からむこらむ
〜その53:地球環境と大気〜


まず最初に......

 こんにちは。最近寒暖の差にめっきりやられ気味の管理人です。 皆様いかがお過ごしでしょうか?
 結構な風邪が流行っているようです。皆様、くれぐれもお気をつけを..........m(__)m

 さて、今回は環境科学のお話。 内容はタイトル通りでして........ま、定番どころの一つと言ったところでしょうか。 でも、案外良くわからん、って方もいらっしゃるかと思いますので、やる価値はあるかと思います。
 それでは「地球環境と大気」の始まり始まり...........



 近年特に叫ばれている問題の一つに「地球環境問題」と呼ばれるものがあるのは、皆様承知の通りかと思われます。 ま、環境環境と大きく言われる時代になったわけですけど............
 さて、地球環境問題と言うのは極めて広範な範囲に及ぶものでして、一地域限定といった物はそう多くなく、ある意味地球全体に影響を及ぼす物、という問題です。そして、基本的にはその視点は常に「人間中心」となっているものです(これ、重要です)。 さて、その中で特に挙げられているのは「砂漠化」や「酸性雨」「熱帯雨林の減少」「生物種の減少」など。その他複数多岐に渡るものがあります(もちろん、人間だけがやたらと増えているのもその問題の一つではあります。どんなきれい事言っても現実問題として)。さて、今回はそう言った問題の中でも「大気」に関することと、更にそれに関連して非常に有名で聞く機会の多い、温暖化とオゾン層破壊についての話をやってみようかと思います。
 科学的な理論からすれば、どういうことになっているのか? 話を聞く割には科学的な部分から、という点においてはピンと来られない方も多いかとは思いますので..........
 ま、お付き合いの程を。


 さて、今回は大気関係の話ですので、そう言ったデータなどについて少し触れてみましょう。
 まず、御存じの通り地球には大気がありますよね? 地球の大気圏環境と言うものを調べてみると、地球では6×1027gもの大気がある、と言われています。 その主成分は御存じ約8割を窒素(N2)が占めており、その他酸素(O2)やアルゴン(Ar)と言った気体が占めています。他にも水(水蒸気の形)や二酸化炭素なども多く含まれています。 まぁ、ここら辺は比較的良く知られている事項かもしれませんが.........
 さて、地球の酸素ですが、これは最初は岩石中に酸化物、または大気の二酸化炭素という形で多く含まれていたと言われています。が、35億年前に植物の出現が起きた、とされるとき(同時期の地層から細菌とラン藻の化石が発見されているそうで)に二酸化炭素は酸素へと変化していったと考えられています。そして20億年前にオゾンが形成されたとされ(これにより、生物は紫外線から身を守ることが出来る事が可能となり、地上へと進化の道を歩む)、4億年前に現在の組成に近くなった、とされています。

 ついでに気候環境について少しだけ触れておきましょうか。
 現在の地球の気候環境は「第4期」と呼ばれる時期に入り、約200万年前〜現在に至っています。まぁ、200万年前というと猿人の頃でしょうか。原人にはまだ早いですから。 さて、この間に知られているかぎりでは五つの氷期を迎えており、海面の高さを併せて表記すると(氷期の間は気温の低下があり、氷になりやすく海面が低下する為)、ドナウ氷期(最盛期で現在の海面より50〜150m高い)に始まり、50万年前のギュンツ氷期(最盛期で現在とほぼ一緒の海面)、40万年前のミンデル氷期(最盛期で現在の約-80m)、20万年前のリス氷期(最盛期で現在の海面より-100m)、10万年前のウルム氷期(最盛期で-100m)の五つの氷期を迎えています。 この氷期の間を間氷期と呼んでいますが、現在は間氷期の山を抜け、また海面が低くなっている時期、となっています(もちろん、数十万年のスケールで見た場合、ですが)。 ちなみに、このデータを見ると、概ね20万年周期で氷期が訪れていることがわかるかと思われます。
 こう言ったことがわかる理由は色々とありまして.......例えば酸素の同位体酸素16(16O SI)と酸素18(18O RI)の量を比較する事で調べられます。 例えば雲は酸素18が多く、雨は酸素18が16に比べて早く落ちること。また、同じ酸素でも過去に挙げた例(その10その11)のように物理的性質の違いから........つまり、酸素16の方が早く凍る為に氷期の間は酸素16が早く凍るので海は酸素18が多くなり、間氷期には酸素16が海に流入を開始し始めるという事がわかっています。 以上のことから......地層に眠る甲殻類の甲殻(主成分:炭酸カルシウム(CaCO3)の酸素の量を比較してみれば.........? そう、地層の年代は現在で推定が可能ですので、そこに埋まっている甲殻類を調べれば、当然年代が出てくるわけです。 そして、そこから出てくる甲殻類の甲殻の酸素を調べてみれば.........? そう、氷期の間は酸素18が増えていますので当然これを多く含み、間氷期には酸素16が増えますのでその比がまた変わってくるわけでして.............
#まさに、同位体の利用ですが..........

