からむこらむ
〜その178:局所麻酔と注意欠陥〜


まず最初に......

 こんにちは。徐々に秋が深まる感がありますが、皆様如何お過ごしでしょうか?
 まぁ、目茶苦茶な天気が続きますが。妙に体調がおかしい人もいますので、皆さんもお気をつけを。

 さて、今回のお話ですが。
 今まで興奮薬としてのコカインと覚せい剤について、歴史や構造を触れ、そしてその作用機構について触れてきました。ですが、あくまでもこれらは麻薬的な面でしか物を見ていません。実際には両者は医療目的に使われていたわけですので、その後にもっと良い使い方を探索をし、そして実際に使われています。そのいくつかはおそらく皆さんは聞いた事があるものです。
 今回はこの点に触れ、興奮薬のキャンペーンの締めくくりとしようかと思います。
 それでは「局所麻酔と注意欠陥」の始まり始まり...........



 さて、今まで数回にわたってコカと覚せい剤の歴史、そして機構について触れてきました。
 今までのものはドラッグ的な用途がメインになっていましたが、これらの物質は「それだけ」か? というと実際には違います。良く考えて見れば分かる通りもともと両者は医療用だったわけで、問題が起きた後にも科学者達はそれを「より安全に使う」ための研究をしてきました。
 現代では、その成果から興奮薬から派生した薬剤が活躍をしています。


 まずコカインの方に目を向けることにしましょう。
 コカインの医療的な利用は、今までに簡単に触れました。つまり、フロイトの助手カール・コラーが行った、コカインの局所麻酔作用による外科手術がそれに当たります。もちろん興奮作用もありますが、これは医療としては否定的になりますので、こっちはおいておきましょう。

 そもそも局所麻酔薬としてのコカは、インカでも知られていたのはおそらく確かと考えられています。いろいろな使い方をしていたようですので、ある意味当然なのかも知れませんが......実際、けがをした時にはコカを使って痛みを止めるという使い方もされていたようですし、またインカの時代には既に外科手術の為に使われていたのではないかという話もあります。
 そう意味では古くからあるとも言えるかも知れません。ただ、局地的な話に限られているのも事実です。
 とりあえずコラー達の時代に目を向けますと、コカインの局所麻酔作用は外科手術に対して非常に大きな影響を与えます。つまり、全身麻酔しかなかった当時では、部分だけの麻酔というのは患者への負担を減らし(たかだかわずかな作業のために患者を眠らせて、場合によってはその毒性で悩ますという事をしなくて済む)安全に作業を行える事になる訳でして、極めて大きな利点でした。ということで、コカインを局所麻酔に用いよう、という動きが当然活発になります。
 この流れの中、製薬会社はコカインの供給のためにコカ葉を手に入れる、という手間を省き、また更に良い局所麻酔薬を探すべく、コカインをベースとした局所麻酔薬の開発を行います。これは、コカインとそれを加水分解して出てくるエクゴニンなど(専門注:他はメタノールと安息香酸)が目をつけられます。



 この研究は、まずコカインとエクゴニンの構造から、「構造のどの部位が局所麻酔に重要か」という事が調べられました。この研究は進みまして、局所麻酔に必要な構造が徐々に判明していきます。ただ、こういった研究から出てくるものはある程度の局所麻酔の効果を発揮するのですが、理想的なものとはなりませんでした。そういうことで、かなり研究が行われるのですが........
 そして最終的に1905年。トロパンアルカロイドの研究を1880年代から行っていたA・アインホーンは、前年に合成した薬品の改良に挑んでいました。この化合物は水に溶けにくく使いにくいものだったので可溶性にしたいと考えていたのですが、最終的にこれに成功。これはコカイン様の局所麻酔作用を持ちながら精神の興奮作用が少ないという「理想的」な物で、「プロカイン(procaine)」と命名されます。
 これが、合成局所麻酔薬のデビューとなりました。



