〜VirtualPCと1GHz〜


ここでは、VirtualPC 5.04Jを1GHzで動かした所感です。


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・最初に

 2002年11月、Sonnet TechnologiesのSawtooth用G4アップグレードカード、Encore/ST G4/1GHzを購入し、管理人のPowerMac G4/350MHz(AGP Graphics)のCPUを換装しました。この製品はL2キャッシュを内蔵で256KB、外部にL3キャッシュ(DDR/500MHz)を2MBもつのが特徴です。
 このアップグレードで、比較的重かったMacOS Xの動作や各アプリケーションの動作の向上が顕著に認められる事となりました。同時に、純粋にパワーを要求されるVirtualPCにおいてもパワーアップが成される事となります。
 この記事では、そのパワーアップの所感について触れる事とします。


・設定および基本ベンチマーク

 一応、ベンチマークの結果からの転載です。
機種CPU2nd Cache/3rd Cache内臓メモリーMacOSHDD接続環境Video Card
PowerMacG4(DVD model)
(Sawtooth)
Sonnet ENCORE/ST G4
PowerPC G4/1GHz
256KB
2MB(DDR:500MHz)
576MBMacOS 9.2.2J
MacOS X 10.2.2(6F21)
内臓Ultra ATA/66(60GB/60GB)
(MASTER接続)
GeForce2MX
(ELSA GLADIAC MX)
VirtualPCVPC稼働OSHDDイメージWinodwsメモリーVRAM割当ベンチソフトFormatter
5.0.4-JWindows95 OSR2350MB64MB4MBHDBENCH2.61
HDBENCH3.30
Super_pi
がんぶるベンチ
ドライブ設定2.0.3
結果

HDBENCH 2.61
ALL浮動小数点整数演算メモリー矩形テキストスクロールDirectDrawREADWRITE
MacOS9.2.2J16756383984961726680974730678934268221264111376
MacOS X153993645147776242677680381958722915113529742
MacOS9.2.2J(350MHz)813323086196811187944459983516106878755363
MacOS X(350MHz)6771211151805397873158732190681547184409


HDBENCH 3.30
ALLCPUメモリーVIDEODISK
ALLIntegerFloatReadWriteRead&WriteRectangleTextEllipseBitBltDirectDrawREADWRITECopy
MacOS9.2.2J13965310692836897262784914936655179574982902320524162077046
MacOS X126023003227009868823486131184932628311972401523298105595195
MacOS9.2.2J(350MHz)74001195811772782517756107442308251545110581235087543702
MacOS X(350MHz)5926112591071163921438089991542175692655804183212475


Super_pi
1.6万桁3.2万桁6.5万桁13万桁26万桁52万桁104万桁
MacOS9.2.2J00:0300:0800:1400:2800:5902:1305:14
MacOS X00:0700:1700:2900:5301:4803:5208:36
MacOS9.2.2J(350MHz)00:1000:1900:3401:0502:1605:0111:00
MacOS X(350MHz)00:1700:3401:0802:0304:0608:37--:--


がんぶる ベンチ(fps)
MacOS9.2.2JMacOS XMacOS9.2.2J(350MHz)MacOS X(350MHz)
フルスクリーン65.347.325.318.4
解像度調整61.547.025.317.7
Window64.441.125.218.1




・VPC全体の所感と意義


 ベンチマークページでのコメントと重複する部分もありますけど。
 ベンチマークではおおむね2.5倍程度の速度上昇を見せていますが、体感でも確実な上昇が分かります。顕著なパワーアップの点としては、
 といった点があります。いずれも「パワー」によって結びつくもので、ある意味当たり前な物ですが、MacOS Xでのパワーアップは一つ重大な点です。例えば、350MHzでMacOS Xの利用は正直「やる気が無い」物がありました。理由は「パワー不足」でして、パワーがないせいでディスクアクセスも遅く、起動時間も長い。比較的軽量なアプリの使用はまだ出来るのですが、OSの起動自体が遅くてストレスがたまる。ということで、ベンチ以外の起動はまずなかったのですが、今回のパワーアップで9.2.2Jの350MHz並かそれ以上のパワー速度となりまして、ある程度のものなら使う気になります。もちろん、9.2.2上の方が高速ですから、パワー優先でいくなら9.2.2立ち上げとなりますけれども。
 ただ、MacOS Xを主力とする現状において、何でもかんでも「9.2.2立ち上げ」という事をしなくて済むのは良い点と言えるでしょう。

