〜SoftWindowsの感想とVirtualPCとの比較〜
ここでは、SoftWindows95とVirtualPCを使い、その体験を元に個人的に比較・検討してみたものです。
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・最初に
このサイトをご覧の方には御存じの通り、現在Macintosh上でWindowsOSをエミュレートするソフトとして、VirtualPCとSoftWindows/RealPCという物があります。
VirtualPCを1.0から使っている人間としては、SoftWindowsと言うものは常に興味のあるソフトでした。しかし、最近は元を作っていたInsignia社がFWB社に売却し、しかもFWB社もRealPCは販売継続をするものの開発は中止。SoftWindowsは完全に販売中止、と言うことになってしまい、ついに接触する機会の無いまま消えるのか、と思ったのですが........先日、ふとしたことでこのソフトを使う機会を得ました。
この記事は、管理人の主観に基づき、SoftWindowsを使った感想などを書いてみようかと思います。
・インストールと第一印象
SoftWindows95のインストールは簡単。
インストーラーで入れるのですが、最初からOS(Windows95)の入ったHDDイメージを作りだせます。この際には容量を決めてやる必要があるほかは特に問題ないです。起動してからは最初に色々とアップデートやらかけたりしますが、それほど時間はかかりませんでした。
この状態で起動するとすぐに使えるようになります。
こうして使えるようになったSW95ですが、実際にはここからが少し調整が必要のようです。
メニューから設定を選び、メモリーの調整や共有フォルダの調整など、いくつかの設定をしてやりました。メモリーに関しては結構「?」な部分が多くあり、「割り当てメモリー」と「最適化」に関する組み合わせが色々とあるようです。割り当て容量に関してはスライダーで調整出来ますが、初期値では今一つ少ない感じですので一端終了してSW95アプリ本体のメモリー割り当てを調整してやらないといけないようです。また、起動するたびに「ターボスタート機能」云々、Mac側の色数の調整などのダイアログが出てきます。後者はMac側で調整してやればよいですが、前者は毎回出てくるようでちょっと五月蝿いです。
色々と使ってみますと.......はた目にはVPCとの大きな差違は感じません。しかし、設計思想が明確に異ることがすぐに分かります。
特に、画面に関すること、Macとの共有、CD-ROMの扱い、2ボタンマウスの対応などでその差を顕著に感じます。また、稼働しているOSの扱いそのものに関しても差があるのを感じました。
これらは特に大きな差に感じまして、試行錯誤の末に、と言う物が多くありました。
・ベンチマーク
さて、折角入れたSW95。
じゃぁ、ベンチマークを取ってみるとどれくらい違うのか? と言うのが真っ先に浮かぶ興味。
そういうことで試してみました。
・使用しているベンチマークソフト
従来とは方式を変更しています。使用ベンチマークソフトは以下の通り。
以上で入手が可能です。
また、インターネット上の「ソフトウェア」サイトや、各コンピューター雑誌での入手も可能のようです。
「HDBENCH」は、CPUの計算能力、描画の能力、ディスクのアクセス速度(KB/sec.)、メモリーへのアクセスをそれぞれ計算します。
「Super_pi」は、単純に「π」計算を行い、指定された桁数を計算するまでの早さを測定します。CPUの計算能力の単純な比較が可能となります。
「がんぶるベンチ」は、シューティングゲームをベースとしたベンチマークソフト。fpsを測定します。
○設定に関して
環境
機種 | CPU | 2nd Cache | 内臓メモリー | MacOS | HDD接続環境 | Video Card |
PowerMacG4(DVD model) | PowerPC G4/350MHz | 1MB(175MHz) | 576MB | 9.1J | 内臓Ultra ATA/66(20GB) | GeForce2MX (ELSA GLADIAC MX) |
Emulator | 稼働OS | HDDイメージ | Winodwsメモリー | VRAM割当 | ベンチソフト | Formatter |
VirtualPC4.02-J(006 addition) SoftWindows95 5.0.9J | Windows95 OSR2 | 500MB | 64MB | 4MB | HDBENCH2.61 HDBENCH3.30 Super_pi がんぶるベンチ 雛鳥ベンチ | ドライブ設定2.0.3 |
