となっています。ちょっと汚いですが、「何となく」で理解してもらえれば良いですけどね........ダイヤモンドの構造の「●」は炭素でして、黒鉛の色違いは、それぞれの「層」となっています。
#そして、黒鉛は1本の「手(=電子)」が余る訳で電気を通しやすくなります。
尚、ちょっと専門的ですが、黒鉛では層と層の間はファン・デル・ワールス力という静電的な、非常に弱い力によって結合しています。これは炭素間の共有結合より遥かに弱い力でして、この結果硬度が圧倒的に異なる、いわゆるモース硬度で比較すればダイヤモンドは10ですが、黒鉛の方は1〜2程度と言う程の極めて大きな差を生み出します。
ダイヤモンドは等軸晶系(立方晶系)でして、通常8面体か12面体の結晶となって出てきます。極くまれに六方晶系に属する物がありますが、天然物では前者が普通です。
その特徴は繰り返しになりますが、極めて堅く、風化に強いのが特徴です。そして高い屈折率を持つのも特徴でして、これが宝石にした際の「光輝」に関連することとなります。密度は3.51524g/cm3(黒鉛は2.25g/cm3)でして、熱膨張率が極めて小さく(0.8×10-6/K、20℃)、比熱が0.124cal/K・g(25℃)、そして熱伝導率が最も大きい物質であり、900〜2000W/m・Kとなっています。
尚、ダイヤモンドでも実は2種類ありまして、紫外領域の光に対して3000Å以下の波長の光を吸収する物を「I型」、2250Å以上の光を透過する物を「II型」と区別します。ダイヤモンドとして「純粋」なのはII型となります。
ここら辺のI型、II型は更に細分されるのですが、その詳しい話はまた次回に書くこととしましょう。
#注:2002/10/05に追記。ページの最後を参照。
では、どうして同じ炭素から生成されるのに、ダイヤモンドや黒鉛と言った差が出てくるのか?
これは地学的な話になりますが........結論から言えば、「出来る環境が違う」ということになります。良く言われるように、高温高圧の環境下でないとダイヤモンドはできません。
ダイヤモンドの鉱床は大体は盾状地と呼ばれるような、安定な大陸地塊に大体が分布しています。ということで、余り島国では取れないようですが......少なくとも、日本では確認されていません。また、ダイヤモンドができる場所である高温高圧、という条件を地球で満たす場所は考えれば分かる通り、地球の深部のみになります。大体、地下100〜200kmのマグマの中といったところで出来るようでして(つまり火成岩となります)、色々と条件はあるようですが、大体数千度の温度と数百気圧の圧力が必要のようです。もっとも、炭素だけが集まって純粋に出来るのか、というとそうではなく、マントル中の水、二酸化炭素、鉄、銅、ニッケルの硫化物などが触媒の様な働きをするようでして、実際にはかなり複雑なメカニズムとなっているようです。
ま、実は完全には解明はされておらず、色々と不明な点も多い、というのが現状のようですが........
そう言った条件でダイヤモンドができ、後に地殻変動で上に上がってきたものがダイヤモンド鉱床として採掘される、ということになります。
ダイヤモンドが採れる母岩は三種類ありまして、最も代表的なものがキンバレー岩と呼ばれる物で、7000〜1億2000万年前に出来た物です。他にエクロジャイト、ランプロアイトと呼ばれるものがあります。一般的なダイヤモンド鉱床では、「パイプ」と呼ばれる円筒状のキンバレー岩が山芋のようにまっすぐに地面から下に続いており、ここから採掘するようになっています。とは言っても、キンバレー岩の全部がダイヤモンドを含むわけではありませんので、御注意を。
そう言う生成の一方、かなり例外的ですが、ダイヤモンドは実は陸地以外からも発見されています。
どこか? ま、「陸じゃないなら海だろう」と思われるかもしれませんが、ちょっと違うんです........となると残るは? 実は「宇宙」でして.......本当に特殊な例になりますが、実はダイヤモンドは隕石からも発見されています。これは数例が確認されているようです。
では、宇宙のどこで出来たのかと思われるかもしれませんが少し違いまして、隕石が地上に落下した際に生じるばく大なエネルギーと圧力によって生成されたと考えられています。このタイプは天然とは違い、六方晶系の物となるようです。
まぁ、ダイヤモンドで出来ている隕石があればまた魅力的なのかもしれませんけどね........その前に大気圏で燃え尽きるかもしれませんが。
ところで、ダイヤモンドの採掘という物は、現代と古代では大分条件が異なる事が知られています。
古代のダイヤモンドの一大産地はインドだったのですが、ここではどうやってダイヤモンドを採っていたかと言うと、実は(砂金が如く)川から採っていました。これは川上のどこかにあった原石が風化などを受けてやがて川に、という事でして比重の問題から砂に埋まる形で見つかったようです。
もちろん、この場合は原石が何なのか(キンバレーかエクロジャイトか他か)不明なのですが........この状況は主に近代まで続くこととなります。
この状況が大きく変化するのは1870年でして、南アフリカの農場からダイヤモンドが見つかった事が契機となり、川から陸地に主な「採掘」場が変化することとなります。ま、ここからキンバレー岩が見つかり、そしてパイプを探す為に坑道を掘って、となります。これは、その後の主なダイヤモンド鉱山での一般的な採掘方法となります。
しかし、この坑道を掘る方法を採らない国もあります。
そこはどこか、というとオーストラリアでして.......オーストラリアの母岩はキンバレー岩ではなくランプロアイトでして、このタイプはパイプがほぼ「横」になっているのが特徴です。となると、坑道を掘るよりは露天掘りの方が安上がりで大量に採れる、ということでオーストラリアでは露天掘りが一般となっています。
それゆえ、オーストラリアはダイヤモンドの生産量が群を抜いて多くなるのですが.........