 この後、類似の構造を持つ局所麻酔薬が研究されまして、色々と登場します。一応、上に代表的なものの構造を出しておきます。
 見れば基本骨格に沿った構造になっているのは何となくでも分かるかと思いますが、コカインの持つトロパン骨格(構造左側の環状構造)はありません。もっとも、専門的な部分で言えばおそらくトロパン骨格の窒素とベンゼン環などの距離が、合成局所麻酔薬と似ているとか、色々と考えられはしますが。
 さて、簡単ですがこれらの局所麻酔薬の毒性や麻酔力を説明をしておきますと(どういう麻酔に向くかとかは書きませんが)。
 プロカインは麻酔力はコカイン程度、毒性はその1/3となっています。解毒が早いのが特徴です。リドカインは麻酔力はコカインの2倍ぐらいで、プロカインより持続力があります。毒性はコカインの半分程度です。そしてテトラカインは麻酔力が非常に強く、プロカインの10倍ぐらい。持続性もありますが、毒性はコカインの3倍ぐらいと、この点で問題があります。
 一応これらの名前は医療系の文学やら漫画やらの作品で見かけるかとも思います。ただ、「最も優れた局所麻酔薬」となるとどうも最初に合成されたプロカインが優秀なようでして、現在も良く使われる物となるようです。
 こういった合成薬は、例えば単純に局所麻酔としてどれだけ効力があるか、というもののみならず、実際に使用する際にコカインとの毒性の問題、生体組織に対する作用、水溶性であること、血管収縮剤と配合が出来るといった必要な用件があり、これらを満たす物がなかなか難しいという事があるようです。
 これは確かに良く効いてもコカインより毒性が強ければ意味がないですし、強く作用しすぎて生体を壊すようなものではいけませんし、水に溶けなければ使えませんし........必要不可欠な条件とも言えますが。

 ところで、ご覧の方には「何でコカインは興奮薬のくせに麻酔なんて作用を持つんだ」と思われる方もいらっしゃると思います。つまり「興奮」させる作用があるのに、正反対の「麻酔」という抑制的な働きをするのが妙ではないか、と。
 ここではスペースの都合があるのであまり詳しく書けませんが、中枢神経と末梢神経での作用の差が理由となります。
 簡単に書くと、興奮作用は中枢神経(=脳=精神)での作用です。一方、麻酔作用は知覚神経や感覚神経といった末梢神経系への作用でして、こちらは脳などではなく眼球や皮膚、粘膜といった「体の部分」に作用し、この末梢神経の特に知覚神経を麻痺させます。このことで無感覚となり、局所麻酔の作用が生じることとなります。ですので、例えば皮膚に塗る、皮下組織に注射、眼球に滴下というような事で(量にもよりますが)その部分だけ(局所)麻酔をかけられることとなります。
#こう考えると立派な神経毒とも言えるのですが。
 つまり、コカインは神経でも中枢と末梢で働きが違う、ということで、医療ではその差を利用しているということになります。要は「使い方」の差と言うことです。

 と、以上がコカインの「利用」となりますが。ご覧の通り、コカインそのものの使用はまずありません。
 一応、過去にはコカインそのものも局所麻酔に使われていましたが、現在ではまず使われないようです。実際、合成された誘導体の方が使い勝手の方が良いというのもあるかと思われますが。また、他にもコカインは過去にモルヒネと併用されて癌患者に「プロンプトンカクテル」として痛み止めに混ぜられていたのですが、研究の結果コカインを混ぜる必要は否定されており、使われていません。
 結局のところ、使われる局面が0とは言い切れないかも知れませんが、実際にその物は乱用以外は使い道がほとんどないと言ったところかも知れません。ただ、そういった医療の「ベース」になったという点では大きな貢献があるとは思いますが。
 尚、余談ながら。
 コカのエキスからコカインを除いたものをコカコーラには用いられているそうで。そういう意味では「使われている」部分はあるかもしれません。コカインでは無く、コカ葉ですけどね。尚、この件に関しては「エキスにもコカインが混ざっているはずだから、使用禁止にしろ」という様な訴訟があったようですが、あったとしても問題にならないレベル、という結論になっています。


 一方、覚せい剤はどう動いたのか?
 本来の目的である気管支ぜん息などの効果が期待されていたものは、新規の薬剤開発で登場したサルブタモール、あるいはエフェドリンといった物が使用されることとなりました。しかし覚せい剤の持っていた別の、例えば食欲の減退というものはまた別の方向で注目を浴びます。これは、肥満を防止するために使えるだろう、と思われたことによります。
 こういったことから、覚せい剤の中枢神経への興奮作用を除いた食欲抑制薬の開発は出来ないのか? ということで研究が進められ、いくつかの合成薬が開発される事となります。代表的なものを下に挙げておきます。