- SoftWindows95は40GBを半分に切ったMaster接続の20GBにあり、VirtualPCはSlave接続した20GBにある。
- SoftWindowsのメモリー設定は、アプリに84000KB割り当て、CPUメモリのパフォーマンスが最高になるように設定した上でPCメモリとして64MB割り当てた。
- SoftWindowsのWindows95は初期の設定のまま、VPCは標準インストール。
- SoftWindowsはベンチマーク計測の際、Mac側の色数を合わせてある。VPCは1,670万色で固定。
- VirtualPCの使用ドライブは「Cドライブ」で容量は「固定」し、DMAを入れてある。
- 起動後にすぐ測定する。
- 共通性を持たせるため、VirtualPCではWindowモードで計測。MMXのチェックも入れてある。
- HDBENCHは640*480で256色と、800*600で16bitの2種。Super_piは640*480の256色で統一
- 計測中には一切手を触れない
- HDBENCHのDISK項目はCドライブのデフォルト値を使用。
- 全て計測は一回のみ
結果
HDBENCH 2.61
| ALL | 浮動小数点 | 整数演算 | メモリー | 矩形 | 円 | テキスト | スクロール | DirectDraw | READ | WRITE |
VirtualPC(640*480) | 8185 | 22727 | 19382 | 11670 | 4090 | 1023 | 4206 | 193 | 11 | 9807 | 4051 |
SoftWindows95 | 6410 | 10410 | 13081 | 3883 | 3514 | 1209 | 1419 | 1131 | 4 | 13161 | 7361 |
| | | | | | | | | | |
VirtualPC(800*600) | 7931 | 22375 | 19195 | 11493 | 3961 | 797 | 3310 | 101 | 9 | 9789 | 3922 |
SoftWindows95 | 6409 | 10660 | 13326 | 3825 | 2100 | 949 | 903 | 654 | 3 | 14007 | 8677 |
※:640*480は256色、800*600は16bit
HDBENCH 3.30
| ALL | CPU | メモリー | VIDEO | DISK |
| ALL | Integer | Float | Read | Write | Read&Write | Rectangle | Text | Ellipse | BitBlt | DirectDraw | READ | WRITE | Copy |
VirtualPC(640*480) | 7361 | 11881 | 11530 | 7518 | 17043 | 10336 | 2507 | 2729 | 511 | 390 | 11 | 14541 | 7468 | 2808 |
SoftWindows95 | 7585 | 8133 | 5286 | 3272 | 4142 | 4379 | 2770 | 1304 | 653 | 126 | 4 | 17456 | 12370 | 6243 |
| | | | | | | | | | | | | |
VirtualPC(800*600) | 7353 | 11938 | 11679 | 7577 | 17203 | 10530 | 2147 | 2507 | 452 | 106 | 10 | 14649 | 7385 | 2833 |
SoftWindows95 | 7397 | 7593 | 5399 | 3323 | 4286 | 4402 | 1748 | 942 | 499 | 48 | 3 | 18062 | 11263 | 6211 |
※:640*480は256色、800*600は16bit
Super_pi
| 1.6万桁 | 3.2万桁 | 6.5万桁 | 13万桁 | 26万桁 | 52万桁 |
VirtualPC | 00:09 | 00:20 | 00:34 | 01:03 | 02:12 | 04:53 |
SoftWindows95 | 00:14 | 00:28 | 01:00 | 02:08 | 04:36 | 10:11 |
※:640*480の256色で統一
がんぶる ベンチ(fps)
| 総合評価 |
VirtualPC | 26.1 |
SoftWindows95 | 10.2 |
雛鳥ベンチ(体/sec)