 まぁ、氷期の起こる理由は色々とあるようなのですが、1941年のセルビアの科学者ミランコビッチ(Milamkovitch)は「地球と太陽の関係が周期的変化するのが原因」という仮説を立てています。 これは、地球の軌道と離心率の周期や、地軸傾斜角の変化、気候歳差(地球の自転軸の方向が、ある程度の傾きを保って黄道の極を中心にして円錐形を描くように約二万六千年を周期として回る現象の事.........難しいので「そんなもん」で結構です(^^;;)の変化等を総合的に考える(=最小公倍数)と約20万年となり、これは海面の高さの水位のグラフや上記の甲殻のデータ等、さまざまなデータとかなりずれはあるものの、基本的には一致するそうです。
 これを「ミランコビッチサイクル(Milamkovitch cycle)」と呼んでいます。


 さて、次に大気環境の変化という物の要因を挙げておきましょうか。
 大気環境変化の要因については概ね以下の四つが挙げられるかと思われます。
  1. ミランコビッチサイクル(Milamkovitch cycle)
  2. 太陽活動
  3. 地球の要因
  4. 人為的要因
 上の三つは非常に巨大な力であることは御理解いただけるかと思います(人如きではどうしようもないですね(^^;;)。
 さて、説明ですが..........一番最初のは取りあえず良いとしまして.........
 「太陽活動」ですが、これは文字通り太陽の活動によるものです。これを調べるのは意外な方法がありまして.........まず、その44で少し触れたように様に、宇宙線と大気の窒素14(14N)が衝突して常に放射性の炭素14(14C)が生まれてきているのですが、これが太陽活動(=宇宙線の量)に関与してきます。一般的に太陽活動が低下する時期には炭素14が増加する傾向にあるとの事で、これを大型樹木から調べることで判ずる事が可能となっています。 ちなみに、現在は盛んらしいのですが、200年ごとに低下しているそうですので21世紀はどうも低下の時期に当たるそうです。
#江戸時代の飢饉なんてのもこれに関与していたのでしょう。
 次に「地球の要因」ですが、これは文字通りでして火山活動などが特に目に見える物でしょうか。 原因不明の海水温の異常分布である「エルニーニョ」なんてのもまさにこれに該当します。 これは人間の活動とは関係ないものです。
 そして、最後の「人的要因」ですが.........ま、これは二酸化炭素やNOx、SOxで有名になっているものが代表的でしょうか。 ま、これに関しては後で詳述となるでしょう。