 尚、HDBENCHによればCPUパワーはPentiumIII/733MHz相当となっています。が、相変わらず描画絡みはやはり強くはありません。
 もちろん、確実に描画も向上していますけどね。実機と比較すると駄目という意味ですが。ただ、描画が余り絡まない処理では下手すると古めの実機を超えるものはあるかもしれません。少なくとも管理人が仕事で使っているMMX Pentiumの時代の旧式ノートは全ての面で凌駕すると思われます(笑)
 いや、会社の実機使うより自宅のエミュレーターの方が本当に高速なんで.......(^^;

 ただ、昨今のDOS/V機の低価格化もありまして、最近はVPCの意義も微妙なものがあるのは確かです。
 ユーティリティ的な部分や、「ちょっとした使用」といった物が無ければ実機購入も選択肢にはいるかなぁ、ともやはり思うものはありますが。もっとも、インストールの簡易性やMacとの親和性といった部分、スペースの確保などの点ではVPCが有利となるとは思いますが........
 ただ、管理人個人の使用における
 という面では正直言えば「実機買わなくてもいいや」と思うものはあります。「3DばりばりでGeForceの新しいヤツでやっと遊べる」とかそういうのはまずやりませんし。復刻版ゲームや2Dを中心とするゲームの場合、多少実機が速いにしても十分我慢できるレベルにあると言えます(多少でも速度が落ちるのが我慢できないなら別でしょうが)。また、仕事ではファイルのやり取りの都合上、「Macでメール受信」→「添付のWordファイルをVPCに持っていく」→「作業」→「VPCからMacへ」→「送信」となりますが、Macのデスクトップ上で全てが終わる、というのはやはり楽です。そして、仕事上でストレスのたまらない速度で動く以上、特に実機を使う意義もあまりありません。
 また、やはり「HDDイメージを作って、クローズドな実験」をするには手軽で魅力的ですし、バックアップもMacでのHDD容量があれば「HDDイメージ丸々コピー」で可能、という点はやはり有利でしょうか。
 比較的重くない使い方ならそう問題はないと思いますけどね。


・OSの所感


 管理人がVPCで主に使用するのは、Windows95またはWindows98SEとなっています。
 もっとも、VPC5.0xになってからWin95にあまり「優しくない」物がありますので、仕事やゲームなどはWin98SEを使用するようになっています。Win95はベンチマークで固定して使っていますけどね。

 1GHzにおけるこれらOSは体感速度が顕著に上昇しています。
 特にWin98SEはWin95に比して重く、起動時間や使用できるようになるまでの立ち上がりの時間が掛かりました。例えば、デスクトップが表示されてから、実際に入力の受け付けが始まるまでまた待たされるものがありましたが、1GHzにすることでこの部分はかなり改善しています。ま、多少は待つんですが以前ほどではないです。

 インストール速度はきっちりと向上しています。
 Win95はまず問題がないと思われるのでやっていないのですが、Win98SEのインストール時間を計測してみました。

MacOS 9.2.2JMacOS X9.1J/350MHz
(VPC4.02-J)
コピー完了まで0:150:250:40
一回目リスタート後の作業0:050:110:10
二回目リスタート後の作業0:080:120:16
CD-ROM起動から終了までの合計0:300:571:15

 「大体」の数字ですけどね。一番右は、以前の記事で使用したもののデータで「おおよそ」の物です。5.0xと速度はそう大差はないと思われるので、参考に使えると思われるので掲載しておきます。
#実は、余りにもインストールに時間が掛かるので、通常は「バックアップ」を用意してそこからコピーし、仕事用なりのイメージを作ったりしています(^^;;
 これだけ見ると、顕著なパワーの差は見られると思います。
 特に9.2.2でのインストール時間の短さは魅力的で、350MHz時のWin95より少しかかる程度となっています。MacOS Xでは9.2.2の倍程度の時間ですが、それでも9.2.2/350MHzの時よりは高速です。純粋なCPUパワーの向上と、HDD速度の向上などがこの点は影響が大きいと思われますが........