| VirtualPC | SoftWindows95 |
VS | 11564 | 5297 |
MS | 8721 | 2746 |
AS | 2775 | 674 |
参考データ:Aoxさんの環境におけるベンチマーク
HDBENCH 3.22
| ALL | CPU | メモリー | VIDEO | DISK |
| ALL | Integer | Float | Read | Write | Read&Write | Rectangle | Text | Ellipse | BitBlt | DirectDraw | READ | WRITE | Copy |
VirtualPC(4.01J) | 8760 | 19497 | 17150 | 9281 | 7453 | 13097 | 2967 | 3778 | 752 | 87 | 11 | 16410 | 9146 | 3531 |
VirtualPC(4.02J) | 8689 | 19556 | 17194 | 9610 | 7420 | 13092 | 2791 | 3599 | 692 | 40 | 10 | 14649 | 7385 | 2833 |
SoftWindows95 | 9173 | 12899 | 8050 | 4753 | 4958 | 6347 | 1762 | 965 | 539 | 22 | 3 | 21266 | 13492 | 7422 |
Super_pi
| 1.6万桁 | 3.2万桁 | 6.5万桁 | 13万桁 |
VirtualPC(4.02J) | 00:07 | 00:13 | 00:26 | 00:46 |
SoftWindows95 | 00:09 | 00:18 | 00:40 | --:-- |
G3/525Mhz/262.5Mhz(1MB)(FSB=105Mhz) VPCの設定は1024*768*16で使用
・ベンチマークから
ベンチマークの様子を見ると、色々な面でVPCが上回ると思われます。
特に顕著なのはCPU、メモリー、DirectDrawに関する項目でして、いずれのベンチマークソフトでもこれは体感できました。特にCPUとメモリーに関してはVPCが圧倒すると言えまして、「素直に」実力を出すSuper_piでのデータでは圧倒的な差をつけています。また、がんぶるベンチやHDBENCHなどでの描画......DirectDrawに絡むとSW95では目も当てられない、と言う状況になっています。ですので、SWでDDを利用するようなゲームをするよりはVPCの方が優れているでしょう。
そうそう。HDBENCH上の描画関係ですが、SWとVPCを比較すると、SWの方が「描画している」感じがしました。これはVPCが「何となく途中過程を省きつつ」描画しているのに対し、SWではきっちりやっている、と言う感じです。もしかしたら「間引き」絡みに関することが関与しているのかも知れません。
ハードディスクアクセスに関する性能はHDBENCHで計測していますが、この数字を見るとSW95が優勢となっています。特にハードディスクの性能がALLの数字に大きく関与するHDBENCH3.30でこれが反映されていまして、SWではALLの項目がVPCを上回っています。が、実際にはこの数字は信用できないと言えます。これは前から言われているのですが、SWはこういう事に関してキャッシュを利用している、と言う話がありまして、事実アプリケーションのインストールでは体感と数字が一致しておらず、またSWがVPCを上回るとは思えません。実際には、ハードディスクの性能はSWは良くても同等、あるいはそれ以下なのではないかと思われます。
結局、実質的にトータル的な性能と言う点でVPC4.0xとSW95 5.0.9を比較すると、VPCがいずれも上回るのではないかと思われます。
尚、実際には分かりませんが、各ソフトのウィンドウサイズを大きくした際にはVPCの方がSWよりも下落が少ないのではないか、と言う感じもしています。
・使用上でのVirtualPCとの差
一通りベンチをとってから、しばらく使ってみると、SWとVPCには使用上で明確な差があることがはっきりしてきました。
気付いたことを簡単に書くと以下の通り。
- 操作感
特に顕著なのはマウスです。と言うのは、一応VPCの方ではMac標準のコンテクストメニューを出す方式に則った形で2ボタンマウス(4.0以降は3ボタンマウスホイール付きまで)に対応しているので、「右クリック」が可能となっていますが、SWでは「=」キーが右クリックに対応しているために2ボタンマウス使用者にとってはやや使用感が悪い物となっています。一応、PCカードとの兼ね合いから「=」となったようですが........
