日々の雑感 [2007/01-03]

不惑の歳を遥かに越えて、未だに真っ暗闇の中、手探りで歩いています。


風鈴の短冊に絵を描くワークショップ

来週の4月7日(土)&8日(日)の池上本門寺の春祭りで、7月8日(日)〜22日(日)に池上本門寺で開催する『500個の風鈴の音を聴く』イベントで吊るす風鈴の短冊に絵を描くワークショップを行います。
その準備のために、今日はOHPシートを切って69枚(1枚は失敗)の短冊を作成しました。
春祭りではブースのテーブルで短冊にポスカで絵を描いてもらう予定です。

ご近所の方や花見を予定されている方は池上本門寺にいらしてください。
[2007/3/31]

今朝から池上本門寺の春祭りで、風鈴の短冊に絵を描くワークショップ。
お天気が良くていい感じです。

それから、春祭り用の仮フライヤーの画像。
写真のセレクションが、ほのぼのした感じで好きです。
[2007/4/7-8]

デザインと「ISSEY MIYAKE」

六本木のアクシスギャラリーでAXIS Forumとして、藤原大による「デザインと「ISSEY MIYAKE」」があるようだ。

「「A-POC」から「ISSEY MIYAKE」のクリエイティブディレクターに就任した藤原 大。服づくりの概念を変え、常に新しいことにチャレンジしてきた藤原が描くこれからの「ISSEY MIYAKE」とは?
「デザイン」を中心に据え、トレンドとは違った意味で多方面への広がりを見せる「ISSEY MIYAKE」の考え方を2月に行われるパリコレクションのレポートとともに語る。」

[2007/3/26]

2007年『500個の風鈴の音を聴く』

今年も池上本門寺とイキイキ推進委員会のご協力のおかげで、下記のように『500個の風鈴の音を聴く』イベントを開催することとなりました。

期間:2007年7月8日(日)〜22日(日)
場所:池上本門寺 (
アクセス

風が弱いときには、風鈴の音から風の動きが感じられます。
風が強いときには、風鈴の音の異次元のような共鳴の世界を体験できます。
風がないときには、残念ながら何も聴こえません。(笑)
来年以降の開催に関しては不透明ですので、今年はぜひ聴きに来ていただきたいです。

また、昨年から風鈴の短冊に絵を描いていただくという試みを始めました。
短冊の絵を描くワークショップを開催いたしますので、参加していただけるとありがたいです。
まずは、4月7日(土)&8日(日)の『
池上本門寺・春まつり』で行います。
絵を描いていただいた短冊は期間中ずっと吊るされますので、ご自分が描かれた短冊を500個の中から探してみてください。

今年も『500個の風鈴の音を聴く』イベントをよろしくお願いいたします。
[2007/3/24]

ジェームズ・タレル『テレフォン・ブース』

埼玉県立近代美術館でジェームズ・タレルの『テレフォン・ブース』(『知覚の部屋−テレフォンブース;意識の変容』1992年)が体験できるらしい。

常設展第4期-2007年2月1日(木)〜2007年4月22日(日)
光の諸相−モネからタレルまで

初めて体験したタレルの作品『ガスワークス』と並んで好きな作品。
自分で光のパターンを調節できるのが楽しい。
電話で美術館に尋ねたところ、展示は1台のみ、土日でも5分程度の待ち時間らしい。
[2007/3/16]

名古屋市美術館『テレフォンブース』

ジェームズ・タレルの『テレフォン・ブース』を体験しに埼玉県立近代美術館へ行ってきた。
初めての北浦和、ほとんと駅前すぐというところに美術館。
企画展の合間で、常設展しかやっていない平日ということもあって、なんかひなびた感じ。
さらに、常設展の入口付近に「テレフォン・ブース」のブースがひっそり。
これじゃ、知らない人は誰も入らないだろうね。

7分間の体験を2回堪能してきた。
久しぶりの全体野の色刺激、形を失って視覚がポンッと飛んでいった。
心地良いというか、ちょっと気が狂いそうなストロボのモアレ。
それが消えた後の意識がフッと消えるような感覚。

埼玉県立近代美術館が所蔵しているので、気が向いたときにタレルを体験できるのは嬉しい。
[2007/3/27]

「ジェームズ・タレル展:夢の中の光はどこからくるのか?」(1997)