 尚、実際に使う面では「あれこれと重い」Win98SEなどでは、こういった物に見られるようなパワーの向上はストレスの軽減に十分に役に立っています。
 もっとも、ある程度手は入れて快適な環境にする必要はあると思いますけどね。


・アプリの所感


 アプリケーションは総じて体感的に上昇しています。
 が、実は物によって異なりました。というのは、要は「350MHzで十分」というものもありましたし、見るからに顕著な改善が見られたものもあります。特に「重ければ重いほど」改善する傾向があったように見えました。ま、パワーとの関連と言えば順当と言う気もしますけどね。
 以下に、いくつかの事例を挙げておきます。


・L2/L3キャッシュ


 これはNishitaniさんによる投稿ベンチマークがきっかけでして、Nishitaniさんの考えられた疑問「分からないのがCPUのFloat。なぜ1万も差がつく?」という発言が少し気になったので調べてみました。
 使用環境は上と同じですが、MacOS Xでの計測です。CHUD tools(http://developer.apple.com/tools/debuggers.html)を用い、シングルプロセッサでL2/L3のキャッシュのオンオフを行いました。
HDBENCH 3.30
L2/L3ALLCPUメモリーVIDEODISK
ALLIntegerFloatReadWriteRead&WriteRectangleTextEllipseBitBltDirectDrawREADWRITECopy
ENCORE
ST G4/1GHz
on/on13806299132695286372354413208513667721992461623015183115127
on/off990627452247728037213491196829394352759661213360103913324
off/on131972957526682849023030129823397432610102481521671174955092
off/off7724253602285872592277688999631144355517941060142346

 Nishitaniさんとの主な差は「機種」「HDBENCHのバージョン」「Windows」「CPUのL3キャッシュ」です。
 HEBENCHはNishitaniさんは3.22、こちらは3.30。WinはNishitaniさんはWin98SE、こちらはWin95です。ただ、これらはそう大きな差は生まないと思われます。そして、CPUはL3キャッシュがNishitaniさんの機種では1MBで250MHz DDRですが、Sonnetのは2MBで500MHz DDRとなっています。
 L2、L3のon/offの効果の傾向は一緒でしたが、不思議な事にやはりFloatは高い数値を示した上、off/offでも下落傾向がかなり抑えられているようです(MDDでon/onの半分以下)。
 Sonnet、何か仕込んでいるのでしょうか?


・まとめ


 予想通りではありますが、かなりのパワーアップがみられました。
 管理人の環境としては、「MacOS Xでも躊躇をする必要がないレベル」のパワーアップになりましたので、これはかなりの恩恵と言えます。また、各種アプリケーションの動作の向上や、インストール時間の短縮という物はストレスの軽減に間違いなく貢献しています。
 ま、メモリーなど新機種に劣る点もありますが、CPUパワーなどを見ると、総じて「そう悪くないパフォーマンスをもつ」という事が言えるかと思います。もちろん、管理人の購入したSonnetのカードでは、という注釈が付きますが。同程度の性能を持つ他社のものでもそう大きな差は無いのではないでしょうか?
 「新機種買うほどの金はない」という人には良いパワーアップの選択肢、と言えるかもしれません。

 実際、Macその物のパワーが上がるわけですから、個人的にはSawtoothなどの使用者にはお勧めできる物かと思いますけどね。
 特にMacOS Xを使っているとその恩恵の程が良く分かると言えます。


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(2002/12/21公開)