時期的には微妙なものがありますが、実際にVPCで慣れているとここら辺は正直「今一つ」の感があります。
- CD-DAへの対応
普通では特に問題にならないのですが、一部ゲームソフトのようにCD-DA対応になると厄介になります。
と言うのは、SWではCD-DA非対応らしく、音楽データをSWは認識してマウントするのですが肝腎のデータ部位を認識してくれません。これは、共有フォルダ機能を使っていちいちマウントしてやる必要があります。
- メモリー設定
メモリ割り当てはVPC3.0xまでと同じシステム(アプリ本体への割り当てで決定)となっています。が、VPCとの違いは「PCメモリ」と「CPUメモリ」に分かれており、メモリー割り当てのバランスによってCPUメモリの最適な効率などに関して色々と言われます。一応、割り当てを69MBにしてPCメモリを64MBとすることでCPUメモリを最適にすることが出来ました。
ここら辺のバランスの取り方などがちょっと面倒(いちいち終了して割り当て直す、など)な所があります。
- 画面設定
VPCの様に「Windowモード/フルスクリーンモード/解像度の調整」と言う機能はありません。基本的には「Windowモード」のみみたいです。また、このためかMac側の色数とあわせないと、Win起動時に文句を言われます。実際、機能的にはベンチ上では描画の差が出るようですので、調整してやったほうが少しは快適になるかも知れませんが.......でも、この文句がややくどいです。
画面の解像度/色数調整などはVPCと共通する点と共通しない点があります。共通するのは、VRAMの割り当てなどが1,2,4MB、と言う点。これにあわせて解像度などが決定されます。共通しないのは解像度の調整でして、VPCの様に「Windows上で変更」ではなく、SW側でメニューから選択するようなタイプになっています(一応、VPCの様な形でも出来るが、それをメインとして設計されているように見えない)。
- デスクトップ上の物が捨てられないものがある
個人的に、Windows95を入れたら「マイコンピュータ」と「ごみ箱」だけにするのですが、捨てられないと文句を言われます。
......何故?
- 起動時に毎回「ターボスタートのご案内」がでる
非常にくどいです、これ。
- ハードディスクイメージ
VPC3.0xと同じく、扱えるイメージは2個までで、容量は最大2GBとなっています。が、このディスクの作成云々は全てユーティリティの「HD Expander」の役割になっています。また、VPCの様な「○○MBなら××MBまで」と言う拡張の制限はなく、一律2GBまで拡張可能となっています。
- Macとのやり取り
VPCでは「共有フォルダ」の使用か、「Windowモード」にしたうえでMacのデスクトップ上からVPCで稼働中のWindowsにドラッグ&ドロップでファイルのコピーが可能となっていますが、SWではフォルダの共有以外は出来ないようになっています。この点は結構不便な物があると言えます。
まぁ、VPCの様にエラーが発生して云々、と言うことは言われないのですが.........VPCで慣れていると不便です。
- 描画
DirectXは、SW側で用意された物以外使用不可能です。ですので、一部ゲームは遊ぶのは不可能となります。また、がんぶるベンチなどの諸ベンチマークの結果のように、DirectDraw関係が致命的に遅いのでゲーム関係ははっきり言って使いたくありません。
通常使用では遅いとは感じないのですが.........
- Windows95のインストール
「PC/AT互換機のハードをエミュレート」するVPCは、OSのインストールでは(Win95の場合)セットアップディスクを用意して、実機と同じようにインストールする必要がありますが、SWでは「Windowsのエミュレーション」に特化しているため、直接Windowsの入ったイメージを作成します。これはある意味楽でして、ユーザーが行うのは「サイズの設定」と「容量の拡張」を待つだけです。後は勝手にやってくれるために初心者にはかなり楽な設定となっているのではないかと思います。
などといったものがあります。
致命的で無いものもありますが、SWではいくつかはかなり不便に感じるものもあります。リリース時期などから、現行のVPC4.0xとSWを比較するのは邪道ではありますが、前バージョンであるVPC3.0xなどと比較しても、細かい使い勝手と言うような点ではSWよりもVPCの方が有利に感じる点が多くあります。
もう少し言えば、「自然に」というかある意味「当然の」操作が出来るVPCに対し、「何かにつけてちょっと設定を.......」「メニューから選択して」というのが多い感じです。
その他にもあるのですが、結構設計思想の違いから来る「性格の差」が明確に出てくる感じもあります。
・いくつかのソフトウェアを使った感想
いくつかのソフトを実際にインストールしてみました。
まずゲーム絡みなのですが、Direct X絡みではSW95は相当に苦しいものを感じます。昨今のゲームでDirect Xが要求されるものが多い中、これでは、と言うのが正直なものでしょう。
例えノベル物であっても遅いという有り様ですから........
