〜VirtualPCの諸条件におけるベンチマーク結果〜


ここでは、VirtualPC 3.0Jを使用して、より快適に使用する為のヒントを探ってみた結果です。


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・最初に

 VirtualPCというのはエミュレーターと呼ばれるソフト.........つまり、「模倣」を行う事により、Mac上において他OSを使用できる、というソフトです。 しかし、当然のことながら完全に違う環境を模倣する..........つまりは、非常にMacに対して負担をかけるソフトであり、なかなか高速な機種を用いたとしても、そう簡単に(最新機種としての)実機には追いつくものではありません。 よって、その高速化はある意味このソフトを快適に使うにおいては非常に重要な関心事項になるかと思います。
 さて、その高速化をするに当たって効果的、かつ簡単にできるものとしてはハードウェアのアップグレード.........つまり、端的に言えばCPUの高速な物に変更すると言うものがありますが、もうちょっと、小手先で快適にすることが出来ないか、という事を考えました。 この観点から「VPCと割当メモリーによるベンチマークの変化」「VPCとビデオ関係の設定によるベンチマークの変化」等を測定してみることにしました。

 以下にその結果を示しますが、これが何らかのヒントになってくれれば大変嬉しいです。


・使用した機種・ソフト、条件

 以下に全ての実験に関し共通した条件を書いておきます。


・実験結果

 以下に実験結果について記載しますが........... くれぐれも、この結果が「絶対である」とは思わないで下さい。 人の環境(OSやアプリのバージョン)によって、機種によって結果は著しく異なる可能性があります。 結果を受けて一応の「傾向」をつかんでいただければ結構です。
#概ね、その「傾向」は一緒だろうとは思いますけどね(^^;


・VPCの割当メモリーとベンチマークについて

 一般に「メモリーは多ければ多い程よい」と聞きます。では、これは実際にはどうなのでしょうか。メモリーを大量に積む(割り当てる)事によって高速化を期待して良いのでしょうか?
 以上の疑問から、この項目では、VirtualPCに割り当てるメモリーとそのベンチマークとの相関性を調べてみました。


結果

HDBENCH3.00
ALLCPUメモリーVIDEODISK
ALLIntegerFloatReadWriteRead&WriteRectangleTextEllipseBitBltDirectDrawREADWRITECopy
Win95/65MB3503912231651883209731513365234429135913525061111350
Win95/45MB3524913731771933239632743379235331239213531660601341
Win95/28MB3555916231861935230333613499231043039213532161111373
Win95/20MB3552915531811781229933553386237943433313526261361468
Win95/10MB3225919931921069991953391234445228513530258221294

Super_pi
1.6万桁3.2万桁6.5万桁13万桁26万桁52万桁
Win95/65MB00:1500:3201:0602:2705:2512:06
Win95/45MB00:1500:3201:0602:2105:2212:00
Win95/28MB00:1400:3001:0302:1805:1311:50
Win95/20MB00:1500:3101:0402:2005:1811:50
Win95/10MB00:1400:3001:0502:3406:10-error-

※Super_piの「5」の「52万桁」ではエラーが発生して計測できなかった。

 ・コメント
 個人的には、余りにも意外な結果。 実は、同様の実験をVersion2.1.3Jでも行ったのですが、こちらも同様の傾向を示しました。

 この結果のみを信用してよいとしたら、メモリーは多く割り当てると遅くなる、という事になりかねませんが.............(^^;; ただ実際に、メモリーを良く食うと言われるアプリ........例えば、Microsoft社の「MS Office」等の様なソフトをよく使用し、色々と、特に「複数アプリを起動させる」使い方をするのであれば最終的にはメモリーが多い方が有利となるかと思われます。 実際にVirtualPCを使用するユーザーはOfficeの様なソフトを使用される方が多いかと思いますので、メモリーの割当は多いほうが、最終的には有利になる........かと思われます。
 多分........(^^;;