 何となくで覚せい剤と構造が類似しているのが分かるでしょうか? 赤い部分が一致する構造です。
 こういった物は他にも多数ありまして、フェンジメトラジン、ベンズフェタミン、マジンドールなど多数の食欲抑制薬があります。ただしこれらは基本的に手軽には使えません。理由は食欲減退作用はアンフェタミンより強力なものの、多幸感や覚せい作用が強い為に耐性や依存を作りやすい物が多くあり、結局「ドラッグ」化してしまう面がある為で、これにより規制されている物が多いです。
 こういった中では、多幸感をあまりもたらさない物にフェンフルラミンがあります。これは他の覚せい剤類似の物とは異なり選択的にセロトニンの作用を促進する物でして、米国などで使われていました。しかし、肺や心臓の疾患で死亡する服用者が続出して97年に使用禁止になります。この薬剤は最近中国製の痩せ薬に入っており、日本でも肝機能障害で一部が死亡、というケースが続出したというのは最近のニュースで言われている通りです。一連の痩せ薬に入っていたものでは、他にも上述のような覚せい剤類似構造の物があったようです。
 日本ではこれらのものは規制対象になっているものが多く、向精神薬に指定されていたり、あるいは未承認のために使用禁止となっているものが多くあります。
 そうそう、エフェドリンも食欲抑制作用があります。これを使ってアメリカで「エフェドラ」として総称されるダイエットピルが販売されており、インターネット上でも通販を良く見かけることがある人がいるかと思います。ところが最近アメリカではこれの商品説明(循環器系への負担を示していないとか)が足りないなどいくつかの理由から規制が本格化していまして、取り締まりを厳しくする方向で進んでいるようです。

 まぁ、色々とみていくと薬だけ飲んで楽してダイエットは結局だめだ、ということになるでしょうか。
 問題はかなり多いと思ったほうが良いでしょう。

 さて、こういった食欲抑制剤の他にも、覚せい剤はその中枢神経への作用が見込まれて、その点に注目された薬が作られています。
 皆さんは「ADHD」という言葉を御存じでしょうか? 過去には「活動亢進症候群」「注意力欠乏障害」などとも呼ばれたものですが(呼称はかなりあります)、現在では一般に「注意欠陥多動性障害(attention - deficit / hyperactivity disorder)」と呼ばれる障害でして、主に子供に多く見られる障害です。過去にはCNNで「クマのプーさんはADHDではないか」という心理学者の研究が出ていますので、それで知った方もいらっしゃるかも知れませんが。
 具体的にどういうものか?
 この障害は主に三つの特徴を備えています。以下に示しますと

ADHDの代表的な特徴
注意欠陥・物事に注意が向けられず、不注意が多い
・一つの作業の長期的な継続が困難で、集中力に欠ける
・指示に従えず、指定された作業が出来ない
・順序立てた行動が出来ない
・他の刺激で注意が簡単にそれる
多動性
および
衝動性
・自制力の欠如
・落ち着きが無く、じっと出来ない
・不適切な状況でも動き回る
・しゃべりまくる
・順番といった物が待てず、他人の邪魔をする

 といったものが代表的で、これらが複合しています。
 具体的に小学校・幼稚園では有名ですのでその事例を挙げると、まず席にじっと座る事が困難でして、授業中に歩き回ったり別のことをする。更には何か作業をしてもそれが続かず、すぐに別のものに手を出しますが、しかもそれもすぐに飽きる。更には以上の行動をずっとしゃべりっぱなしで行う。また相手のしゃべることを遮ったり、他人の邪魔をする(順番を待たず割り込む)など色々とあります。ただ基本的に悪意は無く、ただ自制力や集中力が欠けていまして、授業に混乱をきたすことがしばしばあります。
 これは他者からみますと「わがままで落ち着きが無く、我慢が出来なくて、いきなり怒り出す(=キレやすい)」といった「問題児」に見られることとなります。現在は教育現場ではよく知られており、対策が研究されているテーマでもあります。また、男子は女子の3倍かそれ以上(9倍以上という説もある)と男子が女子に比べて多いことも特徴的です。
 尚、この障害を持つ子供は知能に関しては正常な子供との違いは一般に無いとされ、知的障害やそういった類いでは扱われません。もっとも、他の障害と重なることがしばしばあります(てんかんと合併するケースが約2割など)。また、こういった具合ですので色々と誤解を招くことも多く、色々と精神的に負担になって成長中に「心の傷」を持つことがある事があります。
#「のび太・ジャイアン症候群」という説明をしている本がありますが、個人的にこの表現は不賛成です。

 さて、こういう子供に対する研究は結構前から知られ、行われていました。
 そして興味深いことに、こういった障害の子供にアンフェタミンを投与すると、不思議なことに彼らは注意力や自己抑制能力をもち、落ち着いて一つの作業にじっくり取り組めるということが分かりました。
 何故か?
 それが覚せい剤の作用機構と、ドーパミンと関連する機能の研究という形で進められるのですが........

