この化合物は研究の結果、DDTのもつ分解しにくい要素が排除されていることが確認されます。
では、これは活躍できたのか、といいますと.........実は出来なかったんです。いや、もちろんDDTの難点を排除していたのですが........学者にとっては残念なことに、この薬品は「虫に効かず、カニに効く」(文字通りです)という極めて「使えない」化合物でした。
こういった悪戦苦闘の末、さまざまな研究の成果を残しつつも、結局は有機塩素系農薬はその性質から肩身が狭くなり、結局現在では一部を除いて農薬として使われることはなくなっています。
もっとも、ちゃんと問題をクリアーして活躍しているものも中にはありますけどね。
さて、ではDDT現在はどうなったのか?
御存じの方もいらっしゃるでしょうが、実は現在でも使用されています。違法じゃないかと思うでしょうが、しっかりと国際的な認知の元で行われています......とは言っても、日本で使用はされていません。
どこか?
まず.......国連環境計画(UNEP)と言う組織の元、現在世界各国ではPCB、ダイオキシン、DDT等と言った残留性有機汚染物質(POPs)廃絶に向けた会議が行われています。この会議ではPOPsの疑いのある物質の規制・管理・保管・処理や、PCBの処理などを義務づけると議決されているのですが、DDTの使用に関しても規定されています。その規定では、「DDTの使用はマラリア蚊の使用に限る」と書かれています。
.......つまり、現在でも脅威となるマラリアと媒介するハマダラカの存在する地域において、このDDTは現在尚使用されています。
では、何故まだDDTを使うのか?
当然理由はあります.......それは「経済性」。つまり、ハマダラカのいる熱帯地方においては経済的にゆとりのある国は多くありません。いわゆる「発展途上国」に分類される国々が多いわけです。そのような地域に、最近の農薬を大量に買い、使用できるほどのゆとりはありません。しかし、DDTは枯れた技術ですし、大量生産は容易です。
ですので、そのような国々で.......もちろん、彼ら(少なくとも担当となる人間)はDDTによって引き起こされた事を知っていますが、承知の上で使用しています。
#ここら辺の問題は、ある意味エイズ治療薬と通じるものがあったりしますが。
ただ、熱帯地方でのDDTの分解速度は温帯のそれよりも早く、半減期は半年程度とも言われています。もっとも、なるべく使用しないほうが良いのは確かですが.........
また、日本国内でもまだDDTが残っています。
これは、1971年に使用禁止になるまでに購入した農家が、使用できずにそのまま「保管」した為でして.........この量も結構な量になると言われており、この処理が問題になっています。
他国でも同じような問題は起きているようです。
と、以上がDDTの概要となりますが。
まぁ、もっと詳しく書きたいものはあるのですが、スペースも無いですしより難しくなってしまうので.........取りあえず以上で終わりにしようと思います。
ま、前回と合わせれば必要なことは大体書けたと思いますが。同時にまた、重要な「種」もが入ることとなりました。
そこら辺の話はまた、別の機会にしてみようとおもいます。
では、今回は以上で.........
マラリア系の話はこれで終わりですねぇ.........
さて、今回の「からむこらむ」は如何だったでしょうか?
前回はDDTの「興亡」について触れましたが........ま、今回はそのDDTのメカニズムや、『沈黙の春』となった理由などについて簡単に書いておきました......いや、長いですけどこれってまだ「簡単」なんです。実際にはかなりの考慮が必要となったりするんですけど......まぁ、難しくなりますしスペースがありませんからね(^^;
大体の概要を掴む事ができれば大丈夫だと思います。
で、取りあえずマラリアから始まった話はこれでひとまず終わりになります。マラリアを中心に、歴史とキニーネ、DDTと言った物を扱ってみましたが。それぞれ関連を持ちつつ独立した話になりましたけど。
ま、何らかの「大きな繋がりのある流れ」と言うものは書けたとは思うのですが。どうでしたかね? 何らかの興味や楽しんで貰えたものがあれば嬉しいのですが........
さて、そう言うことで今回は以上です。で、次回ですが........
取りあえず、一回で終わるような軽めのものでも考えますかね(^^;; まぁ、比較的楽なものにでもしようと思います。
そう言うことで、今回は以上です。
御感想、お待ちしていますm(__)m
次回をお楽しみに.......
(2001/10/23記述 同10/25追加・修正)