・VRAM割当容量の違いとベンチマーク

 VirtualPCでは、Version2.0以降にS3 Trio 32/64 PCIというビデオカードをエミュレートしています。 また、VRAMについて割当が1MB、2MB、4MBと設定を変えることが可能です。 当然VRAMを増やせば増やすほどより大きな画面にし、更により多い色数を使用することが可能です(そして、その分Windows95に当てられるメモリーも減る)。
 では、画面サイズが一定で、あまり色数を上げなければ、このVRAM容量は減らしてもベンチマーク上で影響は出ないのか? という疑問が沸きました。 よって、最も容量の少ないVRAM 1MBで800*600の16Bitが上限となる状態を基準に256色でのベンチマークも含めて、これについて調べることとしました(True Color 32bitは現実として使用する機会がほとんどないと判断したため、これについては行っていません)。

結果

HDBENCH3.00
ALLCPUメモリーVIDEODISK
ALLIntegerFloatReadWriteRead&WriteRectangleTextEllipseBitBltDirectDrawREADWRITECopy
4MB/16bit33618877307618352096306523661752393419520860321323
2MB/16bit33088881308118352096306623741759297413515957701338
1MB/16bit33348923309518372097306723741786378423508859561327
4MB/256色3422905031451838209230602992230737718412510060141337
2MB/256色3401908131541840209230653356233841017312512357341327
1MB/256色344990533143183920933061332923173991123513760331353

 ・コメント
 これは結構はっきりと明暗が分かれたように思います。

 以上の結果を踏まえると、特に色数を上げた場合には、画面の大きさが同条件でも素直にVRAMを上限まで上げたほうがよさそうです。 また、通常での使用が最も多いと思われる条件(640*480か800*600で256色が多いと思われます)でもどうやらVRAMは4MBまで、メモリーが許されるならば割り当てたほうが良い、と言えるかと思います。


・Windows95の色数とベンチマーク

 さて、上の実験からWindowsの色とベンチマークは相関性がある、と言うことがわかりました。では、色数が少なければ少ないほどビデオ性能は向上するのか? また、どのぐらいの性能の差が生じてくるのか? などに興味が湧きましたので、実験をしてみました。


結果

HDBENCH3.00
ALLCPUメモリーVIDEODISK
ALLIntegerFloatReadWriteRead&WriteRectangleTextEllipseBitBltDirectDrawREADWRITECopy
16色3229863431551841208730631138133289670515559401323
256色3490909631511836204130513360231739437313542159231331
High Color16Bit3410895831121834204630512505190221610010536260871330
True Color32Bit33238752304418342095306519501524376246525860121331

※:Direct Drawの測定は16色では出来ない。

 ・コメント
 ものすごく単純に考えれば、「色数が少ないほど描画の負担は軽くなる」と考えられますが、どうやら単純ではなかったようです。
 共通しているのは、「同条件であれば色数に関わらずメモリーとDISK性能に変化はない」とは言えます。 ただ、面白いのはCPUで「Integer(整数演算)」に関しては「256色」>「16bit」>「32bit」>「16色」の環境順に、そして「Float(浮動小数点演算)」に関しては色数が少ないほど(まぁ、「16色」と「256色」は誤差の範囲でしょうけど)高い数字を出しています。
 さて、肝腎のVIDEOの項目ですが.........「16色」の環境が最悪の数字となっているのは非常に意外でした。他の3種はトータル的には順当に「色数が少ないほど」高速な結果となっています。 特に「BitBlt」の落差が非常に大きいのは結構面白いです(「256色」に比べて「32bit」は10%にすら満たない)。

 以上を考えると.......通常使用する環境では、256色が最も快適になる、という事が言えるかと思います。
 もっとも.........大抵の場合256色以外を使う機会は無いとは思いますけど..........(^^;;


・非フルスクリーンモードでの、MacとWin側のビデオ環境による違い

 VirtualPCのマニュアルを見ると、ビデオ性能に関してのTipsとしていくらかありますが、その中の一つにフルスクリーンモードを使用しないときにMac側のカラー階調をPC側に合わせる様に指示しています。そして、「参照」として以下の表を掲載しています。

Windowsビデオモード最適なMacintoshビデオモード
16色256色、約32,000色も可
256色256色、約32,000色も可
High Color(16ビット)約32,000色、約1,670万色も可
True Color(32ビット)約1,670万色、約32,000色も可
※VirtualPC 3.0Jマニュアル、P.20より抜粋