しかし、ある種のゲームソフトではVPCでは動かないものがあるのですが、SWですんなり動いてくれるものもありました。例えば、DOSもので「Alone In The Dark」というソフトでは、VPCでは画面真っ黒になった揚げ句、何故かプリンタが稼働する、と言う謎過ぎる現象が起きるのですが、SWではしっかりと動いてくれます。
その他、VPCで「回復不能のプロセッサエラーが発生しました」と言うものでもSWでは動いてくれる、と言うものがありました。
Direct Xが絡まなければ、と言う気はしますが..........
一方、Microsoft Office97を持っているので、「ビジネスアプリ」と言うことでそちらの方のインストールもしてみたのですが。
こちらは問題なくインストール完了。実際にWord、Excelなどを使ってみると全く問題なく、快適な動作を見せてくれました。実際に使ってみると、「もしかするとVPCよりも.......?」という感じです。ここら辺、「チューン?」という気が無きにしもあらずですが、実際のソフトの使用感は全く問題なし、でした。
大半のビジネスソフトもこういう感じではないでしょうか?
ただ、こういうソフトの場合はMac側とのやり取り、と言うケースも起きるわけですから、実際にファイルのやり取りの手間を考えていくと、やはりSWでの「共有フォルダを介す以外はない」と言うのは「折角なのに」と思う部分が多いです。また、右クリックもいちいちキーボードの方へと手を伸ばす、と手間を感じました。
こういう事から考えてみますと、ビジネスアプリに特化するか、DirectXの無いゲームにすればSWにも、という気がします。もっとも、それでVPCに対するアドバンテージがあるのか、と言われると否定的な面が多くありますので、現状の環境においてあえてSWを使おう、と言うメリットはまずほとんど「無い」と思えます。
・VirtualPCとSoftWindowsの「性格」の差についての所感とまとめ
さて、以上のようにいくつか使ってみたのですが。
両ソフトは「非常に良く出来ている」と言うのは正直な感想です。しかし、両者では非常に大きな「差」を感じます。こういうものについて書くと同時に、まとめてみますと.........
両者間に見える「性格の差」は完全に「設計思想の違い」から生みだされている物の様です。
一言で言えば、VirtualPCは「とことんPC/AT互換機をエミュレートする」構造であるわけですが、SoftWindowsに関しては「Windows9xそのものをエミュレートする」という考え方にあると言えます。
これがもたらす物は何か?
考えてみますと、大きく言えば「柔軟性」か「特化」か、と言う点にあるかと言えます。つまり、VPCでは「PC/AT機をエミュレート」するわけですので、それにあったOSを使用することが可能です。つまり、実際に販売されている(いた)通り、PC-DOSから始まり、Windows3.1,95,98(SE),Me、NTシリーズと言ったマイクロソフト製OS、NeXT、Linuxと言ったUnix系諸OSに関して使用することが可能となっています。これに対してSoftWindowsは「Windows特化」と言う傾向でして、他のOSは使うことは想定せずに「そのOSのみ」を使用する事を考えています。
「柔軟性か特化か」と言う問題はそれぞれ一長一短と言えますが、VPCとSWを見たうえで両者の長短を見てみますと.......
