日々の雑感 [2006/01-03]

昨年は色々と活動したものの、最後には病気になってしまいました。今年はまずはゆっくりと始動する予定です。


ハグとロングテール

mixiの日記に、ハグ(hug)っていいよね、と言う話があった。
確かにハグはとても落ち着ける。
それは無条件に受け入れられているという感覚に近い。

しかし、ハグは通常は精神的に非常に近い人からしか得られない。
Web2.0のロングテールの理論に倣って、精神的な近さもべき乗になるとして、ハグのコストとリスクが限りなく小さくなれば、ロングテールの多くの人から小さなハグをいっぱい貰うことってできないものか。
[2006/3/10]

では、どのようにしてロングテールの多くの人から小さなハグを貰えば良いのだろう。
まずはハグを人に与えるインタフェースと、それに他の人からハグを貰うためのネットワーク接続が必要である。

ハグを与えるインタフェースとして思いつくのはブラ(ブラジャー)である。
実際に女性アスリート用の心拍センサ付きのブラは存在する。
ブラにセンサではなくアクチュエータを付けて、ブラの締め付ける強さを変えるとどうだろうか。
例えばダイビングの締め付けられる感覚が好きだと言う人はいるし、妖しげなボディスーツを愛する人もいる。
ブラはしたことがないけれども(笑)、一般的に締め付けるブラは不評であるのと、ブラは部分的にしか締め付けないのが問題となりそうだ。
では、全体に締め付けられ、締め付ける強さが変化する「ブラのようなもの」があればハグは体感できるのだろうか。

このブラのようなものがあれば、ネットワーク接続がなくても充分だと思う人もいるかもしれない。
でも、分散しているにせよ、抱き締めてくれる相手がハグには必要だと思う。

(上記は半分はジョーク、でも半分はあったら面白いなと思います)
[2006/3/14]

The Forsythe Company 2006

3月1日(水)と3月4日(土)に彩の国さいたま芸術劇場にThe Forsythe Companyの公演を観て来た。

1日(水)の作品"You made me a monster"(2005)は、85名限定で観客が舞台に上がるもの。
20時の回に申し込んだが、ここのところの体調不良で途中で倒れないか心配だった。
時間になると観客は舞台の上に案内される。
舞台の上にはいくつかのテーブルがあり、テーブルの上には切り抜いて折る紙があって、これをテーブルの上の棒に繋いでいき、これらの影を紙に写し取る。
この写し取られた影を元にダンサー達が踊り、発した声は変調されてサウンドとなる。
良く分からず、テーブルに写った影を見つめていた。

後でThe Forsythe Companyの安藤洋子さん、Forsytheとコラボしている武道家の日野晃さんにご挨拶した。
二人によるワークショップ
FEEL&CONNECTは、自分がかつて働いていた部署と同じ名前なのである。
その名刺を記念に受け取っていただいた。

4日(土)の作品"Clouds after Cranach, Part 1"(2005)、天井から低く吊るされた四角い照明の下で12名のダンサー達がコンタクト・ダンス。
どこまでが振り付けで、どこまでがインプロビゼーションなのか分からない。

"7 to 10 Passages"(2000)、舞台の両端に机が並べられ、机に座ったCaspersenらの議論の中を、舞台の奥から手前にダンサー達がスローモーションのように移動して来る。音楽はWillemsのドローン系のサウンド。

"One Flat Thing, reproduced"(2000)、カーテンが開くとともに、ダンサー達が机を押して来て、舞台に机の迷路を作り上げる。
その中にダンサー達が入れ替り立ち代り入って来て、机の間・上・下で絡み合う。
音楽はWillemsの電子ノイズ系のサウンド。

公演資料によると、『フォーサイスプロジェクト2007』が行われるらしい。

2007年春始動!フォーサイスの多面的な活動を四本の柱で紹介
1.地域密着型の映像インスタレーション『City of Abstract』発表
2.インタラクティブDVD『One Flat Thing, reproduced』リリースと上映会の開催
3.これまでのフォーサイスの仕事を新たな視点で編集する日英バイリンガルBOOK発売
4.フォーサイス出演のシンポジウム開催
(問合せ:コンテンポラリー・アート・ネットワーク(CAN)、TEL: 03-5457-3163)

