分からない方は「こんな物」程度でよろしいかと思います。少し知識のある方は、「塩素化したベンゼン環2個が、酸素によって架橋された構造」で。合成まで知識のある方は、「2,4,5-trichlorophenol2分子が縮合で出来る(実は、これがベトナム絡みになります)」でOKかと思います(2C6H2Cl3OH → TCDD+2HCl)。尚、TCDDは分かる人にはPCBと似ていると思いますが、その考えはかなり正解に近いです。
・1999/02/20 補足
「逆さ独楽」さんから御要望がありましたので、もう一つ。取りあえずTCDDに限定しておきますが、現状で「一応こうではないか?」と言われている挙動についてです(管理人の知るかぎりですけど.......ちょっと難しくなります)。
TCDDは、催奇性(「奇形」を出す可能性)を持つことから遺伝子への影響が考えられています。これは(専門的になりますが)TCDD分子の「長さ」が、ちょうどDNAの塩基対の長さと近似しているため、これと入れ替わってしまうと考えられています。更に専門的になると(ごめんなさい)TCDDは疎水性物質なので、細胞膜や核膜(共に疎水性)をあっさり突破出来、これによってDNAと容易にアクセス出来ると考えられています(疎水性とは要は「親油性」、つまり油に良く溶ける性質。細胞膜や核膜は「油」で出来ていますので、疎水性(=親油性)物質であるTCDDは簡単に「混じり」ます。ここには親水性の物質(例えば「水」そのもの)は直接入ることは出来ません)。
また、TCDDは「女性ホルモン」の分泌を促す働きをするともいわれており、その分泌を過剰に促す事によって「内分泌撹乱物質」として(要は「環境ホルモン」って奴です)働くと考えられています。この症状としては、男性でも乳房が大きくなるなどの症状があるようです。現状ではこのホルモンバランスの崩壊による影響があると考えられています(TCDDは体内に入るとゆっくりとしか排泄されないため、比較的長期間にわたってホルモンのバランスが崩される恐れがあるわけです。もっとも、体内に入るのが少量なので「リスク」は小さいわけですけど)。
最後に専門ついでで恐縮ですが、上記TCDDの構造式で「塩素の数と配置」でその毒性が変化することが知られています。現状では、上記のものが「最強」とされています。
他にも色々とあるようなのですが、現状では「良く分からない」部分が多すぎるようです(だからなおさら「実体が伴っていない」わけです。だれも「本当の毒性」が良く分からないという........)。これから研究が更に詳しくなるでしょうから、今後はっきりしたことが分かると思われます。
ふぅ.......今回は長くなりました。これでもまだ足りない様に思ったりもしますが........
さて、今回はいかがだったでしょうか? 本当はこのネタはもっと後にするつもりだったのですが、最近の盛り上がりも結構あるので、今回、ついに書きました。かなり真剣にかきました。「重い」と感じる方もいらっしゃるかも知れません。
良く言われる「エコロジー」や「地球に優しい」なんて言うものは、管理人に言わせれば、「人間の自己満足」としか思っていません。もちろん、管理人もその中の一人であることは免れえない部分があるのは否定を出来ませんが........ それでも、「本当の問題」に対して「背を向けている」連中とは違うであろう事を切に願っています。
今回は、かなり「キツメ」に書きました。この文章を読んで、「いや、おまえの行っていることは間違いだ!!」と言う方がいらっしゃると思います。そして、不愉快に感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、管理人は「実際」の事を書いたまでと思っています。
もし、この文章を読んで感じるところがあれば、是非管理人に教えてください。
それでは今回はこれにて。皆さま、お体を大切に.......
(1999/02/14記述。1999/02/18、同20補足。 メールでのやり取りから抜粋し、加筆・修正(Thanks>Ms. A.M.))