21_21 DESIGN SIGHT

六本木の東京ミッドタウンにある「21_21 DESIGN SIGHT」、安藤忠雄さんの設計ということで、オープニングの3月30日から4月18日まで、『安藤忠雄 2006年の現場 悪戦苦闘』を開催するらしい。

4月1日には安藤忠雄さんと三宅一生さんのトークセッションが行われる。
(応募したものの外れました)

さらに4月7日以降は現代バレエの振付家のウィリアム・フォーサイスのビデオ・インスタレーション "Additive Inverse"。
[2007/3/12]

電話相談ボランティア

電話相談ボランティアに応募していて、今日は横浜に説明会と適正テストを受けてきた。

次はグループ面接。
応募には、800文字の参加希望の動機と、4000文字の生い立ちについてのレポートを提出した。
選考されると、1年間の養成コースを経て、ボランティアとして採用されるようだ。
今日の適正テストはTHI(東大式健康調査票)、
ここでもテストを受けることができる。

ちょっと目と皮膚が弱いのと、ちょっと神経質。
他の様々な検査でも顕著だが、抑鬱性が非常に高い。
これだけ抑鬱性が高くて、日常生活を支障なくこなしているのは、ストレスコーピングの能力が高いからかな。(笑)
[2007/2/24]

Media Skin

auのMedia Skin、欲しいなぁ。
ただし、音声通話はしないし、フリップの部分はいらない。
[2007/2/16]

↑と書いたものの、実際に見たら、画像で見たほど質感が良くなくて、オモチャっぽい感じだった。
おまけに、キーは絶対に正しく押せなさそう。
と言うことで、Media Skinを購入する気が失せた。

マイミクが持っていたソニエリのGSM端末の方が遥かに良かった。
[2007/2/28]

岡本高幸『xマン vibration』

2月24日(土)から3月4日(日)まで東京都写真美術館で開催される「文化庁メディア芸術祭」を調べていたら、アート部門優秀賞が岡本高幸さんの『xマン vibration』。

体の動きを倍で感じるためのスーツ。
全身に取り付けられた96個の万歩計から動きを検出して、動きのある場所のバイブレータで振動フィードバック!(
映像

振動フィードバックのタイミングまでコントロールできれば、触覚の仮現運動であるラビット効果で面白い感覚が得られそう。
もちろん体験しに行きます。(笑)
[2007/2/16]

メールカウンセリング実践講座

(これはカウンセリング関係のブログに書いたものです)

先週に引き続いて、なさです。

2月10日(土)〜12日(月祝)の3日間、日本オンラインカウンセリング協会のメールカウンセラー養成第23期実践講座を受講してきました。
あ〜あ、3連休を勉強だけで終わるのは辛い。(笑)
会場は渋谷の社会経済生産性本部の9階の会議室、広い会議室に受講者は8名しかいませんでした。
先日の入門講座に来ていた人もちらほら。
しかし、地図をコピーしていっただけだったので、休みでビルの入口が閉まっており、守衛所の所からしか入れなくて迷いました。

はじまりはじまり。

今回の実践講座では、一日目と二日目の講師は入門講座と同じ、三日目が「メールカウンセリング」の本を書いた渋谷英雄さんでした。
初日から疲れ気味で、二日目から頭痛薬を飲んで何とかこなしました。

一日目が協会の理事で社会福祉士・精神保健福祉士の安藤亘さんから、「精神疾患の基礎知識」と「メンタルヘルスカウンセリング:見立て・方針・援助の考え方」でした。
インテークにおける見立ての重要性が強調されていました。
そして、見立ての際の診断順序として「外因性→内因性→心因性」を挙げていました。
外因性は認知症など脳の損傷、内因性は統合失調症など何らかの遺伝的なもの、心因性は抑うつ神経症などストレスによるものです。
また、事例検討では、見立てにおける疾病性と緊急性の判断、および短期・中期・長期の方針、そして援助について判断を行いました。

二日目は協会の別の理事でシニア産業カウンセラーの佐藤敏子さんから、メールから見立てをして返信を書く「メールロールプレイ」でした。
しかし、最初から「カウンセリングとは何か」のディスカッションとなりました。
医療・心理・身体の関係性など、佐藤さんのカウンセリングに対する世界観が伝わってきて、この人に付いてカウンセリングの実践を勉強してみたいという気持ちにさせられました。

