やがてジョゼの背中が見えた。さっき言葉を発した女の姿は、彼の姿に隠れていた。一歩からだをずらすと、金髪の若い女が唇をジョゼの方に差し出しているのが見えた。彼女は繰り返していた。
「アブサン」
あたかもこの言葉しか知らないようだった。ジョゼは彼女の口に、小さなグラスのニガヨモギ酒を注いだ。彼のしぐさは限りないやさしさを秘めていた。
(『アブサン・聖なる酒の幻』/クリストフ・バタイユ著 辻 邦生・堀内ゆかり訳/集英社)
私は緑の妖精「妖精」は狂気を運んだということでしょうか?
私の服は希望の色
私は破滅と苦しみ
私は不名誉
私は恥辱
私は死
私はアブサン
(2001/10/30記述)