 さて、このADHDは最近研究が進みまして、ある程度の原因が突き止められ、あるいは推測されています。
 その理由の一つとしては、右前頭皮質と大脳基底核に尾状核と淡蒼球と呼ばれる場所がありまして、ここがADHDの子供では小さくなっていることが知られています。尾状核と淡蒼球は両者とも情緒や注意といった関連があり、この部分が発達していない事で障害を起こすと言えます。他にも関連がある部分が指摘されていまして、大体前頭前皮質や小脳の一部、大脳基底核などにある神経細胞群が関連していると見られています。
 そして、ここで関連している神経系がドーパミン作動性となっています。これは、前回示したドーパミンの働きに「注意」があることを考えると関連性が分かるかと思います。

 では、ADHDの子供はここのドーパミン作動性神経がどうなっているのか?
 いくつかの遺伝子の解析やドーパミンの挙動の研究の結果、最近では再取り込み機構に障害があるケースがあることが分かっています。その中のどれに関連するかというと、一つはここの受容体であるD4受容体が、あるいは再取り込みポンプ機構(ドーパミントランスポーター)に障害があるのではないかと言われています。前者はドーパミンとの親和性などから神経の伝達がうまくいていないということ。後者はポンプの数が以上に多いことによって必要以上に再取り込みを行ってしまい、シナプス間隙のドーパミン量が少なくなるという事になります。
 つまり、結果的に「この部分のドーパミン作動性神経の働きが弱い」為に注意力や自己抑制能力が弱く、衝動性や多動性となるのではないか、ということになります。
 では、どうやって解決するか?
 これは簡単です.......つまり、足りないなら増やしてやれば良い。ということで、注目されたのがアンフェタミンです。が、アンフェタミンその物では覚せい剤の作用、つまり毒性が強すぎる。よって別の薬剤を使わなくてはならない.......ということで、現状ではこの障害への最も代表的な薬剤としてメチルフェニデート、通称「リタリン(ritalin)」が使われています(実際は塩酸塩が用いられます)。



 このリタリンは覚せい作用、食欲抑制作用などはアンフェタミンよりも軽度で、選択性が高い薬剤であることが知られています。そして大体7〜8割の子供に有効となっています(全員ではない)。ただ、リタリンの作用機序はドーパミンの強化というのは分かっていますが、具体的なものはまだ不明です。一応、効果や構造的なものからドーパミンの再取り込み阻害などが考えられています。

 ところで、ADHDについて脳での話を書いてはいますが、実際には「何が原因でこうなるのか」というのは色々と挙げられているのが現状です。例えば、生後に外的な要因で機能障害が起きた、低体重出生、新生児仮死といった事で起きたという様な説もあります。また、最近では遺伝的要因も指摘(タンパク質が関与=遺伝子が関連)されています。これは複数の遺伝子が関連すると考えられているようです。
 こう書くと不安に思う人もいるかと思いますが.......遺伝に関しては、その形質が発現するかは分かりませんので確実にそうなるとはなりません。また、ADHDは訓練や投薬で自己コントロールを学ばせる事で解決することが多いです。じっくりやることが重要と言われていますが.......ただ、年齢を重ねると徐々に症状が消えていく事が多く「子供だけの障害」と思われていた事から、時間の経過で解決する人は結構いるようです。
 ただ、最近は子供だけではなく、成人でもこの障害を持つ人が結構いるということが知られています。その代表が最近話題に上ることがある「片づけられない症候群」といったものです。
 ただ、一つ私見ではありますが、最近ADHDの成人が増加している傾向がある理由の一つとしては、要は年を重ねていく際に訓練が出来ていないし、社会がその役割を果たしていないという可能性も大分否定できないのではないかと思いますけどね.......該当者の人が見たら怒るかも知れませんが、あくまでも一因として。もちろん、最近になって分かってきたことが多いというのもあるでしょうが、それとは別での問題も実際に指摘が出来ます。
#訓練でかなり改善が可能ということを考えると、何でもかんでも他のせい、というのは通用しにくいですし。
 そうそう、昨今の「キレやすい」子供が皆ADHDかというとそうではありませんので念のため。親や地域の教育力の低下の方が通常は原因になりますので(単純に家庭・地域で行うべきしつけが出来ていないとか)。まぁ、学校を託児所と勘違いしている保護者が多いというのが問題なのですが。
 とにかくもADHD自体は不明な点もあり、「今後」に解明するものが多いと思われます。