 さて、これは本当でしょうか?
 ちょっと試してみました。

結果

HDBENCH3.00
↓ColorALLCPUメモリーVIDEODISK
Win/MacALLIntegerFloatReadWriteRead&WriteRectangleTextEllipseBitBltDirectDrawREADWRITECopy
16/25631678591314618422044305711601313117730495057801337
16/32,00032268611313518812046305811591328118730504860191337
16/1,670万32138623314018392041305211461300115760510658921341
256/2563441907631471833203629683302220030931412515560121341
256/32,0003463909231541837203830493386218341328712511760921360
256/1,670万3468910631611839204130523509234543039113518059351352
High Color/2563303887530821790203829632392190539413010510657501330
High Color/32,0003355891530861832204029662393178925611610514160731337
High Color/1,670万3407895431091831204029662505190639811610517262121340
True Color/25632508616299317872041296819091514371245503659161347
True Color/32,00032858717302317912086305419451510354245516559251332
True Color/1,670万33158690301818312046305519001503351245520561131315

※:Direct Drawの測定は16色では出来ない。

 ・コメント
 一番最初に書いておきますが...........実は上記試験条件でフルスクリーンモードでの試験もしたのですが、その場合は基本的にMac側の色による変化はありませんでした。 御参考まで。

 さて、こう見てみると.........何というか.......「推奨」があんまりアテになっていないというか......(^^;; 誤差かもしれませんけど..........
 CPUは何故かMac側の色が高ければ高いほど比較的良い数字を出すようです。ま、True Colorはちょっと違いますけど........ メモリーはMac側が256よりもなんとなく色数が多いほうが........? ディスクはあんまり変わらない様ですが、でも色が多いほど.......というか.........(誤差が多い項目ですが)
 肝腎のビデオ性能を見てみると、Winが16色の時は、色数が多いよりも少なめの方が良さ気な傾向。Winが256色だと、Mac側が「推奨」の256色、32,000色よりも1,6700万色が良好な結果を出しています。 WinがHigh Colorに至っては、Mac側が「推奨」の32,000色が最も悪いというのもなんというか........(^^;;

 まぁ、1回しかベンチ取っていませんので、なんとも言い様がないのですが、あんまりマニュアル表記もアテにならないのかなぁ.......という気がします。
 もっとも、これでMac側でウィンドウをだして、しかもそれがVPCのウィンドウと重なっていたり、またVPC側の画面の大きさも変えてしまった場合にはパフォーマンスに差が出てくるのかもしれませんけどね...............


・ハードディスクイメージの容量とディスク性能

 ハードディスクは最近のものでは大容量高速の物が多いのは周知の通りです。 そして、同回転数ならば概ね大容量のものほど高速な物が多いです。
 では、同一ハードディスク上に容量を変えたハードディスクを用意し、これに有意な速度変化が存在するのか。
 これを試してみました。


結果

有意な差は見られませんでした


 ・コメント
 上記の通りです。これは非常に難しい問題なのですが............
 何回か試してみたのですが、計測の度に結果がバラバラの上、ハードディスクイメージによって毎回速かったり遅かったりとなんとも言い様がない結果になりました。
 数十回やって平均値取れば良いのかもしれませんが、そこまで時間も気力もありませんでしたので省略です(^^;;
#ハード的にも寿命が縮まりそうですし(^^;;

 おそらくは、Macのハードディスクでのファイルの位置でも大きく変わるのでしょうねぇ............


・総括


 簡単にまとめますと.........
 やはり、大きく負担をかける事をすると速度に顕著に影響してくる、と言えます。もちろん劇的なもの、とは言いませんが、こういうエミュレーターはわずかなレスポンスの低下が実際以上に遅く感じるのが実際です。
 よって、
 という事.......つまり、ビデオ関係に必要以上の負荷をかけないというのがVirtualPCでより快適に使うアイデアかと思います。

 ま、どうしても我慢できなければより高速な機種を購入するか、実機を買う以外ないのですが..........(^^;;
#一応、「小手先」でどこまで変わるかの実験ですから(^^;;


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最終更新2000/01/01