そのダイヤモンドの生産ですが、1998年のデータでは全世界で11,500万カラット(1カラット=0.2g)が生産され、オーストラリアがトップで4,090万カラットを生産し、全体の35.6%を占めています。続いてロシアの18.3%、ボツワナの16.1%、コンゴ民主共和国の13.0%、南アフリカの9.0%となり、アンゴラ、ナミビア、中国、ブラジルと続いていきます。
見事に各国とも大陸に位置する国家となっていますが........全体のうち、5,500万カラットが装飾用に、残りは工業用に用いられます。
尚、現在ではインドではほとんど採ることは出来ないようです。
さて、こうしてダイヤモンドが色々と採れたりするわけですが........皆さんはダイヤモンドの「年齢」というのには興味が無いでしょうか?
実はダイヤモンドが生成された時期、というのを調べた研究があるのですが.......皆さんはダイヤモンドの結晶というのは、出来てから、つまり「年齢」はどれくらいの物だと思いますかね?
1000年? 万年単位?
その答えを書く前に、この研究はどうやって行われたかを書いておきましょう。
この研究での調査方法はダイヤモンド中の放射性同位元素の含有量を調べたものでして、基本的にはその44で触れた方法と同じものです。ま、この研究では炭素14ではなく、カリウム・アルゴン法という物やヘリウムの同位体比を用いて「年齢」を算出をしていますが。
さて、この研究によりますと、南アフリカのプレミア鉱山のダイヤモンド(キンバレー岩)を調べたところ、ダイヤモンドの生成時期はダイヤモンドの粒子によって違ったものとなりました。が、一番「新しい」物で既に約12億年、最も古いもので約45億年前に出来たことが判明します。
つまり? 地球の歴史は約46億年といわれていますから、最も古いダイヤは地球が誕生して「(天文学の世界では)たった」1億年の後(もちろん生命なんてありません)に出来た、ということになります。ま、それが流れ流れて33億年間もマントルの中に存在し、やがて12億年前のダイヤモンドを含むキンバレー岩のマグマに「拾われて」、やがて地上に出てくる、ということになりますが........
尚、参考までにですが、「世界で最も古い岩石」グリーンランド西岸にある変成岩でして、これが約38億年前と言われています。
つまり、この鉱山より採れた45億年前のダイヤは「世界で最も古い石である」ということになります。
ダイヤに歴史あり、といった所なのかもしれませんね........
と、さて長くなりましたが。
さて、これからダイヤモンドと言うとカットやら装飾用のダイヤ、工業用の話やら色々とあるのですが.............それらを話すには一杯になりました。
これらは次回に話すこととしましょう。
そう言うわけで今回は以上、ということで。
2002/10/05追記
現在、ダイヤモンドのI型I、I型と言った分類は紫外線ではなく、赤外線を用いて分類するようです。
さて、久しぶりの「からむこらむ」は如何だったでしょうか?
取りあえず、まぁ社会復帰活動中、なのですが.........一応、試験やら何やらあるんですが、丁度谷間が出来たのでやってみました(^^; 実はあまり勘を取り戻せていなかったりするんですけどね(^^;
まぁ、そこら辺は少し見逃してください(^^; あ、でも変な部分は指摘してもらえれば嬉しいですし、感想をもらえればもっと嬉しいですが。
そして、次回は.......まぁ、今回は物性やら基本的な話となりましたが、ダイヤモンドというのはまた色々と話が多い物ですので。装飾用の物や、実際にどう使われているのか、その他もろもろについて話してみたいと思います。
ということで今回は以上で。
ま、次回は........次週にちゃんと出せると良いなぁ、と思います(^^; 幸運を祈ってやってくださいm(_ _)m
そう言うことで、今回は以上です。
御感想、お待ちしていますm(__)m
次回をお楽しみに.......
(2002/08/01記述 同08/07修正(Thanks>Mr. Kobayashi) 10/05追記)