 そうそう、リタリンは他にも活躍があります。
 特に代表的なものはナルコレプシー発作でしょうか。これは睡眠障害の一種でして、何らかの感情の発現やストレスといった事などが原因で突然意識を失って眠ってしまう障害です。これは脳内での伝達物質のバランスなどに起因すると言われていますが、これの解決のためにアンフェタミンといった中枢神経興奮作用を持つ薬剤が使われていました.......というより、もともとアンフェタミンの利用の一つとしてナルコレプシー発作に対するものがあったのですが。今はアンフェタミンそのものを使うわけにはいきませんので、リタリンが良く使われています。
 また、体内時計に起因する睡眠障害がありまして、一定時間毎に眠ってしまうという障害(体内時計によりこのサイクルはほぼ正確です)があります。これに対してもリタリンでその周期をずらすという事が可能でして、これを使うことで労働作業などを行えるようになります。

 ただ、リタリンも最近は問題が指摘されていることは書いておきましょう。
 これは、リタリンもアンフェタミンほどは無いにしても覚せい作用を持つことでして、健常者がこれを「試験勉強で眠らないために」などの目的で利用しているケースがあります。しかもこれが過ぎて中毒になるケースも多く、米国のある地域では「中学生のコカイン」と警察に言われる事もあり、更にはカナダでも中高生の15%が覚せい作用のために(処方されている子供から譲渡・買い取りして)利用したことがあるという結果が、2001年の秋に統計結果として出ています。また副作用もありまして、正しく使わないと睡眠障害(不眠)になるなどあります(基本は興奮薬と一緒)。
 また、長期にわたる使用で脳に影響を与えるのではないかという指摘(コカインや覚せい剤といった薬剤の習慣性に関連する遺伝子にスイッチを入れるという話も)もありまして、今後更なる研究と新たな薬剤の開発が求められているというのが現状です。
 もっとも、良い薬が他に無いのも現状ですが。
 ここら辺はまだ、色々と途上にある部分があるのも現状です。

 ま、難しい部分は多いという事ですが.........



 さて、以上が興奮薬の医用利用についての簡単な概要となります。もっと触れたいものもあるのですが、それではまた長くなりますので。
 一応はコカの葉から始まって、いわゆる「ドラッグ」としての興奮薬の歴史や作用から医療利用についての話をしました。大分長くなってしまった感はありますが、相応の物ではあったと思います。一応、ドラッグとしての側面から興奮薬を見れば、しょせんは単なるドラッグ、で終わってしまいます。しかし、実際にはこういった側面があることは是非とも覚えておいて下さい。
 そして、脳と伝達物質の関連として見た場合、統合失調症や躁鬱病とも関連があるということも覚えてもらえれば、「それぞれが連携している」ということが分かってもらえればうれしい限りです。
 それが分かってもらえれば、脳や物質というものについて色々と見えてくるものがあるかと思いますので。そうすることで、色々とまた理解が進めば、と思います。

 ということで長くなりましたがこれで興奮薬についてのキャンペーンは終わりとすることにしましょう。
 それでは、今回は以上ということで。




 これで大キャンペーンの中の小キャンペーンが一つ終了ですね........

 さて、今回の「からむこらむ」は如何だったでしょうか?
 ま、とりあえず興奮薬の医療利用について触れてみました。ま、こういう方向にも良く使われている、ということは頭に入れておいてもらうと良いかと思います。特に、昨今はフェンフルラミンが問題になったり(まさかこういう物とは思わなかった人も多いでしょう)、ADHDの名が良く知られるようになるなど、結構名前が出てくる場面は多くありますので。
 で、一方で脳と物質の話のキャンペーンの一つがこれでまた一つ終わりです。どうでしょう? もう少し触れて見たいものもあるのですが、長いですので(^^; ただ、今までやったものの知識がしっかり関連していると思います。別のものとして見るよりは、こうしていったほうが有効ですので.........ま、理解に役立ってもらえればうれしいですし、理解してもらって更に興味を持ってもらえればこちらとしてはうれしい限りです。

 そして、まだこの小キャンペーンは続きます。次にやるとしたら、鎮静薬や睡眠薬といった物、あるいは興奮薬とつながりがある幻覚剤という方向になるかと思いますが........まぁ、どうしましょうかね? 両方ともリクエストがありますので。まぁ、もっとも次回すぐにという訳にもちょいといきません(^^; 少しおいてからやることとしましょうか。
 まぁ、でもどっちが良いでしょうかね?

 さて、そういうことで一つ終わりですが。次回はどうするか.......
 ま、何か軽めのものでもやりましょうか。1回読みきりみたいなものもたまには作りたいとも思うんですがね。まぁ、どうにかしようと思います。

 そう言うことで、今回は以上です。
 御感想、お待ちしていますm(__)m

 次回をお楽しみに.......

(2002/10/08記述)


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