 さて.......では徐々に本腰を入れていくとしますか.........
 えぇと........ま、日常生活をちょっと考えていただければわかるかと思いますが、昼間の外。晴れていれば太陽が見えるかと思います........ま、当然ですよね? で、夜になれば当然のことながら太陽は見えず.......月の位置によってはお月さんが見られる、と思います。
 さて、昼間の太陽をちょっと考えて頂きましょう。別に太陽がまぶしいから人を殺すとか、そういう話ではありませんよ?(『異邦人』/カミュ:小説です(^^;;) まず........昼間に晴れていれば当然太陽光が降り注いでいるかと思われます。 そのエネルギーは1cm2で垂直の高さから太陽光が1分間降り注いだ場合は2cal/cm2・minのエネルギーになります。この数値を一般に太陽定数と呼んでいます。 ちなみに、地球平均では0.5cal/cm2・minになります。
 次に、太陽から地球に降り注ぐエネルギーを100と仮定して考えていただきましょう。 さて、この100のエネルギーが地上に降り注いだ後、これらはどうなるでしょうか? まぁ色々と想像されるかとは思いますが..........基本的に、このうちの30が短波長放射......まぁ、直接そのまま、エネルギーが高い、という形で跳ね返っていきます。この反射の......平均反射率を「アルベド(albedo)」と呼んでいます。例を挙げると地球では0.3 金星では0.72 火星では0.16 月では0.067となっています。 さて、30%の反射をしましたが、このままではエネルギー終始があいません.........そう、残り70%の分があります。これは地上で熱として吸収され、後に長波長放射.......まぁ、一般的には赤外線(IR)といった形でこの分を放射をします。 これで入力に対する出力が一致します。 こうして通常ならば気温の平衡が保たれる(つまり、入力と出力分が一致しない.......例えば入力が多くて出力が少ないと、それだけ熱が篭ることになる)訳ですが..............
 ここでちょっと面白い話をしてみましょうか。
 地球の大きさと、上記のエネルギーの関係を考えてみると.........まぁ、面倒な訳のわからない公式(物の本を読めば、地球の半球への太陽のエネルギーの入射に、ステファンボルツマン定数がどうこう言いながら「πr2(1-A)So = 4πr2Ie」(A=アルベド So=太陽定数 Ie=地球からの放射量)なんて式が出て、更に「Ie=σT4」(σ=ステファンボルツマン定数)なんて式が出るでしょう。Tがこの場合の解ですけど)に当てはめて計算をしていくと、あることがわかりました。 それは........地球の温度なのですが、上記の入出力(太陽定数にアルベドに......etc)を考えてみた場合、地球の温度は計算上では何と、-18度になることが判明しました。そう、氷点下です。一般の冷凍庫よりも低く、学術系の研究室にあるフリーザーなんかはこのぐらいの温度でしょうか(もちろん-80度なんてやつもありますけど(^^;)。 ちなみに、アラスカの北極海に面したバローという所の年平均気温が-10度程度..........これよりも更に寒い温度が計算上では地球の温度になる、という事になります。
 さて、実際に考えてみましょう。 実際に世界中の気温を測ってみてその平均を出してみると.........大体は12〜15度となります。もちろん氷点下ではありません。上記の計算上の数値よりも20度近く高い、という事が言えます。
 ..........と、言うことは?
 そう、次の事が言えるでしょう...........つまり、

「太陽から来たエネルギーを反射する→空中の物質(=気体)に再吸収→360度放射(360度全方向へ放射する)=一部のエネルギーが戻ってくる(逆放射)」

 という事が言えるかと思われます。
 こうすれば........つまり、一部のエネルギーが地球にとどまることとなって、気温が上昇する、という事になると言えます。 この効果を一般に「温室効果(green house effect)」と呼び、この逆放射を行う物質(=ガス)を「温室効果ガス(green house effect gas:GHGs)と呼んでいます。
 つまり......そう、なかなか気付いてもらえないことが多いのですが、現在の地球があるのは、この温室効果があったから、と言えます。
 そう、昨今の「温室効果」による問題というのは、実は「更なる」という部分をつけなければならないのですが............

 ま、今回は長くなりました。
 次回に続きをしましょう.............




 あぁ......またシリーズ化しちまった.........(^^;;
#文章も不安ですし.........

 さて、今回の「からこら」は如何だったでしょうか?
 今回は、地球環境科学関係ですね.........ある意味初めてでしょうか。 取りあえず気圏.........まぁ、大気に関することと環境問題を絡めてやることにしてみましたが............
 ま、取りあえずは「前提」とか、そういう話ですね。 ここら辺は非常に幅の広い分野ですので、ある意味やたらときりのないところなのですが限定、という事ではしょって進めさせていただきました。 その割には同位体の利用とか地学的要素が多く入っていましたけどね(^^;;
 まぁ、比較的良く聞く話かとも思いますし、今までやって来た部分もありますので、少しは楽かと思います。
#わかりませんけど(^^;;

 御感想、お待ちしていますm(__)m

 さて。来週は今回の続きをしましょう。取りあえず温室効果に絡む地球温暖化の話ですね。収まればオゾン層の話もしたいと思います。
 来週をお楽しみに..........

(2000/01/18記述)


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