駄」というか、退屈に感じました。
減点対象です。
・シナリオ毎の密度の差
上記の中だるみとも密接に関与している部分もあります。
なんだか.......キャラクターによってその内容の濃さの差が大きいような気がします。キャラクターが多過ぎるのが原因の様な気がしないわけでもないのですが。いや、一部のシナリオでは大分「あぁ、印象的かも」ってのがあるんですが、残りにくそう、というのもあったので。「密度」ってのはある意味「出来」にも繋がるものですから。
もうちょっと日数とキャラクターを絞って密度の均等化をしたほうが良いのでは、とか正直思うところもありました。
まぁ、8人もいて疲れた、ってのもあるんですけど。
減点対象です。
密度に関しては、「入り込めるか」に大きく影響しますので、非常に重要だと思っています。今までやった三つの作品は良く出来ていたのですが..........
ですので、ここら辺はその三つの作品と比較してしまうとどうも良くないですね...........「Phantom」は全体的にテンションが高く、密度の調整もよく良く出来ていましたし、「PARTS」もストーリーと設定上やはり各キャラクターとの密度が高いです。「To Heart」に最も近いと思われる「One」は上手いこと会話とか内容で「中だるみ」感を消していますので。
まぁ、総合的に見た場合、今までの中では「いちばん希薄」に感じる密度でした。点数的には「PARTS」と同じですが、「PARTS」はシステムと音が悪かったので大きく減点されたのに対し、「To Heart」ではその密度ゆえに、という感じになっています。本当にこの点は話の「要」になり、全体を印象づける部分ですので、ここが良くないと必然的に減点が大きくなります。
・XXXシーン
シナリオによっては「いるの?」って感じるんですけど..........(^^;; いや、かなり強引過ぎかな、って。まぁ、この手の話の「存在理由」的部分かも知れませんけど、不自然に感じるとどうもシナリオとして面白みが欠けるというか。
個人的には減点対象。
・誤字・脱字/カリキュラムのミス
ちょっと大目。まぁ、いつもの通り「製品版」ですから。
カリキュラムは教員免許持っているとどうも気になるんで(^^;;; いや、普通は高校1年で有機化学、しかも付加重合反応はやりませんから(^^;;
これは余り大きくないですけど。
・音楽
いや、細かいんですけど.........歌はあまり評価していません(^^;; 単純に上手いと思いませんでしたから。しかも、エンディングテーマの最後の最後の余韻をぶちきっているのがちょっと気になりました。他は問題ありませんでしたけど(オルゴール調のはなんか好きでしたし)。
○評価
・話(シナリオ)が物によってはしっかりしている。
いくつかのシナリオが気に入りました。というか、評価できました。細かいのは後述しますが..........キャラクターの確立はほぼ問題なく出来ていて良いかと思います。特に、細かいところとか、脇役で一部美味しいのがいますね..........(笑)
・細部の出来
台詞を飛ばした際の未読処理など。難点にあるように「たるい」部分がありましたが、これがあるために多少は軽減されました。
ま、最初からたるさがないほうが良いといえばよいんですけどね(^^;;
以下、シナリオ毎の感想(プレイ順)。
・宮内レミィ
カリフォルニア娘。主人公の初恋の人物。あっけらかんでおおらかで怪しいことわざ/格言を使いこなす(?) 銃器(または弓)を持たせると見境なく撃つ(射る)性格に変わる。大分危険かも(笑) もっとも多い動作は体当たり(笑)
ん〜〜.........面白いというか、飽きない娘さんというか(^^;; 確かに日常にいれば面白い娘さんでしょう。
印象に残るのは、春休みのファミレス漫才。お約束の塊でしたけど(笑) 後は、夢オチ(竹取物語ネタ)とかなんとなく(^^;; それと、思い出の木に関わる話ですかね.........