三日目は協会の理事で「メールカウンセリング」の本を書いた臨床心理士の渋谷英雄さんでした。
メールロールプレイを中心に、倫理の話などディスカッションの時間を多く取っていました。
メールロールプレイでは修了試験対策もあって、いかに受容・共感するか、いかに返事のメールを貰えるように書くかをやりました。

修了試験は2月28日までにメールで提出、メールカウンセリングの特徴の理解に関する設問が2問、メールに返事を書くメールカウンセリングの実際が2問、すべて800文字以内での解答です。
対面のカウンセリングよりもメールカウンセリングの方が自分に向いている部分もあり、本腰を入れて勉強してみようかなという気にさせられました。
[2007/2/12]

Hug Shirt

Hugシリーズ、以前にHug Machineがあるという話をした。
ところが驚いたことに、ネットワーク越しにハグを伝えるTシャツ、
Hug Shirtがあることを知った。

イタリア人が設立した英国のCuteCircuitというウェアラブルコンピュータとテレコミュニケーションにフォーカスしている会社が開発したもので、Time Magazineの2006年のBest Inventionsにもノミネートされたようだ。
日本でも2005年に日テレの「謎を解け!まさかのミステリー」で紹介されている。(
YouTube映像

BluetoothとJavaが使える携帯電話で利用でき、SMS(Short Message Service) でHugデータを通信するらしい。
Tシャツの赤い丸のエリアの下にあるパッドに、Hugを検出するセンサとHugを実現するアクチュエータが仕込まれている。
センサとしては、Hugの強さを検出する圧力センサ、体温を検出する温度センサ、心拍を検出する心拍センサがある。
アクチュエータとしては、"the sensation of touch, warmth and emotion of the hug"と書いてあるが、恐らくHugの触感を表現する振動素子と体温の暖かさを表現する熱電素子だと思う。
Tシャツの赤い丸のエリアは、Hugで接触する部分の上腕・背中の上部・腰周り・首・肩・尻にある。
充電池駆動で、パッドを外すことで洗濯が可能である。

どんな感触なのか試してみたい。
あ!、Hugの相手も求む!(笑)

【過去のHugシリーズ】

[2007/2/8]

寂寥感

昨夜、"Powers of Ten"の時間版のような感じで、遥かなる未来に飛んでいったら、宇宙の最後の熱的死まで行って、物凄い寂寥感に襲われて眠れなくなった。
そして、ほんの一瞬後に感じられる自分の死が怖くなった。
未来に進んでいくにつれて、自分と世界との繋がり感が失われていくためだろう。

こんなぞっとするような感覚は、思春期の頃に頻繁に感じていたように思う。
思春期の頃は世界との繋がりが希薄の上に、繋がることを拒否して生きていたように思う。

こんな例えば思春期の頃の感覚を再び味わえないものだろうか?
感覚器官の劣化だけなら、その劣化の逆フィルタをかけた感覚刺激を与えれやれば良い。
しかし、記憶など脳の変化を元に戻すことは、経頭蓋磁気刺激による脳の一時的な機能停止などでは無理なように思える。

初めて色んなものに触れた感動、もう一度味わってみたい。
[2007/2/6]

日本の表現力

昨日、国立新美術館に今週末で終わってしまう「日本の表現力」と、ついでに「黒川紀章展」を観に行ってきた。
つまり無料の展覧会だけを観て来たということ。(笑)
メディアアートに疎い友達と一緒だったので、お目当ては楽しめる下記の5作品。

『時間層 II』 1985 岩井俊雄
『視聴覚交換マシン』 1993 八谷和彦
『映像装置としてのピアノ』 1995 岩井俊雄
『モルフォタワー』 2005 児玉幸子
『KAGE 2007』 minim++

平日の開館時間の10時だというのに、二階の「日本の表現力」の入口はかなりの混雑。
『視聴覚交換マシン』の体験に並ばなければと急いだら、あれれ?、『視聴覚交換マシン』は写真展示のみだった。(がっくり)
さらに、あれれ?、『映像装置としてのピアノ』も映像展示のみ。
体験できるものがないかと回っていたら、中居伊織さんの『streetscape』2002。
そして近森基さんと久納鏡子さんの『KAGE 2007』、これは1997年の再制作らしい。
恐らく1997年にLAで開催されたSIGGRAPHで最初に観たはず、影をプロジェクタで動かすという発想と表現の面白さに驚いた。
『時間層 II』、これだけシンプルな仕掛けで楽しめるものはさすが岩井さん。
時間層の中で一番好きな『時間層 III』をまたどこかで観たいな。
児玉幸子さんの『モルフォタワー』は小さくてちょっとがっかり。
これも最初に観たのはSIGGRAPH、コンピュータグラフィックスの国際会議なので、以前はこういうものが出展されることはなかったこともあり、でっかい装置で黒光りする物体がぶにょぶにょと動いているのは本当に衝撃的だった。
意外に良かったのが、鈴木太朗さんの『青の軌跡』2003、マトリックスの青い光の上に被せられた薄い布が下からの風で膨らんで、光が滲んだり変化するのが面白かった。