「柔軟性」のメリットとしては、上記の様にエミュレートしているハードに適合するかぎり、多数のOSを使用が使用可能。また、OSに関しても柔軟性が高く(つまり、市販のものが使えると言うこと)、ある程度実機並に(ソフト上でのみ)手をかけることが可能となっています(DirectXなど自由に入れられる)。とにかく、「基本的にハードにあうのなら、後は実機とある程度同じ」ことが出来る、自由度の高い点は利点が多いです。
ただしデメリットも存在しているわけでして、難点としてはある意味トラブルも「実機に則した」物となる可能性もあり、場合によっては相当に知識を要求される可能性(特にドライバの組み込みなど、初心者がやりにくい点)があります。また、汎用性が高いゆえに対応しきれないエラーが出てくることがありえます。
「特化」のメリットとしては、「初心者にも容易」ということが挙げられるでしょうか。つまり、特化しているがゆえに専門知識が少なくて済む、と言う点です。これはSWとVPCで比べた場合、初心者が引っ掛かりやすい物の一つであるOSのインストールに関して、VPCでは実機と同じ手順を要求するのに対し、SWでは手間がありません。また、特化しているがゆえに「自動的に」色々としてくれることもあります。例えば、アップグレードもSWでは勝手にSW側で探知して色々とやってくれますが、VPCではそれぞれのOSに応じたアップグレードをしてやる必要があります。とにかく、「特化」によって「自動的にやってくれる」と言うのは、特に初心者にはありがたい物と言えるでしょう。
ただ、デメリットとしては「特化」しすぎるが故にその「基準」に少しでも外れることが出来ない、と言う点があります。特にDirectXなどはすでに用意されている物以外はダメ、と言うSWは使い道を制限される可能性があります。OSとてSW95では専用のものが必要となっています。また、柔軟性がないゆえにとにかく「メーカーの対応待ち」と言う様な点が多くあるでしょう。
また、こう言った「柔軟性」「特化」に関与するのかは不明ですが。
両者の差を作った大きな原因の一つとして、更に「Macとの親和性」と言うのもあるように感じます。例えば、(ある程度仕方がないにしても)マウスの2ボタン対応化や、Mac-Emulator間のやり取りなど、「操作の中でも多く使うであろう機能」に関し、SWは上手く出来ていなかったのは使ってみて大きい感じがしました。また、CD-DAソフトへの対応も出来なかったのも不便です。
こう言ったほかにも、操作性やメモリ割り当ての不明瞭・不便な点(例えば、PCメモリ、CPUメモリの割り当て具合は非常に不便であり、ある目標のメモリ割り当てにしたうえで最適なPCメモリにする、と言う為にいちいち終了して割り当て直す、という)も多くあり、それに対するサポートもない、と。
決して悪くはないのに、こういうところで........と言う点が多く目に付いたのも事実です。
こう見ていくと、ある程度「推測するに」、ですが........
VPCとSWでの差を見るに、VPCはその柔軟性ゆえに容易にバージョンアップなどを繰り返していった、またはチューンを行っていけた様に見え、そしてSWではその特化ゆえにチューンなどが困難となり、どこかしら行き詰まってしまったのではないか、と言う気がします。
別に、これで「どちらが優れている」とは言えるものではありませんが。ただ、ある意味SWでは「OSその物のエミュレーション」と言う時点ですでにある程度の「寿命(=リミット)」が成立していたのかも知れません。そして、実際にWindows95が終わってしまってからは柔軟性に勝るVPCが3.0xの時点でほぼ追いつき、そして4.0で追い越していったように見えます。
個人的には両者とも「優れたソフトである」と思いますので(これに異論がある人はそうはいないでしょう)、SWがなくなる、と言うのは非常に惜しいものを感じるのですが。
とにかく、使ってみて言えることは。
VirtualPCを1.0から使ってみた人間として、2、3年前ならまだしも現状を考えて見た場合に、VPCを持っているうえでSoftwindowsを使うメリットを特に感じることはない、と言うことでしょうか。
そして、実際にそれは現実として、使ったことのある中でも多数の人が感じるものではないかと思います。
もし、今後何らかのMac向けのこういうエミュレーターが出てくるとすれば、VPCの方向性(PC/AT機のエミュレーション)と一致するものが多くなるでしょう。
個人的には、実際にそういうものが出て、VPCときっちり競合していってくれれば嬉しいのですが。
・謝辞
色々とヒントや助言を
Aoxさんより頂けました。
ここに深く感謝します。ありがとうございましたm(_ _)m