でも、総合的に見るとちょっと密度が希薄に感じました。
#何となくキャル(Phantom)みたい(爆)
・来栖川芹香
この話の世界での大企業「来栖川」グループのお嬢様。帰りは基本的にリムジンのお出迎え........次元が違いますわな(^^; 1年上。ぼ〜〜〜っとした性格で、魔術・呪術にはまっているが、非常に優しく穏やかな性格。台詞はほとんど主人公が代弁(笑) もっとも多い動作は「なでなで」(笑)
結構気に入ったシナリオでした。何となくのほほ〜〜んとしていて面白いというか何というか(^^;; 主人公巻き込んで魔術とか、結構笑わせてもらいました。いや、お約束と言えばそうですけど「本物の」幽霊部員ってのが何というか(^^;; でも、このキャラクターで一番印象的なのは、やはり執事である長瀬老(セバスチャン)と、彼の語る彼女の生い立ち、そしてラストシーンですかね。健気で結構好感が持てるというか。
まぁ、長瀬老や彼女の妹が大分大きな役割をしていたと思います。
大分楽しめました。
・松原葵
格闘少女。空手から異種格闘技へと転向。きまじめで一途、一生懸命な性格。1年下。ノリ的にはアーケードゲーム「STREET FIGHTER ZERO2」以降に出てくる某格闘少女に通じるものがあるかも(^^;; 打撃力は115kg(笑) 得意技は上段回し蹴り。
一番楽なシナリオかも(^^;; いや、選択肢を選ぶという点においては。クラブ行く、で終わりですからね(^^;;;
しかし.......境内で決闘ってのがなんか少年漫画のノリというか(^^;; まぁ、一途な頑張り者というキャラクターならではのシナリオ、何でしょうけどね。
印象的なのは、その境内での決闘。まぁ、同じ格闘でも「Phantom」とかと比べてはいけませんが(^^;; まぁ、良く出来ていたかと思います。
でも、他の部分って実は余り..........(^^;;
・姫川琴音
半数染色体の超能力少女。1年下。「身の回りの人の不幸な予言」をすることから気味悪がられ、自らも接触を拒む。自閉気味で非常にネガティブ。結構真面目な性格?
暗い娘さんでしたが........まぁ、こういう娘さんが笑顔で、ってのは結構印象的になりますね。彼女の最初のCGとかは結構印象に残っています。そういう意味では、主人公とのやり取りはなかなか面白いものがありました。でも、主人公........ボールぶつけたりするなよな.........(^^;;
ラストは大分印象的ですかね。ふっ切れた、というかそういう笑顔ってのはやはり良いものです。
しかし.......半数染色体。高等生物ではまず生まれませんね..........初期の状態で細胞が死ぬはずです。生まれても心身に異常があったり、生殖能力が欠けていたりするんですが......... おまけに無性生殖ですから、凄い問題になるんですけど(^^;;
いや、何となくそっちも引っ掛かったりしたんで(^^;;
#多分、彼女の母親は彼女によく似ているでしょう。
・マルチ
来栖川研究所製作のHMX-12試作型メイドロボ。「人間に近づける」ことを目的に製作されて、テスト期間として主人公の学校に試験的に編入。様々な表情に感情を持つ上、記憶力も人間並みという非常に高等な機能を搭載(いや、良く考えるとこれは凄いんですけど(^^;)。全体的に「鈍い」。好きなことは「頭をなでられること」
最もファンが多い、という話でしたが..........分かるものはありました。表情豊かで非常に面白いというか。個人的に興味のある「機械に心は持てるか」という部分もありましたし。人間以上に人間らしい、って部分があるのかも知れません.........なんとなく、「BLADE RUNNER」のレプリカント達を思い出したりもしましたが。まぁ、あぁ言う所まで行けば「心」ってのはあるのかなぁ、とは思いますが。
全体的に印象的だったんですけど、最初の犬との会話とか結構好きですね。いや、何となく.......これで何となく気に入りましたし。後は去っていく所ですか。ここら辺の台詞はなかなか泣かせてくれます(泣きませんけど)。
#何となくこのシーンは「PARTS」のマキのシナリオとか思い出しました。
#台詞の意味とかかなり共通していましたし。
まぁ、現実にこういうロボットがある、としたら........やはり「感情」を持っている方が楽しいでしょうねぇ...........
気に入ったシナリオです。
#でも、髪の毛の色変えて、耳カバー外したら葵嬢になりそう.........(^^;;;
・保科智子
神戸出身の委員長。頭は非常に良いが、大分感情的。かなり排他的で関東が嫌い。人間関係の構築が苦手。素直でなく敵が多い。最も叫びまくった(というか、怒鳴り散らした)キャラクターかも(笑)
なんつぅか、疲れました(^^;; いやぁ、怒鳴られまくられますし。まぁ、非常に複雑な性格のキャラクターでして、気苦労が絶えなさそうというか何というか(^^;; 主人公もよく食らいついたものです。「主人公のおせっかい、ここに極まれリ」って感じですかね(笑)
印象的だったのは、チョップ入れたときとゲーセンで喧嘩売っていた辺りでしょうか(笑) いやぁ、何となくなんですけど(^^;; あとは「ヤック」騒動とか。後は、やはり感情の吐露、ですかね........結構一途な人物かと。
ま、楽しませてもらいました。
・長岡志保
主人公の幼なじみにして宿敵。「歩く校内ワイドショー」「制服着た東○ポ」などの二つ名三つ名を持つ、的中率5割の「情報通(?)」。うわさ話の塊で、基本的に一言多い。主人公と最も口論しまくった人物。負けず嫌いだが、歌唱力は抜群。
ん〜〜〜〜〜(^^;;; 凄い評価が難しいキャラクターかも。いや、実は全然ピンと来ない部分がありまして............「あり」何でしょうけど、何というか........ラストを見てどう評価しようか、大分首ひねりましたから(^^;; 結構良い娘さんなんですけど...........