もうひとつのお目当ては三階のフランス料理店「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」。
しかし、こちらもあえなく撃沈。
エスカレータで三階に上がったところから長蛇の列。
あきらめて美術館を出て移動し、ベトナムアリスのランチを食べた。
[2007/2/2]

メールカウンセリング入門講座

(これはカウンセリング関係のブログに書いたものです)

ご無沙汰しておりました、なさです。

1月27日(土)と28日(日)、日本オンラインカウンセリング協会のメールカウンセラー養成第5期入門講座を受講してきました。
(27日の自主勉強会はまたお休みしてしまいました。なお、この講座はまつげさんから教えてもらったものです。)
会場は江東区のアパホテル、耐震偽装の京都のアパホテルとは違い問題がないと、前日に協会から連絡が来ました。(笑)

はじまりはじまり。

協会ではメールカウンセラー養成講座として、入門講座と実践講座を設けています。
今回の入門講座では、一日目が協会の理事で社会福祉士・精神保健福祉士の安藤亘さんから、メールカウンセリングの概要とメールの返信を書くメールロールプレイでした。
二日目は協会の別の理事でシニア産業カウンセラーの佐藤敏子さんから、メンタルヘルスの基礎とメールの返信を書くメールロールプレイでした。
メールカウンセリングでは、クライアントの声や表情など非言語情報がないこと、リアルタイムに応答ができないことにより、「メール読解力」と「メール表現力」に加えて「想像力」が要求されます。
また、メールの応答の回数を三回など限って実施するので、例えば一回目は受容と共感、二回目は自己洞察、三回目は課題の明確化のように、一回目からクロージングを意識して進めて行きます。
メールの内容としては、基本的には挨拶・受容・共感・リフレーミング・目標設定が含まれており、何回目かによってそれぞれの量が変わります。

養成講座では、武藤清栄・渋谷英雄著の「メールカウンセリング:その理論・技法の習得と実際」(川島書店)を教科書としていました。

余談ですが、ニュージーランドから参加していた人にInterpersonal Therapy(対人関係療法)というものを教えてもらいました。
認知行動療法と並んでうつに効果のある療法のようです。
水島広子著の「
自分でできる対人関係療法」(創元社)を読んで勉強する予定です
ので、内容についてはまた次回をお楽しみに♪

[2007/1/28]

行為、意志、意識―主観経験の神経科学

以前にも書いた下記のセミナーに参加してきた。
mixiのマイミクの日記で知ったものの、申し込みで「恐らく3日間すべて参加可能」と正直に書いたら、3日間すべて参加できない可能性があるとして落選してしまった。
しかし、主催者に落選の理由を尋ねていたら、たまたま前日にキャンセルが出て、参加することができた。
知覚心理学者、神経生理学者、哲学者とか専門化向けであったこと、下條先生が大量の資料を早口で喋ったこともあって、頭が飽和状態で知恵熱が出そうになった。
ただ、尊敬する下條先生からまとまって話が聴けたこと、最新の成果に触れられたことは良かった。

UTCP連続セミナー
下條信輔(カリフォルニア工科大学教授)
行為、意志、意識―主観経験の神経科学

主催:東京大学21世紀COE「共生のための国際哲学交流センター」(UTCP)
共催:東京大学21世紀COE「心とことば―進化認知科学的展開」
協賛:中央公論新社

セミナー概要
脳においては膨大な神経情報処理が意識に昇らない仕方で遂行され、またシナプス結合の柔軟性が神経システムの可塑的変化=学習を保障している。こうした潜在的情報処理は、知覚、記憶、運動、情動などの高次機能に広範にまたがり、それらを下支えしている。このレクチャーシリーズでは、以下のようなテーマについて、最新の研究事例を通して検討する: (a)主観的意識体験を通じた人間の自己認識や行為制御が、神経組織における潜在的な情報処理によっていかにして実現されているか、(b)神経活動と知覚経験のマイクロな時間的構造はどこまでわかっているか、(c)意志決定や行為が身体依存的/文脈依存的というのは認知神経科学的にはどのような意味なのか。さらにこれらの検討をふまえて、(1)クオリア(主観経験に固有の質)はほんとうに「説明困難な問題」か、(2)意識経験にとって脳神経活動は必要十分条件か、(3)人間は意識的に自己決定する存在でありうるのか(もしそうだとすればいかなる意味においてか)といった古典的な問題にも、あえて踏み込んで考察する。