おまけ:
今夏に行われるJan Fabreの『主役の男が女である時』も面白そう。
Fabreの公演は1994年の神奈川県立青少年センターでの『時間のもうひとつの側』以来。
あれ!、このダンサーのポーズ、『
時間のもうひとつの側』のパンフレットのポーズとほぼ同じ。

[2006/3/1&4]

Carsten Nicolai "syn chron"

mixiの日記を読んで、山口情報芸術センター(YCAM)でやっているCarsten Nicolaiの"syn chron"に行きたい、行きたい、行きたいと思っています。

会期は来週の19日の日曜日まで、家からYCAMまでは新幹線だと6時間くらいです。
日帰りだと、朝早く出て、2時間体験して、夜中に戻ることになりそう。
3月末に直島に行く予定なのも、ちょっと考えてしまうところ。
[2006/1/21]

日野晃、『武学入門』

日野晃、『武学入門:武術は身体を脳化する』、BABジャパン出版局、1,785円
  第1章 「住なす」という日本の伝統武道
  第2章 外国が学ぼうとしている日本伝統武道とは
  第3章 「武」の名人の考え方とは
  第4章 武術から肉体運動、それは「身体」そして武道へとつながった
  第5章 「住なす」は身体の仕組みから
  第6章 「身体」の可能性.武術から武道へ
  第7章 「住なす」ためには、まず「向かい合え!」
  最後に 21世紀を生き抜くために

12月にワークショップを受けた日野晃さんの「武学入門」を読んだ。
武道一般は究極的には、力と技によって相手を殺すか殺されるかだと思っていた。
しかし、日野さんを始め、武道の名人の考え方は、欧米的な対立や競争という考え方ではなく、対立せずにともに活きるという考え方であり、「往なす」と言葉に集約されているらしい。
相手を往なすためには、まず相手の意識と同調するという究極のコミュニケーションが求められる。
ワークショップでは、これをFEEL&CONNECTという言葉で表現していた。
この辺りは読んだだけで理解できたと思ってしまうが、実際にワークショップで様々なワークをやってみると、自分の身体で実感することが不可欠であり、実は自分が全く理解していないことを思い知らされる。

日野さんは戦後の国家間の軍事的な対立に、日本が経済により往なしたと説明している。
現在の経済的な価値全盛の時代、グローバリゼーションによる経済的な対立や競争には、恐らく文化により往なしていくのだろう。
しかし、利潤を追求する会社の中で、文化によりどう往なしていけば良いのかと思うと、自分の無力さを感じる。

PS.
日野さんがダンスを研究されたのは最近だと思っていたら、かなり以前からジョルジュ・ドンの「ボレロ」などを研究されていたらしい。

【関連サイト】

【関連日記】

[2006/1/21]

エリアソン@原美術館

今日は久しぶりに、原美術館に「オラファー エリアソン 影の光」展を観てきました。
エリアソン(Olafur Eliasson)は、
ロンドンのTete Modernでの"The Weather Project"(2004)、を初めて観て気に入り、金沢21世紀美術館の「反射的状況」("Antispective Situation", 2003)でちょっとがっかりしました。
マイミクがイマイチと書いていたので、あまり期待しなかったら、予想を裏切って良かったです。
シンプルな装置に見えて、凄く考え抜かれていて、豊かな世界が表現されていました。

パンフレットに載っている水を使った虹の作品、「美」("Beauty", 1993)は今ひとつだったものの、半透明のリングに反射したり透過したりする光を扱った、「空間を包み込むもの」("Your space embracer", (2004))や「円を描く虹」("Round rainbow", (2005))は面白かったです。
また、モビールの影を使った「影のランプ」("Shadow lamp", (2005))は美しかったです。

絶品だったのは「単色の部屋と風が吹くコーナー」("Room for one colour and Windy corner", 1998)。
ライトもないのに黄色くシェーディングされた部屋、仕掛けのある黄色い壁を観ていたら気が狂いそうになりました。

昼間の太陽の光がないと観れない作品があったこと、展示カタログが2月末まで完成しないのは残念でした。
今後、屋上にも作品が設置されるらしいです。
会期は予定は2月5日までだったものの、3月5日まで延長されるようです。

それから、常設の半ドーナツの部屋にある宮島達男の「時の連鎖」(1989-94)は相変わらず良かったです。
[2006/1/11]


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