まぁ、いわゆる「現代っ子」故かな、って感じですかねぇ.........
#でも、高校出て数年で世界を飛びまくる「ジャーナリスト」は難しいと思うぞ(^^;;
・神岸あかり
主人公の幼なじみにして、メインとなるヒロイン。性格は非常に温厚。思いやりのあるキャラクターで、密かな人気者。主人公への気の遣い方は非常に緻密。でも、少し鈍い。熊が好き。家事が得意。
何というか、「One」における長森嬢に通じるものがありますが、彼女の様に抵抗・張りあう、と言うことはないですね(^^;
で、シナリオですが.........いわゆる「幼なじみから恋人へ」という話ですね。この過程は全体を通して良く出来ていたと思います。3月から4月以降までずっと関わってくるキャラクターですので、全体的な密度は一番高いかと思います。まぁ、主人公も結構良いやつというか、何というか.........ま、大分意識していたんでしょうね。
結構気に入ったシナリオでした。
・雛山理緒
「あかり」のシナリオ終了後に出てくる隠れキャラ(?) インターホン鳴らしまくって登場する新聞遅配娘。しかし、実は家族思いの苦労人。バイトを掛け持ちしまくる。かなりのシーンで走って登場。立った前髪が感情のセンサー状態(笑) 最も多い動作は「コケる」(^^;
結構面白そうな娘さんでした。正直者で良いですけど...........う〜〜〜〜〜〜ん..............シナリオとすると、一番希薄な部類に入るかも(^^;; いや、途中での出現回数が最も少ないので。結構良さそうなキャラクターだったので、もうちょっと色々と出てくれれば大分面白いシナリオになったと思います。
もうちょっと........惜しいというか。
○脇役達への賛歌
・長瀬老(セバスチャン)
一番好きな脇役です。登場パターンが大分「ストップ! ひばりくん」の起こし方状態でエスカレートしていきますけど(^^;; しかし、最も良いのがやはり芹香嬢を見守ってきた人物、という点と来栖川家への忠誠というか、そこら辺を明かすシーンですね。怒鳴りまくるシーンで、結構こっけいにも見えますが(笑)
「奥様は魔女だったのです!!」とか聞いたときには、思わず「じゃぁ、芹香嬢の両親は、来栖川ダーリンに、来栖川サマンサかい!」などと突っ込む自分がいたり(^^;; 後は「戦後の焼け野原でストリートファイトに明け暮れていた(以下略)」とか思わず受けました。
あぁ......美味しすぎるキャラクター.........(^^;;;
・来栖川綾香
芹香嬢の妹。寺女通学。かなりオープンで活発な性格ですが、面白い娘さんだと思いました。シナリオの順番から葵嬢でのシナリオで「綾香さん」言いまくっていたのを見て「まさか」と思ったんですが、本当にこの娘さんだとは思いませんでした(^^;;
なんか印象にあるキャラクターです。
・犬
マルチに出会った翌日に会うキャラ。マルチと話していた(?)犬........いや、なんかこのシーン好きなんで(^^;;
・セリオ
HMX-13。マルチの姉妹(?) マルチは「人間に近い」感情を持つ試作モデルであったのに対し、多機能を売りとする試作機。便利な機能満載(^^;; 寺女でどういう生活送っていたのか興味あるんですけど(笑)
しかし........メガネは要らないんじゃないですか?(^^;;
#マルチのラスト間近のCG参照(笑)
・長瀬主任
鳩のエサやリ(笑) じゃなくって、やっぱり顔からして長瀬老とのつながりがあるんでしょうか?(^^;;
まぁ、主人公がマルチに注いだ愛情を良く理解していた人物なのでしょうね.........地味なんですけど、顔みて長瀬老を思い出したので、なんか記憶に残っています(笑)
・雅志
偉大なる「ちょい役」(笑) まぁ、結構所々で潤滑油的な役割していますけどね(^^;;
一応。
・山岡先生
究極の授業って........?
・木林先生
物理で超科学とかやっているんでしょうか?(笑)
以上、です。
まぁ、出た当時にやっていればそれはそれで違うんでしょうけど(^^;; ただ、とにかくもこれまでの三作品と比べると.........って部分がちょっと目立ちました。中だるみ感はやはり一番頂けませんでしたね........... シナリオによっては良かったものもあったのですが、全体としてみると他が薄いために評価落ち、というのが残念です。
ま、印象に残る部分があったので、その点は評価しています。
#それまでの三作品を色々と「基準」としていますので、その点は御容赦を。
・供与者への謝辞
なかなか面白かったです。ありがとうございましたm(_ _)m>Aoxさん
(最終更新 2000/08/31 同09/02追加)