各回の内容 (東京大学駒場校舎18号館4階コラボレーションルーム1)

1月16日(火)
第一回13:00〜14:30 主観経験は特権的かーイエス&ノー
哲学者を含めて誰もが認めるように、主観経験は本人だけに特権的に体験される。しかし同時に、この側面を強調し絶対視することが、さまざまな矛盾や混乱をもたらしているようにも思われる。ここではまず、日常生活や実験室において主観経験の特権性が言われるのはどのような場面なのかを考え、そのいくつかの場面について具体的に疑問を提起する。たとえば、主観経験の内容とタイミングがはっきりするのは、いつの時点なのだろう。
第二回15:30〜17:00 主観的意識体験の時間的構造
知覚の心理物理学では、時間順序が逆転したり一見(?)未来が過去に影響するように見える「逆向性現象」が知られている。また知覚内容や反応を決める神経メカニズムと、知覚の主観的タイミングを決める神経メカニズムとが、別であることを示す神経学的知見もある(たとえばB. Libetの「逆向性遡及」)。カルテックの私たちの研究室で得られたTMS(脳磁気刺激法)による結果なども含めて、100-200ms以下のマイクロな時間スケールで、脳と心のダイナミクスに何が起きているかを精査してみよう。

1月18日(木)
第三回13:00〜14:30 自発的な運動の神経学的メカニズム
責任の前提となる自由意志は、科学の因果的決定論と両立するか。古来この問題は多くの論者を惹きつけ、熾烈な論争が今も続いている。神経科学の最新知見は、この問題に対して何かを語っているだろうか。まず、他の心的機能と同じく自発的な身体運動についても、それに先立つ「神経対応」あり、そこから運動(行為?)を予測できるとする知見がある。また身体的で潜在的な定位反応が、意識的認知的な選好判断に先立つという、私たち自身の知見もある。だが、本当に話はそれで尽きているのだろうか。こうした「プレティクティヴ(予測的)」な過程に対する「ポストディクティヴ(後づけ的)」な過程に注目する。
第四回15:30〜17:00 主観体験の直接性・無謬性という錯誤
第一回でも述べたように、主観体験の直接性・無謬性の信念は根強い。これまでの講義でそれに反する側面を明らかにできたとしても、この信念が根強いことを説明する/理解する仕事は丸ごと残っている。ここでは、言語の構造、幼児の認知発達と言語獲得、大脳新皮質と言語・認知機能の進化などを足がかりに、この点を考察する。またその一応用問題として、意識についての「外在説」や知覚の生態学的・行為論的解釈に近い立場から、いわゆる「クオリア問題」にアプローチする方向を示す。

1月19日(金)
第五回(新規追加) 能動性・自発性
第六回14:00〜17:00 真性のイリュージョンとしての自由意志
自由意志に基づく行為が神経生理過程に還元され、因果的に解明しつくされ得るとしたら、自由な意思と責任の原理に基づく近代市民社会の倫理や、罪と罰の論理は雲散夢消してしまうのではないか。そのような危惧が両立論のさまざまな試みを動機づけてきたが、いずれも十分な成功をおさめたとは言いがたい。神経科学の知見をめぐるここまでの議論から、自由意志を、真正の(すなわち知識によって解消されない)知覚イリュージョンと捉える新しい見方を示す。この観点が、両立論に別の有力なチャンスを与えるのではないか。法哲学や倫理学、刑法学、さらには司法精神医学でいう「責任能力」などを参照しつつ、主観と客観、潜在脳機能と顕在意識、プレディクティヴな過程とポストディクティヴな過程、などの関係を再考する。情報管理、大衆操作を通じて「管理されながら自由を行使する」現代社会の傾向は、案外このような両立論的な見方と遠く呼応しているのかも知れない。

[2007/1/20]


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